現在、小2と年長の兄妹の子育て中の和田さん。6年間の専業主婦生活に終止符を打ち、約1年半前に仕事復帰しました。
現在は、ベンチャー企業の事務として週4日 働いています。入社したのは会社が創業したばかりのタイミング。フルタイムで人を雇うほどではないという会社のニーズと、和田さんの週何日か限定的に働きたいという条件がうまくマッチしたといいます。
和田さんが、大学を卒業したのは、ちょうど就職氷河期。非正規雇用の派遣社員として社会人をスタートしました。仕事にそこまで思い入れは持てず、産後は派遣元を退職。鍵っ子だった経験から、「家にいるお母さん」をやってみたくて専業主婦になりました。
出産直後は会社とのつながりも、住んでいる地域でのつながりもなく孤独を感じたという和田さん。産後の体調不良をのりこえ、地域で知り合いを増やすことで前向きに乗り越えてきました。
今は、ボランティアやPTAにと忙しくも充実した日々を送っています。
そんな、和田さんに、また働こうとおもったきっかけや、どんなふうに仕事をみつけたのか?専業主婦という期間について思うことなどのお話を伺いました。
専業主婦はキャリアの"空白"なの? 6年ぶりの就職で感じたこと
12,218 View現在、小2と年長のお子さんを育てながら、ベンチャー企業ではたらく和田さん(41) 。6年間の専業主婦生活を経て、上の子が年長の時に仕事復帰しました。今は、この生活が楽しい!と笑顔で話してくれた和田さん。また働こうと思ったきっかけや、仕事との出会い方について、お話を伺いました。
(※取材日2021年5月13日)
家にいるお母さんをやってみたかった
――お子さんが生まれる前には、どんなお仕事をされていましたか?
社会に出たタイミングは、ちょうど就職氷河期でした。卒業後は、資格取得のために一旦、専門学校通いと非正規雇用の派遣社員を並行していましたが、資格取得が思った以上に難しく断念。派遣社員として仕事を続けていくことになりました。
職場は人間関係にも恵まれて、ストレスなく働けていました。でも、数年経った後、リーマンショックで派遣切りに。その後は、必死で見つけた職場が、3日で退職する人が続出するブラック企業だったこともありました。その後、再び、非正規ではありましたが安心して働ける職場にめぐまれました。その職場にいる時に、学生時代から付き合っていた夫と結婚し、第一子を出産することになったんです。
――専業主婦になろうと思ったのはどうしてですか?
はたらいていた会社は、出産後に復帰する選択もありました。
でも、ずっと非正規だったこともあり、そこまで思い入れのある仕事ではなかったんです。それに「家にいるお母さん」をやってみたいという気持ちもありました。
実母が公務員で定年まで働いていたので、ずっと鍵っ子でした。実家は田舎なので、周りは殆どが3世帯同居。友達の家に遊びに行くと、必ず大人がうちにいました。母は、夕方5時頃にはきっちり帰ってきてくれていましたが、他のうちが少し羨ましかったんです。
でも仕事をしている母のことは、かっこいいなと思っていました。好きな服を自分で買えたり、『お母さんでも仕事をしていると色んな自由が効くんだな』と、幼いながらに感じていました。
私自身は仕事への思い入れがないまま年数が経ってしまい、『それならいっそ専業主婦をやってみよう』と退職を決意しました。
出産後に感じた大きな孤独。ママ友の存在に救われる
――実際に専業主婦をしてみて、いかがでしたか?
学生時代ぶりに新しく友達が出来たのはうれしかったですね。年齢も様々な、色んなママと知り合えました。
実は、ママ友づくりを頑張ったのは、産後の孤独感と体調不良がきっかけでした。
子どもを生んですぐは、近所に知り合いがいませんでした。仕事も辞めているし、会社の同期などのつながりもありません。実家もどちらも遠方で、夫も日中は仕事です。本当に話す人がいませんでした。どこにも所属していない孤独感がありましたね。そのため、気持ちが落ち込んで、体調も優れない日が続きました。
一ヶ月検診できてくれた保健師さんに相談しても、子育て広場にいってみてとアドバイスされただけ。赤ちゃんの様子も落ち着いてきた頃、ようやく保健師さんにも勧められた子育て広場に行ってみようかな……と、思えるようになりました。
――産後は体力がないから、自分から行動すること自体が大変ですよね。
そうなんですよね。それに、わりと独立心旺盛に育ってしまったせいか、実母にも泣きつけませんでした。実母とは普段の連絡も「○○を送ったよ」などの事務連絡程度なんです。
でも、当時、かなりつらかったので何度も電話したら、母も初めてのことで慣れていなかったのか「一体どうしたの?」と怪しまれてしまいました。私はただ家に来てほしかったり、長電話をしたかっただけなのですが。素直に甘えられずに、すれ違ってしまいました。
実母にも頼れないし、子育て広場でママ友をつくるしかない!と、当時は、重い身体をおして頑張っていましたね。
――元気になれたのはいつ頃だったのでしょうか?
少しずつ元気になったのは、子どもが育ち、外にも長時間出かけられるようになった頃です。知り合ったママ達と毎日のように遊ぶようになって自然に解消されていきました。上の子が2歳の時に、妹が生まれたんですけど、その頃にはもうだいぶ良くなっていました。
このコロナ禍では、ママ友づくりも難しいのではと心配です。近所の子育て広場は、今は予約制になっています。赤ちゃんがいると、予定通りには、なかなかいかないものですよね。今日は、機嫌良さそうだから行けそう!などができないのは、しんどくないか心配です。
永遠にこの日々が続くのかな……
――幼稚園時代を振り返ってみてどうですか?
子どもたちと、ずっと一緒にいたときは、正直イライラしたこともありました。なぜ私はこっちの道を選んでしまったんだろう……、仕事を続けていればよかった、と思うこともありましたね。
子どもって、大人からみると、どうでもいいことを永遠と繰り返していたりするじゃないですか。それを、ただ見ているだけのときには『永遠にこの日々が続くのかな……』と思っていました。『この時間は、すぐに終わってしまう』って、その時は分からなかったのです。
でも今振り返ってみると、とっても貴重な時間でした。子どもとべったりの期間って、ほんとうに短いんだなと。兄妹が仲良くじゃれ合っている姿はとても可愛くて。2人を近くで見られたのは良かったなと思います。
年長から預かり保育に慣らして、学童へスムーズに
――仕事を再開しようと思ったタイミングは?
漠然とですが、上の子が小学校に入る頃には働いていたいなと思っていました。
仕事を辞めているので保育園には入れないですし、自動的に幼稚園しか選択肢がない。だから幼稚園のうちに働くのは難しいかなと思っていました。小学校にいけば、学童もあるし何とかなりそうだなと。
長男が年長の春に、働くまでの道筋を戦略的に考え始めました。それまで上の子は特にベッタリで来てしまっていたこともあり、預かり保育を嫌がっていました。
このままいったら、小学校の学童も絶対、抵抗されると思いました。なので年長のうちに仕事をみつけて、幼稚園のうちから預かり保育に慣らしておきたいなと思ったんです。
――どんなふうに就職活動をされましたか?
ちょうどその頃、育児や介護などでフルでは働けない方に仕事の紹介事業をされている方と知り合う機会があり、さっそく相談することにしました。
仕事選びは、条件ありきでした。「週3日 」「うちから通える範囲(電車で30分くらいの範囲内)」「15時には帰れる」のは外せないなと決めていました。そして幼稚園の預かり保育が1時間500円かかるので、それでもペイできる時給があることです。
派遣時代にやっていた事務や経理などで、できることがあるといいなと考えていました。
ベンチャー企業のニーズと、自分の条件が合致
――今働いている会社には、どのように決まったのでしょうか。
1度目に紹介された会社は、すごく素敵な職場だったのですが、家からやや遠い場所でした。面接もしましたが、お互いのニーズも合わずお断りされました。
2つ目に紹介されたところが、会社側が求めていることを満たせていたようで、しかも家からも近く、無事決まりました。仕事を見つけるのは大変かもしれないと覚悟していたので、本当にラッキーでしたね。
決まった会社は、当初は社長と取締役しかいない小規模なベンチャー企業でした。毎日フルタイムの人に来てもらうほどの規模でもなく、週何日か管理業務や経理を手伝ってくれる人を探していたようです。私の条件と会社のニーズがうまく合ったのだと思います。
――ベンチャー企業と聞くと、仕事が大変そうだなと思う方もいそうですね。
何か仕事としてできあがっていた物があったわけではなかったので、わからないことがあったら、その都度調べながら仕事をしました。性格的に新しいことを調べたりするのは苦ではなかったです。条件を超えて残業が増えることもなく、大変さは感じませんでした。ベンチャー企業の仕事があうかどうかは、性格も関係あるかなとおもいます。
――久しぶりに仕事復帰した心境は?
まずは、仕事復帰できたことに感謝しています。これまで比較的大きな会社の一部門として働いたことはありましたが、小さな会社の管理部を1人でやったことはなく、良い経験になりました。自分にもできるんだ!という強みを発見できた気もしています。家庭の他でも必要とされる場所があるのは有り難いです。
そうはいっても、仕事の他にも地域のボランティアをしていたり、今年は兄妹それぞれの学校でPTA役員もやっています。午前中が打ち合わせで、すべてうまる週もあります。忙しい毎日で充実もしていますが、家事が以前よりも回らなくなったのは確かです。笑
「完璧な家事」というプレッシャーから解放
――その他、仕事を再開して良かったと思うことはありますか?
私、実は家事が苦手で、どうしても完璧には出来ないんです…。働いていると、『できなくて当然!完璧じゃなくていいじゃない』と自然に思えるのはいいなと思います。「完璧な家事」の呪縛からは解放されたのかもしれません。
あとは、専業主婦時代は、自分のお金というのがなかったので、何を買うにしても夫の許可をもらっていました。別に報告は義務ではないけど、気にしてしまう自分がいましたね。だから自由になるお金があるというのは、やっぱり嬉しいです。
――働くお母さんを、お子さんたちはどんなふうに見ていますか?
最初はとにかく学童が嫌なようでした。
クラスで友達はできても、学童に友達がいなかったようで…。「なんで迎えに来られないの?」「仕事って何?」みたいに思っていたようです。でも、半年くらいで慣れましたし、今はむしろ、行かなくてよい日にも「学童いきたい!」と言ってきます。
子どもってすぐ環境に適応するし、成長するんだなと感じます。息子や娘に仕事をしている母を知ってもらえてよかったなという気持ちもあります。
専業主婦で得られた、仕事にはない経験
――「専業主婦」という期間について、どう思いますか?
ビジネス的なキャリアという視点だと、専業主婦期間はブランクにはなると言われますよね。
でも、その間も、私の人生は続いてるんだけどなと思っていました。子どもを育てたり、家庭の運営はもちろん、地域のボランティアやPTA活動も経験しました。仕事だけでは得られない経験が沢山あったなと思います。そこをブランクとして見ず、キャリアや経験の一つとして見てもらえるといいなと感じています。
――確かに、そのブランクのせいでワーキングマザーも退職しにくかったりしますよね。『専業主婦になったら再就職できるのだろうか?』と不安を抱える方も多いと思います。
女性だけではなく、男性でも最近は専業主夫をされるかたもいますよね。男性も介護が必要になったり、学生に戻りたくなったり、もしかすると少し休みたくなるときもあると思います。専業主婦だけを認めてというより、いろんな選択肢を認めて欲しい。数年の働かない空白期間があっても、それを受け入れてくれる社会だともっと生きやすくなるのにと思います。
周りを見渡しても、専業主婦歴が長いと、知り合いの紹介などで仕事を見つける方が多いです。私がもし、普通にハローワークへ行ったり、求人サイトから応募していたとしたら、履歴書の時点ではじかれていたかもしれません。専業主婦が、負い目なく堂々と求人に応募できるようになるといいなと思います。
――もし、働き方に迷っている方がいたら、どんなことを伝えたいですか?
仕事復帰して1年半、良い経験ができました。
これまでのキャリアは思うようにいかないこともありましたが、なんとか楽しくやってこられたなと思います。今まで、ひどい職場で働いた事もありましたが、経験を増やすことが出来たし、自分を知るキッカケにもなりました。私のように、働くことにそこまで切羽詰まっていなくても、働くことで得られたものは大きいなと感じます。私が、専業主婦期間を経て仕事ができたように、様々な動機で、また働きたい方にチャンスがあるといいなと思っています。
私が、偶然知り合った方から仕事を紹介してもらったように、思いがけないところからチャンスは広がっていきます。気軽に周りに声をかけたり、繋がりを広げてチャンスを掴んで行ってほしいなと思います。
(取材協力・母親アップデートコミュニティ)
(取材ライティング/ 柳澤聖子)
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