厚生労働省の調査によると、離乳食に関して何らかの困りごとを抱えているパパママは、およそ75%に上ります。
その中でも「食べる量が少ない」という悩みは21.8%、「食べるのを嫌がる」という悩みは15.9%と、離乳食を食べないことで悩まれているパパママは多いです。
前提として、離乳食を食べる量は赤ちゃんによって異なります。
月齢の目安よりも食べる量が少ないと不安になってしまいますが、赤ちゃんが順調に成長していれば問題ありません。
赤ちゃんの成長ペースを見ながら、その子に合った量の離乳食を食べさせることが大切です。
赤ちゃんが離乳食を食べない・食べなくなった......なぜ?考えられる理由と対処法をご紹介
5,161 View赤ちゃんが離乳食を食べなくなったり、食事に集中しなくなったりすることが続くと、パパママも心配になってしまいますよね。実は、赤ちゃんが離乳食を食べなくなる理由は、月齢や状況によって異なります。今回の記事では、赤ちゃんが離乳食を食べない理由や対処法についてご紹介します。赤ちゃんが離乳食を食べてくれなくてお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
「赤ちゃんが離乳食を食べない」という悩みを持つパパママは多い
参考:厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要」
赤ちゃんが離乳食を食べない理由は?考えられる理由と対処法
赤ちゃんが離乳食を食べない理由としては、いくつかのものが考えられます。
ここからは、考えられる主な理由と対処法についてご紹介します。
お腹がすいていない
離乳食を食べるタイミングによっては、お腹がすいていなくて食べてくれないことがあります。
離乳食は、母乳やミルクをあげる前のタイミングで与えるのが基本です。
離乳食初期~完了期の母乳・ミルクの量は、以下を目安にしてみてください。
母乳やミルクをあげた直後に離乳食を食べさせようとしても、お腹が満たされていて食べてくれない可能性があります。
母乳・ミルクのリズムを踏まえて、離乳食を食べるタイミングを見直してみましょう。
参考:子育てあっとなら|奈良市の子育ておうえんサイト「赤ちゃんの食事」
離乳食のかたさ・大きさが合っていない
赤ちゃんの噛む力や歯の生え方と、離乳食のかたさ・大きさが合っていないと、食べづらい可能性があります。
離乳食初期〜完了期のかたさ・大きさの目安は、以下のとおりです。
離乳食がかたすぎたり、大きすぎたりすると、赤ちゃんがなかなか食べてくれません。
赤ちゃんの食べる様子を見ながら、食べやすいかたさになるよう調理方法を工夫してみてください。
離乳食以外のことに興味が向いている
赤ちゃんは成長とともに、さまざまなことに興味を持つようになります。
食事以外のおもちゃやテレビなどに興味が向いている場合、離乳食に集中してくれなくなる可能性があるのです。
食事の時間は、テレビの電源をオフにするなどして、離乳食に気持ちを向けやすい環境を作りましょう。
参考:逗子市「食べ歩きしてしまう。落ち着いて食べない。どうしたら良い?」
【月齢別】赤ちゃんが離乳食を食べない理由と対処法
上述した理由のほかに、月齢ごとに食べなくなる理由がいくつか考えられます。
ここからは、月齢別に赤ちゃんが離乳食を食べない理由と対処法をご紹介します。
離乳食初期(5~6ヶ月)の場合
生後5〜6ヶ月頃は、離乳食デビューをする離乳食初期です。
ここからは、離乳食初期に食べなくなる理由をご紹介します。
◆まだ離乳食をスタートする時期ではない
離乳食を開始してすぐに赤ちゃんが食べてくれなくなった場合、まだ離乳食をスタートするタイミングではないことが考えられます。離乳食開始の目安は生後5〜6ヶ月頃ですが、赤ちゃんによって個人差があります。
離乳食を開始する目安として、赤ちゃんに以下のような様子が見られるか確認してみてください。
・首がしっかりすわっている
・大人が食べる様子をじっと見ている
・食べたそうに口を動かしている
・スプーンなどを口に入れても、舌で押し出す哺乳反射が少なくなる
哺乳反射とは、意思とは無関係の反射的な動きで、口の中に入ってきたものを舌で押し出す現象のことです。
通常、哺乳反射は生後4〜5ヶ月頃から徐々に消えていくとされています。
哺乳反射を防ぐためには、スプーンを口の奥まで入れすぎず、自然に食べ物を口の中に運ぶのがポイントです。
参考:厚生労働省「Ⅱ離乳編」
◆舌触りや味に慣れていないため嫌がっている
離乳食初期は、母乳やミルクと異なる舌触りや味に慣れることが目的とされています。慣れない舌触りや味を嫌がって、はじめの頃は離乳食を食べてくれない赤ちゃんも少なくありません。
この時期の離乳食は、とろとろになるまで裏ごししたり、つぶしたりしてペースト状のなめらかな食感にしましょう。
母乳やミルクのような慣れている食感に近づけてあげることで、離乳食への抵抗が少なくなるかもしれません。
参考:厚生労働省「Ⅱ離乳編」
離乳食中期(7~8ヶ月)の場合
生後7~8ヶ月頃は、少し離乳食に慣れてきた離乳食中期にあたります。
この時期に、食べてくれなくなる理由として考えられるものをご紹介します。
◆離乳食のバリエーションが少なく、飽きている
この時期の赤ちゃんは味覚が発達してきているので、毎日同じ食材を使うことが多い場合は、舌触りや味に飽きている可能性があります。離乳食中期は、味や舌触りを楽しめるよう、食品の種類を少しずつ増やしていきたい時期です。無理のない範囲で、食材にバリエーションをつけてみましょう。
たとえば離乳食中期には、オクラ、ほうれん草、トマト、小松菜などさまざまな野菜を食べられます。
また白身魚だけでなく、赤身魚を試しても良い時期なので、食事に加えれば味のアクセントになるでしょう。
参考:厚生労働省「2019年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業「授乳・離乳の支援ガイド」の普及啓発に関する調査研究」
参考:厚生労働省「Ⅱ離乳編」
参考:子育てあっとなら|奈良市の子育ておうえんサイト「赤ちゃんの食事」
離乳食後期(9~11ヶ月)の場合
生後9~11ヶ月頃は、ますます食べるのが上手になる離乳食後期です。
この時期に食べなくなる理由としては、以下のようなものが考えられます。
◆手づかみ食べがしたい
この時期の赤ちゃんは、手づかみ食べをしたくなる傾向にあります。手づかみ食べとは、自分の手で食べ物をつかんで食べる行動のことです。食べ物を手で触り、口に運ぶ動きを通して、食事への関心の高まりや、自分の意思で食べようとする行動にもつながります。
パパママがスプーンやフォークで食べさせようとしている場合、赤ちゃんは手づかみ食べをしたくて、離乳食を拒否している可能性があります。
そのようなときには、スティック状にカットした野菜やおにぎりなど、手づかみ食べしやすいものを渡してあげると良いでしょう。
参考:厚生労働省「Ⅱ離乳編」
生後12~18ヶ月頃は、離乳食から大部分の栄養素を補えるようになる離乳食完了期です。
この時期の赤ちゃんが離乳食を食べない理由としては、以下のようなものが考えられます。
◆遊び食べをしたい
この時期の赤ちゃんは、食事以外にもさまざまなことに興味がわくため、なかなか食事に集中できず遊び食べをしてしまうことがあります。
対策としては、毎日決まった時間に起床して日中はたくさん身体を動かし、食事の時間にお腹がすくように工夫してみてください。
食事中に気が散るような音楽やテレビは消して、できるだけパパママも食卓に座りましょう。
このような工夫をしても、どうしても遊び食べをしてしまうこともあります。
そのようなときは、無理やり食べさせるのではなく、30〜40分ぐらいで食事を切り上げてしまうのが賢明です。
参考:逗子市「食べ歩きしてしまう。落ち着いて食べない。どうしたら良い?」
赤ちゃんが離乳食を食べないときの2つのポイント
ここからは、赤ちゃんが離乳食を食べてくれないときのポイントについてご紹介します。
やみくもに慌てるのではなく、赤ちゃんの成長や栄養バランスを見ながら、毎日の食事を工夫しましょう。
赤ちゃんの身長・体重を確認する
食事量が足りているかどうかは、赤ちゃんの身長・体重の増え方で確認しましょう。
母子手帳などに載っている乳児身体発育曲線に沿っていれば、食べる量が目安より少なくても問題ありません。
体重が増えなかったり、曲線から大きく外れていたりして心配な場合は、早めに医師に相談するのがおすすめです。
参考:厚生労働省「Ⅱ離乳編」
鉄の不足に注意する
離乳食の時期になると、ママのお腹にいたときに蓄えていた鉄分が不足しやすくなります。
そのため、小松菜や赤身魚、大豆製品など、鉄分を補える食材を積極的に使用しましょう。
離乳食が思うように進まない場合は、フォローアップミルクの活用も検討してみてください。
フォローアップミルクは、ビタミンや鉄を強化した食品で、生後9ヶ月以降から使用できます。
与える場合は、母乳や育児用ミルクの代替品としてではなく、追加で与えましょう。
離乳食が順調に進んでいる場合は、フォローアップミルクを使う必要はありません。
参考:厚生労働省「Ⅱ離乳編」
参考:松本市「離乳食のQ&A」
まとめ
今回は、赤ちゃんが離乳食を食べない理由や対処法についてご紹介しました。
離乳食を食べない理由は、赤ちゃんの成長段階や体質などによって異なります。
まずは、赤ちゃんが順調に成長しているかどうかを確認しながら、その子に合った離乳食の進め方を考えていきましょう。
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