今振り返ってみると、相手は立派な成人なのだし、ほうっておいてもよさそうなものを、いったいなにをそんな真面目に取り組んでいたんだろうか。
そして、夫も夫だ。
手伝うことすらせず、ソファに腰掛けていた。
本来なら、悪阻で苦しむ私が横になるべきその場所に、頑健で健康な成人男性が、なにをするでもなく座っていたという驚愕の事実。
そして、食後には洗い物が当然発生する。
1日を終えて、虫の息で夕飯をつくって、食べる気力もなく食卓に着き、今すぐ眠ってしまいたいのに洗い物がある。
そのことに私はうんざりしていた。
今日現在の私なら、「あとはよろしく」と言って、寝室へ引っ込むところだけれど、当時はなんと言っても新婚だし、私は無垢な20代だったし、嫁とは妻とはこうあるべき、というものに多少なりとも縛られていたんだろう。
重たい体を引きずって、シンクへ向かう私を見て、あの日の夫はこう言ったんだった。
「明日でもいいんだよ」
あの表情を、私は生涯忘れない。
とても慈愛に満ちた顔をしていた。
心から、優しさで言っている人間の表情そのものだった。
遂にこの日が来てしまった……。卒園式より泣けた、園生活最後の日
数年前、息子が卒園の時のお話です。...