結論としては、横向き寝そのものは問題ないといわれています。
大人と同じように、赤ちゃんにも心地いいと感じる寝姿勢があり、横向きになるとぐっすり眠れる子もいます。
しかし、横向き寝はうつぶせになりやすい姿勢です。
横向きの姿勢からうつぶせになることで、引き起こされるリスクがあります。
睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因として、厚生労働省が警鐘を鳴らしているのが、乳幼児突然死症候群(SIDS)です。
乳幼児突然死症候群は、睡眠中の赤ちゃんが突然亡くなる原因不明の病気を指します。
予防法は確立されていませんが、厚生労働省によると、仰向け寝よりも横向き寝やうつぶせ寝の方が発症リスクは高いとされているのです。
厚生労働省は乳幼児突然死症候群の発症リスクを下げるため、1歳になるまでは仰向け寝を推奨しています。
赤ちゃんが横向き寝をすると、乳幼児突然死症候群のほかにもいくつかのリスクがあります。
こちらでは、赤ちゃんが横向き寝をすることを避けたい理由について解説します。
赤ちゃんが横向き寝で寝ると、寝返りをしたときにコロンとうつぶせ寝になってしまう可能性があります。
うつぶせになると、布団で鼻や口が塞がって窒息してしまう恐れがある点に注意が必要です。
また、うつぶせ寝だと、自分が吐いた息を再び吸う、再呼吸のリスクが高くなるといわれています。
再呼吸を長時間続けていると、身体の中の酸素が薄くなり、健康被害が生じるケースもあるのです。
このようなトラブルを避けるために、赤ちゃんが1歳になるまでは仰向けの姿勢で寝させるよう意識してください。
横向き寝によって、股関節脱臼を誘発することがあるといわれています。
一般的に、赤ちゃんは仰向けで寝転んだときに、股関節と膝が軽く曲がり、M字型になっているのが自然です。
横向きの姿勢だと片方の足が内側に曲がったり立ったりするので、下半身が不自然になって股関節が脱臼するリスクがあるといわれています。
赤ちゃんの頭の骨は月齢が低いほどやわらかいため、外部からの衝撃で変形しやすいといわれています。
そのため、頭の骨がやわらかい時期に横向き寝の癖があると、床についている側の頭が平らに変形する可能性があるとされているのです。
頭の変形リスクを考えると、横向きに限らず、仰向けの姿勢も長時間続けないよう注意すると良いでしょう。
睡眠中に長時間同じ姿勢でいると、一方向に圧力が集中します。
その結果、寝相によっては、歯並びが悪くなる可能性があるといわれているのです。
とくに横向き寝では、頭の重さが床についている下側に集中します。
横向き寝の癖があると、下側になるあごや顔の成長が阻害され、歯並びのゆがみにつながりかねません。
顔や歯並びのゆがみは、思春期になると急速に悪化するケースがあります。
そのため、ゆがみの原因となる寝相の癖は、幼い頃から気をつけておきたいものです。
赤ちゃんを寝かせるときには、いくつかの要点を知っておくことが大事です。
こちらでは、赤ちゃんの寝かせ方について解説します。
厚生労働省が推奨するように、基本的に1歳になるまでは、仰向けで寝させるようにしましょう。
仰向けだと赤ちゃんがなかなか寝付いてくれない場合は、うつぶせや横向きの姿勢で寝かしつけたあとに、そっと仰向けの体勢にしてあげてください。
赤ちゃんが寝入って仰向けの体勢に整えるまでは、パパママがうっかり眠ってしまわないように気をつけましょう。
うつぶせや横向き寝のままで放置してしまうと、窒息などの危険があります。
消費者庁は、赤ちゃんが2歳になるまで、なるべくベビーベッドで寝かせるよう呼びかけています。
なぜなら、寝返りができるようになった赤ちゃんは、睡眠中に身体を動かし、誤ってベッドから転落する恐れがあるからです。
また、大人用の布団で寝返りをしてうつぶせになると、顔が布団に埋まって窒息する危険性があります。
このようなリスクを避けるため、2歳未満の赤ちゃんはベビーベッドで寝かせる習慣をつけてください。
赤ちゃんを寝させる敷布団を選ぶ際は、硬めの素材かどうかを確認してください。
やわらかい低反発タイプを選ぶと、赤ちゃんがうつぶせになったときに頭が沈み込み、窒息してしまう危険性があります。
ベビー用布団の多くは硬めに製造されているので安心ですが、パパママと同じ布団で寝かせたい場合は、硬めの素材に替えましょう。
また、敷布団のみならず、ベッドマットレスの場合も同様です。
基本的に、0歳の赤ちゃんに掛布団は必要ありません。
掛布団が顔の上にかかると、鼻や口が塞がれて窒息のリスクが高くなるからです。
赤ちゃんには掛布団を掛ける代わりに、スリーパーやおくるみ、スリーピングバッグなどを用いましょう。
また掛布団を用いる場合は、赤ちゃんが自分で払いのけられるように軽いものを使用してください。
掛布団を掛けてあげるときには、頭に被らないように気をつけましょう。
赤ちゃんは睡眠中、どのような動きをするかわかりません。
角のある硬いものなどが近くにあると、寝返りの際にぶつかってケガをする恐れがあります。
また、ぬいぐるみやクッションなどのやわらかいものに顔をうずめてしまうと、窒息リスクが高まるのです。
このようなリスクを避けるために、寝ている赤ちゃんの周りに危険なものを置かないようにしましょう。
シーツもたるんだ形状にすると危険なので、ピンと張っているか確認してください。
こちらでは、赤ちゃんが横向き寝になってしまう癖の直し方について解説します。
横向き寝を確実に直せる策は確立されていないものの、以下の方法を試してみてください。
赤ちゃんの横向き寝を直すためには、赤ちゃんが眠ったあと、こまめに様子を確認して姿勢を仰向けにすると良いでしょう。
仰向けにすると起きてしまう場合は、身体の下側になっている足や腕をそっと引き出すだけでも構いません。
パパママがトイレに起きたときや授乳のときなどに、赤ちゃんの寝姿勢をこまめにチェックしてください。
赤ちゃんの寝姿勢を正すために、横向き寝防止グッズの使用を検討するのも1つの手です。
寝返り防止クッションやドーナツ枕など、さまざまな横向き寝防止グッズが市販されています。
また、モビールやメリーなどのおもちゃで気を引いて、仰向けの姿勢に誘導するのも良いでしょう。
今回は、赤ちゃんが横向き寝をすることを避けたい理由や、寝かせ方の要点などについて解説しました。
赤ちゃんの横向き寝を放置していると、窒息や頭部変形などのリスクがあることを知っておきましょう。
赤ちゃんを寝かせるときは、布団選びや姿勢に注意してください。