息子が小学3年生のときの話です。
その頃息子は、テストを持って帰ってくると、いつも「〇〇点だったー」と見せてくれていました。
その日もいつもと同じような調子で算数のテストを持ってきたのですが、息子の言葉に私は耳を疑ったのです。
「35点だったー」
息子は勉強があまり得意ではないものの
算数に関してはこれまで60~80点ほど取っていたため、驚きました。
思わず私は「え?そんなにむずかしかった?」と聞くと
「〇〇くんは95点!△△くんは85点!」
と息子は笑って言いました。
答案用紙を見ると、確かに35点。
問題を理解できていないことがわかりました。
怒られたらテストの点は上がるの?そんな質問から2年、息子に訪れた変化の理由。
20,220 Viewみなさんは、子どものテストの点数を見て怒ったことはありますか?ある日テスト結果を見て怒った私に、息子が質問をしてきました。子育て迷走中だった私の体験談をご紹介します。
いつも通り持ち帰ってきたテスト
息子の態度にイライラ
小学校に入学したとき、「元気に楽しく学校に通ってくれればそれでよし!」と思っていた私。
勉強も大切だけど、お友達と楽しく遊んでほしい。
そう思う気持ちに変わりはありませんでした。
しかし、あまりにもヘラヘラとしている息子に対し、イライラがつのる私。
「ねー、何でいつもよりも点数が悪いんだろ?」と聞いてみました。
「わからん。問題もわからんし、答えもわからん」
と笑う息子。
私には息子のその態度が、ショックを隠すためや、叱られないように敢えてヘラヘラしている感じではなく、本当に何にも感じていないように見えたのです。
ついに私は、今回のテスト結果に対して何も思わないのかと息子を叱りました。
怒りは最高潮
そんな私に息子は、質問をしてきました。
「何でテストの点数が悪いとダメ?」
このときイライラしていた私の感情は「叱る」から「怒る」に変わっていました。
子育てを行う中で「叱る」と「怒る」は違うものとわかってはいたつもりですが、このとき私は感情を抑えることができませんでした。
そして怒りながら質問に対して、私なりの理由を伝えました。
「あなたが将来なりたい職業はまだ決まってないかもしれない。でも、なりたいと思ったとき、もっと勉強しておけばよかったと後悔してほしくない。大人になってから困らないよう、今の勉強は大切だよ」
点数が悪くて怒っているのではなく、親として将来を心配しているということを理解してほしかったのですが、息子にはどう伝わっているのかわかりませんでした。
息子はしばらく黙っていましたが、数十秒後、息子はこう言ったのです。
「怒る理由がわからない」
さらに「怒られたら点数って上がる?」と言うのです。
その息子の態度に怒りを通り越して呆れる自分と、確かに怒ったからといって点数が上がるわけではないと冷静になる自分がいました。
そして息子には
「怒られても点数は上がらない。先生の話をしっかり聞いて、宿題をすることで今よりも点数は上がると思うよ」
と伝え、それ以上は何も言いませんでした。
見守ると決めた
その後も、算数テストの点数は以前と比べて低いまま。
注意したい気持ちはあったのですが、正直に言うと、もう言っても無駄かもしれないという諦めの気持ちもありました。
勉強に対してあれこれ口を出し息子とケンカになるくらいなら、このまま見守ってみようと思い始めていたのです。
そんな私を知ってか知らずか、息子はどれだけ点数が悪くても私に隠すことなく、いつもテスト結果を見せてくれました。
あれだけ怒られたのに何で……?
と思いましたが、その正直さにそれ以降、勉強に関して口を出すことをやめました。
こんな調子で2年が経過し、息子が小学5年生になった頃。
算数のテストで突然90点を取ってきたのです。
学習教材を購入したり、塾に行ったりもしていません。
「勉強しなさい」と言った覚えもありません。
テストの点数を見たとき、間違えて他の子のテストを持ってきたのではないかと思ったほど驚きました。
息子になぜ点数が上がったのかと聞くと、意外な答えが返ってきたのです。
「算数、おもしろいから!」
点数がアップした、その理由
あれだけ苦手だった算数が、なぜおもしろくなったのだろう。
息子に尋ねると、「答えが合うとおもしろい!」と笑いながら話しました。
しかし算数がわからないと言っていたのに、どうやって答えが合うようになったのか。
実は、仲のいい友達に
「算数が一番簡単。わからないなら、教えてあげる」
と言われ、休み時間に教えてもらっていたそうです。
少しずつわからないことがわかるようになり、息子は自分に自信がついたようでした。
担任の先生もその光景を見ていて
「学校で一番平均点のいいクラスにしよう!」
というクラス目標を立て、みんなで一緒に取り組んでいることを知りました。
私は息子のテストの点に関して怒ったり諦めたりと、親として子どものやる気をそいでいたのかもしれないと反省しました。
そして、友達や先生に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
高校生になった息子は、今では数学が一番得意な科目になっています。
算数を教えてくれたお友達や、その様子をしっかり見てくれていた先生がいなければ、違った結果になっていたかもしれません。
子育ては私1人でやっているのではなく、多くの方に支えてもらっているのだとこのとき強く感じました。
そして「子育ては親育て」という言葉の意味がとても腑に落ちた瞬間でもありました。
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