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公開 2021年01月15日  

ちょ、ドッジボールの「パンドラの箱」開けないで…!息子が名探偵でアセる

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子どもと生活していると、質問されることが日常茶飯事だ。
なんなら、茶を飲むより、飯を喰らうより、多めに質問される。


疑問じょうずな息子


ある日、幼稚園から帰る自家用車の中で、息子が尋ねる。

「ねぇ、サンタってさ、本当はいないよね?」


えっ!

母、震える……!

だって今、まだ7月ですけど。

セミの話でもしましょうよ。


そのツッコミを飲み込んで、とりあえず返事をしなくては。

「おー。なんでそう思うの?」

「だってさ、世界は広いじゃん。

去年住んでた所と、今住んでる所は飛行機で超離れてるじゃん。

サンタが一日でプレゼント子どもたちに配れるわけないもん」


おー!理論派。

って、感心している場合じゃなかった。

何か返さないと……!


「あー。サンタ一人じゃ配るの、確かにムリそうだよね」

「そうだよ、絶対ムリだよ」

「でもさ、サンタが一人じゃないとしたら?」

「え!?どういうこと?」

「二人、三人……いや、もっといるのかもね!」



―演じ切りました。

そんなわけで、取るに足らない些細な事から、熟考が必要な、ちょっと待って検索させて!的なことまで。

私も人の親となった以上、聞かれたことには出来るだけ迅速に答えるようにしている。

さらに言うと、ビシッと答えられる親こそカッコイイんじゃない、と思っていたのだが。


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ドッジボールと息子の葛藤


6歳となった息子のクラスではドッジボールをよくやっています、と幼稚園からのお便りで教えてもらった。

そこで、息子に「どう?ドッジボールは?」と聞くと、「楽しいよ~〇〇くんのボールが超早い!」と、興奮気味だ。

ちなみにうちの息子は運動が得意ではなく、公園に行けば大型遊具をよそに土いじりをするタイプ。

5歳になった時、3歳から乗れるジェットコースターに「絶対楽しいって!」と乗せたら大泣きし、「一生乗らない」と言った、そういうタイプの男子。


そんな息子が「今日はそりゃあ!って投げて、〇〇くんにぶつけた~」というので、予想外の活躍に「おー!すごいじゃん!」と、大袈裟に褒めた私。

まんざらでもない様子の息子だったが、彼は突如として神妙な顔をし、私に尋ねた。

「でもさ、人に向かってボールとか投げちゃいけないのに、ドッジボールの時は急に人にボールぶつけていいのは、なんで?」


……!

それ、人生で1回も考えたことないです、私。

どうやって返事をしたらいいのだろう。

全然ビシッと答えられない。

「まあそれは、スポーツだからOKなんだよ!それ以外の時はダメだよね」と言ってしまえばそれまでなんだけれど。

気を取り直して、「確かにね~。どうしてそう思った~?」と聞いてみた。


息子の話を紐解くと、その思考回路は実にシンプルで納得のいくものだった。

人に向かってボールを投げることは注意の対象であった行為のはずなのに、「さあドッジボールだ!」の一言がついただけで、人にボールをぶつけた人が輝くヒーローになる!ってなんで?ということだ。

どうやら息子が投げたボールを受けた友達の、「痛っ」を聞いて、感じるものがあったらしい。


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正しさより大切な「答え」


3~4歳頃にある「なぜなぜ期」時代、矢継ぎ早に繰り出される質問に辟易していた私の心が、フッと軽くなった言葉があった。


「とにかく会話のやりとりを楽しみましょう。

正しい答えは、時に、必要ではありません。」


これはなぜなぜ期のあの頃だけでなく、子育てにおいて脈々と受け継ぐべき言葉だったのだな、と気付いた。

息子は言う。

「ボールぶつけた時、イェーイ!って思ったけど、○○君かわいそ、って思った」

「そうかあ。なんかボールぶつけるのやだな、って思ったら、ドッジボールの時、息子は『ボール避けのプロ』になるのはどう?

最後まで内野に残ってるのもなんかカッコ良いよね」

「うん。それいいね!」

「ボール避けの天才と呼ばれる日が来るかもよ」(※息子は“天才“というワードが大好き)

「それはないでしょ〜!」


正直、息子の質問には真っ当な答えを出せなかったのだけれど、息子は会話を通して、自身のモヤモヤも上手く外に出すことが出来たようだった。

確かに大人でも得も言われぬモヤモヤを、相手に聞いてもらうために言語化すると、その作業中に「あ、自分はここが嫌だったんだな」とか「相手にこうして欲しかったんだな」と気付くことがある。

そこで「そうだね」とか、「わかるよ」と穏やかな相槌を打ってくれる相手には、自然と心が開いてゆくのがわかる。

まずは親として、子どもの良き話し相手になりたいものだなあ、としみじみ思った。

同時にいつまで話してくれるのやら、とまだ見ぬ思春期にも思いを寄せる。


そういえば息子は私の子ども時代エピソードを聞くのが好きだな、と思い立ち、付け加えた。

「そういえば、お母さんもドッジボールあんまり好きじゃなかったかも。

10歳くらいになると使うボールが硬くなってさ、当たると痛いし、あと単純に冬になると体育館が超寒くてさ……」

「……」

「って、息子よ、聞いてる?」

「いや。クリスマスプレゼント、何にしようかと考えてた」


いや、そこは聞いておくれよ!

それとまだ7月だってば!!


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※ この記事は2024年12月19日に再公開された記事です。

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