絵本の読み聞かせは、まだ言葉のわからない0歳児であっても、子どもの成長にとってさまざまなプラスの効果をもたらします。
本記事では、読み聞かせによって得られる具体的な効果や、0〜3歳児までの年齢別におすすめの絵本を紹介します。
読み聞かせにおすすめの絵本を年齢別で紹介!
2,286 View絵本の読み聞かせは、表現力や集中力などの子どもの能力向上に効果的です。しかし、言葉のわからない幼い子どもに読み聞かせる絵本を選ぶのは難しいところです。本記事では、0〜3歳までの年齢別に、読み聞かせにおすすめの絵本と、読み聞かせの際の注意点を解説します。
家庭にとって絵本の読み聞かせは効果的
幼児期における絵本の読み聞かせは、語彙力などの言語能力といった子どもの能力向上にプラスの影響を与えるだけでなく、家庭で親子の信頼を深めていくうえでも効果的です。
この章では、絵本を読み聞かせることが子どもにどのようなメリットをもたらすのかを解説していきます。
参考:京都府立大学「幼児期の集団および家庭における絵本の読み聞かせと認知能力」
親子で過ごす時間作りに役立つ
日中仕事をしている親として、家庭で親子一緒に過ごす時間は貴重なものです。
忙しい毎日の中でも習慣的に絵本の読み聞かせを行うことで、親子が一緒に過ごし、コミュニケーションを取る時間を確保できます。
また、毎日のコミュニケーションによって子どもに安心感を与え、親のそばで肌の温もりを感じながら時間を過ごすことで、親子の信頼関係の構築にもつながります。
親が子どものために時間を作って絵本を読んであげることで「自分は愛されている」という実感を持ち、自己肯定感が高まることも期待できます。
想像力や思いやりの育ちにつながる
絵本を通して情景を思い浮かべたり、登場人物の気持ちを考えたりすることで、子どもの想像力を育てられます。
絵本の中で色々な世界観に触れることは、自分が社会でどう行動すべきかを考える訓練としても効果が見込めます。
想像力が身につけば、他者の気持ちを想像し、思いやりをもって接する力も養われます。
言語の習得に役立つ
絵本を読み聞かせることは、言葉の使い方を覚えたり、語彙を増やすことにつながるため、自分の言いたいことを適切な言葉で表現する力を育むことが期待できます。
絵本の感想や疑問を親子で共有する中で、言語に親しむ機会を増やすことにもつながります。
言語能力が高まれば、幼稚園や保育園でお友達とうまくコミュニケーションを取る手助けにもなります。
集中力の育ちにつながる
多くの子どもは、はじめのうちは集中力が続かず、絵本を読んでいてもすぐに気が散って飽きてしまいがちです。
しかし、絵本の読み聞かせを習慣化することによって、子どもの集中力を強化することに繋がります。
「次はどうなるんだろう?」と物語に没入する時間を作ることで集中力の向上が期待できます。
集中力を身につけることは、幼稚園や保育園での活動に加え、小学校に向けた準備にもなるでしょう。
年齢別に読み聞かせでおすすめの絵本を紹介
語彙力や理解力がぐんぐん成長する0~3歳。
子どもの様子に合わせて、読んであげたい絵本も変わっていきますよね。
「どんな絵本を読んであげればよいのかわからない」という方も多いかもしれません。
そこで以下では、0〜3歳までの年齢別に、おすすめの絵本と絵本の選び方を紹介します。
0歳児におすすめの絵本と選び方
0歳児への読み聞かせには、リズム感のよい言葉や面白い響きの音が多く使われ、イラストで興味を惹ける絵本が適しています。
「びりびり」「わんわん」「きらきら」など、動物や物、景色などを音で表現したオノマトペが使われているものもおすすめです。
また、読みながら親子のスキンシップを促す工夫がされた絵本もおすすめです。
以下、0歳児におすすめの絵本3冊を紹介します。
いないいないばあ
『いないいないばあ』は、1967年の発売から約半世紀を経て、2020年には累計700万部を突破したロングセラー絵本です。当時は赤ちゃんのための絵本の種類はあまりなく、赤ちゃん絵本のパイオニアのような存在だといえます。「ばあ」の場面の動物たちの絵は、赤ちゃんと目が合うように描かれており、発売当初から「赤ちゃんがよく笑ってくれる」と好評を博しています。「いない いない ばあ」と語りかけて一緒に楽しむことで、大人も赤ちゃんも笑顔になれる1冊です。
にじいろの さかな 0歳の本
『にじいろの さかな 0歳の本』は、パタパタと折れるじゃばら式のページや、鱗がキラキラと光る魚の絵など、赤ちゃんの興味を惹く仕掛けが施された0歳向けの絵本です。イラストのみで構成されており、ただ一緒に眺めたり、イラストから想像を膨らませてオリジナルのストーリーを作って話したりなど、自由な楽しみ方ができます。ページに厚紙を使用しているので、赤ちゃんが乱暴に扱ったり噛んだりしても破れにくい点も安心です。
しましまぐるぐる
「しましまぐるぐる」は、シリーズ累計185万部を超える人気絵本です。黒・白・赤の強いコントラストと、「しましま」や「ぐるぐる」といったパターンを繰り返し見せることで、赤ちゃんの視線を惹きつけます。顔のイラストも豊富に使われており、「触りたい」「めくりたい」という赤ちゃんの好奇心をくすぐります。何度も繰り返し見せることで、はじめは気づかなかった小さなアリの存在に気づくなど、発見の喜びがある点も人気の理由のひとつです。
1歳児におすすめの絵本と選び方
1歳は、さまざまなことに興味を持ち始める時期です。
パターンが決まっていて覚えやすいものや、想像力をかきたてるもの、真似してみたいと思わせる絵本が最適です。
以下、1歳児におすすめの絵本3冊を紹介します。
ねないこだれだ
1969年の刊行から世代を超えて愛され続ける「ねないこだれだ」は、せなけいこさんの絵本作家デビュー作「いやだいやだの絵本」シリーズの1冊です。シンプルなおばけの貼り絵と夜になっても寝ない子どもをおばけの世界に連れて行ってしまうという独特のストーリーが人気の赤ちゃん向け絵本です。
きんぎょが にげた
「きんぎょが にげた」は、金魚鉢から逃げた金魚を探す絵探しの絵本です。赤い水玉模様のカーテンや鉢植えの花、キャンディの瓶、盛りつけられたイチゴの隙間など、さまざまな場所に隠れる金魚を楽しそうに探す赤ちゃんが続出すると評判です。次々に逃げる金魚と追いかけっこをしているような気持ちになり、物語の世界に入り込んでいけるのでイラストのみの絵本から物語絵本にステップアップする第一歩としておすすめです。
しろくまちゃんのほっとけーき
「しろくまちゃんのほっとけーき」は、しろくまちゃんがお母さんと一緒にホットケーキを作る物語で、1970年の発売以来ロングセラーを続けるシリーズの中でも、特に人気の1冊です。ホットケーキが焼けるまでの12の工程を、「ぽたあん」「ぷつぷつ」「ぺたん」など楽しいオノマトペとともに見開きいっぱいの絵で表現しています。本を見ながら子どもと一緒にホットケーキを作ってみたくなるかもしれません。
2歳児におすすめの絵本と選び方
2歳になると言語の機能や想像力も発達し、絵本のストーリーをより楽しめるようになります。
子どもの好きな題材の絵本や、知育に役立つ絵本を選ぶのもおすすめです。
以下、2歳児におすすめの絵本3冊を紹介します。
参考:東京都教育委員会:「0歳児から2歳児の発達過程」
14ひきのぴくにっく
お弁当を作って春の野原でピクニックをする、というストーリー展開の「14ひきのぴくにっく」は、いわむらかずおさんの代表作「14ひきのシリーズ」の1冊です。自然の中で暮らす野ねずみの大家族の日常が美しい風景とともに描かれ、発売から30年以上経った今でも子どもたちを夢中にさせている人気作です。風景のそこかしこに生き物が隠れており、それらを自分の力で発見する楽しみがあります。
ぞうくんのさんぽ
「ぞうくんのさんぽ」は、ぞうくん・かばくん・わにくん・かめくんの散歩の様子を、ユーモラスなデザインと明るい色彩で描いた人気絵本シリーズの1冊です。物語の最後には、ぞうくんの背中に乗った動物たちが池に落っこちてしまうという予想外の展開が待ち受けています。常に友達を気に掛けるぞうくんたちの心暖かなやりとりは、本シリーズのどの作品でも共通しており、子どもの相手を思いやる気持ちを育むのに役立ちます。
雨、あめ
「雨、あめ」は、ある雨の日に姉弟が2人で雨具に着替え、傘を差して外に出て、水たまりで遊び、びしょびしょに濡れた体を拭いて温かい飲み物を飲むという、雨の日にしか味わえない楽しさを教えてくれる文字のない絵本です。蜘蛛の巣に光る雨の滴や水たまりに広がる波紋など、雨の日ならではの風景の美しさがいきいきと描かれ、次の雨の日が楽しみになるかもしません。
3歳児におすすめの絵本と選び方
3歳になると会話が上手にできるようになったり、約束や説得などの意味合いも理解できるような子もいる時期です。
この時期の子どもには、ストーリーがしっかりありつつも、内容のわかりやすさを意識した絵本がおすすめです。
以下、3歳児に読ませたい絵本3冊を紹介します。
ねずみくんのチョッキ
お母さんが編んでくれたチョッキを着て得意げにしているねずみくんのもとへ、「ちょっと着せてよ」と動物の仲間たちがやってきて、どんどんチョッキが伸びてしまうという物語絵本です。刊行から40年経った2014年にはシリーズ累計500万部を超え、今なお世代を超えて愛される人気作です。短い文章と似たようなフレーズの繰り返しが聞いていて楽しいだけでなく、ねずみくんやそのお友達の気持ちを考えながら一緒に読むことで、共感力を養うきっかけにもなります。
ぐりとぐら
料理と食べることが大好きな野ねずみの双子・ぐりとぐらが、森で見つけた大きな卵でカステラを作るというストーリーの「ぐりとぐら」。1963年に雑誌上で発表されて以来、日本だけでなく世界各国で人気を博しているロングセラーの絵本です。卵が大きすぎて運べないからこの場で作ろう、残った卵の殻で自転車を作って乗って帰ろうと、次々に楽しいことを思いつくぐりとぐらのおおらかな性格に、読み手の気持ちも柔らかくほぐれていきます。子どもに「失敗しても間違ってもやり直せばいい」という前向きなメッセージを伝えてくれる1冊です。
てぶくろ
1951年に旧ソビエト連邦で出版され、日本では1965年に翻訳出版された「てぶくろ」。おじいさんが森の中で落とした手袋の中にネズミが住み込むと、次々とカエルやウサギ、キツネなどの動物たちがやってきて仲間入りし、いっぱいの動物で手袋がはじけそうになったところに、おじいさんが手袋を探しに戻ってきます。「もう入らない」と言われながらもぎゅうぎゅう詰めになっていく動物たちの心温まるやりとりと、段々と縫い目が綻びていく手袋のリアルな描写が印象的です。
子どもに絵本を読み聞かせる時のポイント
絵本の読み聞かせによって得られる効果を高めるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
少しの工夫で効果に違いが生じるため、ぜひ以下で紹介する点に注意してみてください。
絵本を持つ位置に気を付ける
絵本は子どもにとって見やすく、集中しやすい位置で持つことが大切です。
絵がゆらゆらと動くと、子どもの集中が途切れてしまうためです。
登場人物の動きに合わせるなど、ストーリーに応じて動かす場合以外は、なるべく絵が動かないようにしっかりと絵本を持つことを意識しましょう。
読む時の抑揚を工夫する
ただ淡々と読むのではなく、ストーリー展開に合わせてゆったり読んだり、スピードを速くしたりなど、世界観を伝えられるような読み方を意識するのがおすすめです。
登場人物になりきって声色を変えてみるのもよいでしょう。
ただし、あまりオーバーに抑揚をつけてしまうと、子どもの関心が絵本の内容ではなく読み手である親に移ってしまうため、注意が必要です。
感情表現をオーバーにしすぎず、子どもが物語を想像する余地を残しておきましょう。
読み聞かせ後に感想を強要しない
絵本の読み聞かせ後、子どもは絵本のイラストを見て感じた気持ちや、物語の余韻の中にあります。
そこで親が即座に感想を聞いてしまうと、子どもが味わっていた感情を邪魔してしまうかもしれません。
子どもは、読み聞かせによって生じた気持ちをすぐに言語化することは難しいため、無理に感想を求める必要はありません。
ただし、子どもから絵本の感想を伝えてきたときには、きちんと向き合って会話をするようにしましょう。
以上、読み聞かせの効果や年齢別におすすめの絵本、読み聞かせのポイントなどについて解説しました。
読み聞かせに適した絵本は子どもの成長に応じて変わってくるため、本記事の内容も参考にしながら、ぜひ子どもに合った作品を探してみてください。
絵本の読み聞かせは、子どもの能力向上や親子の信頼構築において、非常に重要な役割を果たします。
親が義務のように感じて行ってしまうと、子どもとしても楽しむことができません。
親子の両方がイラストや物語を楽しむことが、読み聞かせの効果を高めるうえでは大切です。
絵本の読み聞かせについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。
【監修】絵本屋Hotto 代表 山田太一
産経新聞社で事件取材や行政取材を担当。同社退社後、リクルートキャリア入社。新卒採用媒体リクナビの営業担当を務める。その後、コンテンツマーケティングエージェンシーのクマベイスに入社。2022年12月、熊本市で絵本専門店「絵本屋Hotto」を立ち上げ、来店客に絵本選びのアドバイスを送っている。
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