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公開 2021年07月30日   更新 2022年07月25日

はじめての駄菓子屋で、同じくじ引き3回!?言いかけた言葉をグッと飲み込んだワケ

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家の近くに駄菓子屋さんがあると知り、双子と出かけてみました。


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はじめて知った、近所の駄菓子屋さん


「家の近くの公園の裏に駄菓子屋さんがあるんだって」

リビングから、小学校3年生になった双子たちのそんな会話が聞こえてきたのは、平日の昼間のことでした。

最近は放課後といえば自分たちで公園に行くか、家でマンガを読んでいる双子たち。

「ちょうどその公園の近くの郵便局にいくから、一緒に行く?」

と、声をかけてみました。

「えー、行ってみようかな!」

3人で駄菓子屋さんを目指し、出かけることにしました。


昔は、右手に娘、左手に息子と両手をつないでいたのに、今は自分たちでスタスタと歩く2人。

「駄菓子屋さんってどのへんにあるんだろうね?」

「この前、社会の授業の”まち探検”したときは見つけられなかったよね」

そんな2人の会話を聞きながら、郵便局にたどり着きました。

郵便局で駄菓子屋さんの場所を聞いてみると、「その角を右に曲がるとありますよ」と教えてもらえました。

言われたとおり角を曲がると……

そこには、絵に描いたような駄菓子屋さんがありました。


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時がとまった空間


はじめての駄菓子屋を前に、双子たちは目を輝かせていました。

入り口は狭く、店内は薄暗く、駄菓子屋特有の甘いような酸っぱいような、どこか懐かしい匂い。

スーパーボールや、古めかしいアイドルのカード、くじびきの景品など、壁に色んなものが吊るされていました。

レジとも呼べないほどの入り口の小さな空間では、ラジオを聞きながら居眠りしているおじいさんが店番をしていました。

まるで時代が止まったかのようなその空間。

そこは子どもたちだけが入れる、神聖な場所のようでした。


双子たちはいつも見ている、駄菓子屋を舞台にしたアニメを例えに出して

「銭天堂みたいだね!」

そんな話をしている双子たちに、生まれてはじめての”本物の駄菓子屋さん”を体験してもらおうと、200円ずつ渡してみました。

キョロキョロしながら店内に入っていった2人。

はじめての駄菓子屋にどんなことを感じるんだろう。

そんなことを思いながら、私はお店の外で待つことにしました。


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懐かしい思い出


2人を待っている間、急に自分が小学生の頃の記憶が蘇ってきました。

あれは小学校2年生ぐらいのときのこと。

学校から帰ると、毎日公園に遊びに行き、友達と一緒に駄菓子屋さんへ行っていました。

セミの声が聞こえる公園。

よくみんなで、ビニールに入ったコーラドリンクを飲んでいました。

いつもは蓋をちぎって飲んでいたけど、ある日、同級生が名札の針で穴を開けて飲むという画期的な方法を発明して以来、こぞってみんなで細いコーラを堪能していました。

糸引きあめばっかり買う友達がいたことや、爪楊枝で食べるさくらんぼ餅と青りんご餅の物々交換をしていたこと。

無限きなこ棒(あたりを引当て、ひたすらきなこ棒を食べること)にチャレンジしたり、ココアシガレットでたばこの真似をする男子。

駄菓子屋を巡る当時の楽しかった記憶が、次から次に浮かんできたのです。


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意外な展開


そんなことを考えていると、双子たちが店内から出てきました。

どうやら、おじいさんの後ろに吊るしてある「鈴」のくじびきをやってみたいとのこと。

1回30円。

くじを引いて、めくった番号の鈴がもらえる仕組みのようでした。

「おじいさんにお願いすれば?」と伝えると、双子たちは少しドキドキした様子で店内に戻って行きました。

まずは娘がくじびきに挑戦し、小さな水色の鈴をゲットしました。

つぎに息子も挑戦。ピンクの鈴をゲットした様子でした。

初くじびきは満足したかな?と思って見ていると、どうやら、もう一度くじ引きをするつもりらしく、レジからうごきません。

「え?」とは思いましたが、見守ることに。

そして双子たちそれぞれがもう一度くじ引きをし、さすがにもう満足しただろう。

そう思っていると、何を思ったのか2人はもう一度、同じくじ引きをしようとしているではありませんか。

「ちょっとまって!鈴ってそんなにいる?」

そんな言葉が口から出かかったとき、幼少期の自分を思い出し、ハッとしました。

「そうだ、双子たちはいま、生まれてはじめての駄菓子屋にいるんだ。今日は2人にとって特別な日なんだ。」

そう言い聞かせ、出かかった言葉を飲み込んだのでした。


3回目のくじびきで、娘は紫の鈴を当てていました。

そして最後に、息子が特大の赤い鈴を引き当てたのです。

買ってと言われたら、絶対に買うことは無いであろう、大きな赤い鈴。

見たことのないサイズの鈴に笑ってしまいました。

「いいなー、赤い鈴」と娘が言うと、息子はすかさず「さっきの水色の鈴と交換するのはどう?」と提案して、双子間の交渉が成立していました。

どうやら、息子は水色の鈴がどうしても欲しくて、何度もくじびきをしていたようなのです。

合計6個の鈴を手に入れた双子たち。

残ったお金で好きな駄菓子を買って帰ることにしました。


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なんでもない日も特別な日


帰り道、2人が歩くたびにシャリンシャリンと音がなって、夕方の住宅街に鈴の音が響いていました。

特大サイズの鈴の効果もあって、その音はちょっと恥ずかしいレベルの大きさ……

きっとこれからは、双子たちだけで駄菓子屋さんに行くことも増えていくでしょう。

2人はどんなお菓子を買って、どんな時間を過ごすのか。

また、くじ引きばっかりするかもしれません。

本当は、ついて行ってこっそり眺めたいけれど、いつかの私のように、親のいない空間で双子たちだけの思い出を作る年齢になってきたのです。

そう思うと

「今日、2人と一緒に駄菓子屋さんへ行ってよかったな」

そんなことを感じながら帰りました。

鈴の音を響かせながら双子たちと共に歩いたことも、いつかは懐かしく思う日が来るでしょう。

その時には、成長した双子たちに駄菓子屋の思い出を聞いてみたいなと思います。


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