各地で猛暑日となる日が増え、いよいよ夏本番。電気代が高止まりする中、家庭の消費電力の多くを占めるエアコンは、節電の取り組みにおいて無視できない存在です。これらを背景に、ダイキンではこのたび生活者が取り組むエアコンの節電の実態を調査しました。
東京で最高気温が30℃を超えた6月中旬に実施された今回の調査でまず明らかになったのは、すでにエアコンが必要な暑さにもかかわらず、電気代高騰を背景に「エアコンの使用を控える」という人が約7割にのぼったことです。
「電気代高騰により、エアコンの使用自体を控えようと思いますか」という質問に対して、7割以上(71.1%)の人が「とても思う」、「やや思う」と回答しました。
これは、ダイキンが5月に行った調査(*1)結果(エアコンの使用自体を控えようと思っている人:61.7%)と比べて約10ポイント上昇した結果となり、気温が高い日が増えてくる中で、エアコンや電気代への意識が高まってきた可能性が考えられます。
夏のピーク時間帯にご家庭の電力消費の多くを占めるとされるエアコンですが、厳しい暑さの中、節電のために無理に使用を控えると、熱中症を引き起こすリスクも考えられます。
そのため暑さ対策として、エアコンを適切に使用することが重要となります。
エアコンの仕組みを知って節電しながら上手に使用することが、エアコンの積極的な使用につながるのではないでしょうか。
※1. 電気代値上げとエアコンの節電に関する意識調査
https://www.daikin.co.jp/press/2023/20230530
夏、部屋が「暑い」と感じるのは空気中にたくさんの「熱」があるからです。この熱を減らして部屋を「涼しく」するのがエアコンです。
エアコンは、「室内機」と「室外機」がパイプ(配管)でつながっていて、室内の「熱」を家の外に運び出して部屋を涼しくしています。
室内機はファンを使って「暖かい」空気を吸い込み、熱交換器で集めた熱を冷媒が受け取り、外に運び出します。そして熱が少なくなった「冷たい」空気が部屋の中に戻されます。
こうした仕組みのエアコンの節電ポイントは、熱をスムーズに集めて逃がせる状態をつくることや、圧縮機に余計な負荷をかけない使い方をすることです。
空気の通り道をふさがない方法①:フィルターにほこりをためない
フィルターにホコリがたまっていると、熱交換器を通る空気の量が減ることで効率的に熱を集められなくなり、室温が設定温度に到達するまでに時間がかかってしまいます。
その分、電気代がかかってしまいますので、空気の通り道をふさがないよう、2週間に1回を目安に、フィルターの定期的な掃除を心掛けましょう。エアコンのフィルターを一年間掃除しないと、消費電力が約25%も無駄になると言われています。
さらにダイキンの調査では、フィルターに積もった3年分のホコリを掃除すると、なんと約50%の無駄な電気を削減できることもある、という結果(*2)にもなりました。
※2. フィルター掃除と室外機周辺の片付けによるエアコンの節電効果を検証
https://www.daikin.co.jp/-/media/06A4BFF650DE4A95ACA6239B779BA4B5.ashx
空気の通り道をふさがない方法②:室外機まわりもスッキリさせる
空気の通り道は、室内の「熱」を外に逃がす「室外機」にとっても大切です。室外機周辺に障害物があり、吸込口や吹出口が塞がれてしまうと、熱を効率的に逃がせずエアコンに負荷がかかり、無駄な電力消費につながります。
室外機の周辺はすっきりと、余計なものは置かないようにしましょう。
エアコンは室内機で集めた「熱」を、「冷媒」というガスが運んで、「室外機」から外に逃がして部屋を涼しくしています。
この「冷媒」を循環させているのが、“エアコンの心臓”ともいえる「圧縮機」で、圧縮機は冷媒に圧力をかけ、送り出す動作を繰り返しています。
エアコンを動かす電気の大部分は、この「圧縮機」を動かすために使われるのですが、その割合は、なんと約80。エアコンの消費電力のほとんどは圧縮機が使っています。
圧縮機への負担を減らす節電の工夫①:スイッチのオン・オフは控えめに
スイッチのオン・オフを繰り返すと、圧縮機への負荷が高まる頻度が増え、その分、多くの電力を消費します。
ダイキンの実験では、日中の場合30分程度の外出なら一度オフにするより「つけっぱなし」の方が節電につながる結果となりました。エアコンの頻繁なオン・オフはなるべく控えるようにしましょう。
圧縮機への負担を減らす節電の工夫②:設定温度を下げる代わりに風量を上げる
エアコンの設定温度を下げると、より多くの熱を運ばなくてはなりません。その
分、圧縮機に負荷がかかります。
早く涼しくしたい時、設定温度を下げる代わりに、風量を上げて「体感温度」を下げるのも工夫のひとつです。
風量を上げると、室内機の音が大きくなって電気をたくさん使っているように感じるかもしれませんが、実は、ファンを動かすモーターは、圧縮機と比べて、とても少ない電気で動きます。
「早く」、「涼しく」したい時は、設定温度を下げる前に風量を上げてみましょう。
圧縮機への負担を減らす節電の工夫③:風量自動で効率的に運転を
節電しようと風量を弱めに設定していると、熱交換器を通る空気の量が減り、「熱」を集めるのに時間がかかるため、その分圧縮機に負荷がかかり、余計な電気を使ってしまいます。
風量を自動にしておくと、エアコンはスイッチを入れたあと、どんどん熱を運び出し、すばやく部屋を涼しくします。
必要な分だけ室内の熱を減らせたら、あとはお部屋の温度を維持できるように安定運転を続けます。風量自動は、より効率的な運転で圧縮機の負荷を抑えます。
エアコンは基本的に「風量自動」を心掛けましょう。
暖かい空気は上昇する性質があり、冷房中は天井付近と床付近の温度に差が出る「温度ムラ」が起こりやすくなります。「温度ムラ」があると、エアコンの無駄な運転につながりやすくなります。
室内の温度ムラを抑える節電①:風向は水平に
少しでも「温度ムラ」を抑えるには、風向は「下向き」ではなく「水平」にするのがおすすめです。
冷たい空気は重いため、床方向にたまる性質があります。
最初から床付近に冷気を送り込むのではなく、上から下に冷気が自然に降りるようにすることで、「温度ムラ」を抑える効果があります。
また、エアコンの風が身体に直接あたる不快感を和らげることにもつながります。
室内の温度ムラを抑える節電②:空気清浄機などを活用した空気の撹拌
風向を水平にしても、時間とともに「温度ムラ」はできてしまいます。「温度ムラ」をより抑えるには、空気清浄機や扇風機、サーキュレーターなどの活用もおすすめです。
エアコンと向かい合わせに置き、床付近の冷気を、ななめ上、天井方向に持ち上げるようにしてみましょう。室内の空気を撹拌すれば、さらに温度ムラがやわらぎます。
気流をコントロールしながら、無駄な電力消費を抑えましょう。
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今回ダイキンが公開したWEBコンテンツ「エアコンの『冷やすしくみ』と電気代の関係」では、これらエアコンの節電方法を、分かりやすい動画とともに紹介しているので、夏本番に向けて一度チェックしてみてはいかがでしょうか。