我が家には小学校3年生の男女の双子がいます。
誕生日を迎え9歳になった双子たち。
自分のことは自分でできるようになり、小学校生活にも慣れ、日々の生活で手がかかることは随分となくなりました。
そうなってくると、親という生き物は欲張りなもので、今度は出来ていないことが目についてしまい、私は小言を言うことが増えました。
「学校の準備は終わったの?」
「ピアノの練習はした?」
「遊んだあとのゲームを片付けて」
その言葉に呼応するように、双子たちは
「わかってる」
「今やろうと思ってた」
「うるさいなぁ(私に聞こえないつもりで言っている)」
こんな風に言い返すことがが増えてきました。
極めて冷静に受け止めようと努めますが、言い返されるとどうしても
「わかってるなら、なんでやらないの?」
「今やろうと思っていったなら、さっさとやりなよ」
「だれがうるさく言わせてるの」
こんな気持ちになる日々です。
そんな日々のなか、娘は反抗的な態度も見え隠れしつつも、私が出かけようとすると「一緒に行きたい」とついてくることが増えました。
かたや息子はと言うと、「僕はいかない」モードがほとんど。
最近は、双子といえども「個人」なのだから、同じことをする必要はない。
私から2人に対して、同じ経験ができるように機会は提供するけど、あとの判断は双子たちに任せよう。
双子を育ててきた9年間で、私はそんな気持ちの整理ができるようになりました。
すると結果的に、娘と一緒にいる時間が増えて、会話をする時間も増えました。
学校の係活動でお友達とケンカをしてしまって、気まずかったけど仲直りできた話。
体育で2重跳びが飛べるようになった話。
4年生になるとクラブ活動が始まるので、どのクラブにしようか考えている話。
最近図書館で借りて読んだ面白かった本の話。
など、娘は色んなことを教えてくれました。
小さい頃のように、歩けるようになった!とか、言葉をしゃべれるようになった!とか、そんな大きな変化ではないけれど、娘には娘の世界があって、日々成長しているんだなと感じていると……
「そういえば息子くんってさ、怒られた後いつも『お父さんやお母さんは何もわかっていない!』って、こっそり私に言ってくるんだよ」
と娘が教えてくれました。
息子は、私や夫になにか注意をされると、納得できない気持ちを娘に話しているのでしょう。
「そうなんだね、そんなこと言ってるんだね」と伝えると
「そうそう。怒られるようなコトしてるの、自分なのにね……。でも、息子くんの気持ちもわかる」と言ったのです。
日々の生活の中で、親から色々言われるのは、心地よいものじゃないことは私も経験上知っています。
だから、双子たちの気持ちもわかる。
そしてそれが、彼らが成長しているからこそ訪れているものであることも知っています。
そこで私は、娘にこんな話をしました。
「9歳を過ぎてくると、以前よりも色んなことが分かるようになるし、色んな気持ちを感じるようになって、お友達と一緒にいることも楽しくなるよね。
その分ケンカすることもあるかもしれないけど……。
自分でできることも増えて、お父さんやお母さんにむかって、うるさいなーとか、同じこと何回も言わないでよ、とか思うことも増えてくるよね。
でもそれは、心も身体も成長している証拠なんだよ。
だから2人から言い返されたら、全然嬉しくはないんだけど(イライラしちゃうこともあるんだけど)、言い返したい気持ちはわかってるんだ。
そして、2人は成長してるんだな〜って思ってるよ。
それにお母さんも小さいころ、おばあちゃんに言い返したことあるからね」
そう言うと、それまでだまって話を聞いていた娘は
「そっか、そうだったんだ…。言い返したくなるのって、大きくなったからなんだ……」
と、驚いたような、ホッとしたような、そんな顔を見せたのです。
もしかしたら娘は、最近の自分や息子が反抗的な態度をとってしまっていることはわかっている。
でも、言い返したくなる気持ちもある。
そんな葛藤?
葛藤まではいかないかもしれないけれど、自分自身の気持ちの変化を感じていたのだと思います。
だから、息子の話をすることで、私がどう思っているのか聞いてみたかったのかもしれません。
息子のエピソードをきっかけに、娘とはお互いが思っていることを話せて良い機会になりました。
その後の我が家はというと、私の小言は減らなくて、双子から口ごたえされると、やっぱりイラッとするんだけど
あの日の娘との会話を思い出して、言い返されても一瞬だけ「これも成長の証……」と思えるようになりました。
これからもっと激しい反抗期がやってくるかもしれません。
その時私たちはどんな会話をするか、会話ができるのかもわからないけれど、できることならば、お互いに気持ちを言葉にできるといいなと願っています。