先日、こんなツイートが話題となりました。
子どもが「なぜ勉強をするの?」と母親に聞いたときのこと。そのお母さんは、こう答えてくれたそうです。
「なぜ勉強するの?」という質問へのあるお母さんの回答が素晴らしすぎる「コップの水を見たときにね…」
438,105 View子どもからの「なぜ勉強をするのか」という質問に対するあるお母さんの回答が話題となっています。多くの大人が学校に通っているにもかかわらずあまり考えたことのない「なぜ勉強をするのか」という疑問ついてその理由を考えてみました。
なぜ勉強をするの?その時、母はコップを指さして…
勉強をなぜするのか親に訊いたときに、コップを指して「国語なら『透明なコップに入った濁ったお茶』、算数なら『200mlのコップに半分以下残っているお茶』、社会なら『中国産のコップに入った静岡産のお茶』と色々な視点が持てる。多様な視点や価値観は心を自由にする」というようなことを返された
このツイートは4万件近くのリツイートやお気に入り登録がなされるなど、多くの共感の声がこのお母さんの回答に集まりました。それと同時に、「なぜ勉強をするのか」という問いは、多くの人にとってとても大きな関心であることが分かります。
このツイートを見たときに、私はちょうど中学生の時に、自分の母親に「なんで勉強をしなくちゃいけないの?」と、全く同じ質問をしたことを思い出しました。
なぜ勉強をするのという質問にわたしの母は…
そのとき、私は高校受験を目前に控え、ストレスも最大に。
そんな状況のなかで、「●●が起こったのは、19××年のこと」「この電車の到着時間は何時になるか」といった覚える意味も、考える意味もよく分からないものに一生懸命取り組むことに疑問を感じ始めていました。
なかば当たり散らすように母親に「なんでこんな勉強しなきゃいけないの!」と聞いた覚えがあります。
すると、最初の母の回答は、
「ちょっと待っててね」
でした。
それから、しばらくして部屋に戻ってきた母は、ゆっくりと自分の言葉で話し始めました。
「さっきの質問ちょっと考えてみたよ。いま、お母さんはお客さんを相手にする仕事をやっているけど、お店にはいろんなお客さんが来て、お話する機会がたくさんあるんだよね。
この間、戦争を経験したおじいちゃんがお客さんで来たの。
そのおじいちゃんがね、色々自分の経験を話してくれて、お母さんは色々と考えることができたし、おじいちゃんも喜んでくれて、よかったなと思ってる。
でも、もしお母さんが学校で戦争のことを習っていなかったら、そのおじいちゃんの話をしっかり理解することも、質問をすることもできなかったと思う。
勉強することで色々な知識を身につけるってことは、色々な人としっかり話をできるってことかもしれないなって思ったよ」
それから何日かしたあとに、ふたたび母が部屋にやってきました。
「この間の『なんで勉強するか』っていう質問だけど、もうひとつ思いついた。
いま、お母さんは会社で働いているけれど、毎日色々やらなくちゃいけないことがたくさんある。やらなくてはいけないことがあるとき、お母さんはゴールさえ決まっていれば、それをどうやりきるかは一人ひとりが考えていいものだと思うんだよね。
もしかしたら、今やっている方法よりも、はやくできる方法、もっと簡単にできる方法、もっと楽しくできる方法も、色々あるかもしれない。
でも、知識がなければ、その「もっとよい方法」を自分で考えることができないでしょ。だれかに言われたことをそのままやればいいかもしれないけれど、そんなふうに仕事をするのはきっとお母さんはつまらないと思う。
だから勉強して色々な知識を持っておいてよかったなと思ってるよ」
「お母さんはね…」と答えてくれることが子どもはいちばん嬉しい
このあとも機会があるごとに、母は「自分が『勉強をしていてよかった』と思った瞬間」を色々と教えてくれました。
その全てに納得したというよりは、自分の疑問に対して、「お母さんは、こう思っている」とじっくり考えて、丁寧に伝えてくれたことがとっても嬉しかったことを覚えています。
もし、そのとき母が「ちゃんと勉強しないと高校に落ちるよ」「先生に怒られるよ」「立派な人間になれないよ」というその場限りのおざなりな回答をしていたら、私はきっと今でも勉強は全く役に立たないものなのだと感じていたと思います。
どんな素晴らしい回答を返すかよりも、信頼している人が「私の場合はね…」と自分の経験をもとにしっかりと答えてくれる。そのことになによりも意味があるのだなと感じた出来事でした。
私が子どもに「なぜ勉強するの」と言われたら答えたいこと
今回のツイートを見て、子どもに「なぜ勉強をするの」と聞かれたら、私はどう答えるだろうと考えました。
難しい質問ですが、私は「自分らしく自由に生きるためだよ」と答えると思います。
もうだいぶ前に読んだので正確な表現ではなかったかもしれませんが、ある芸術家の方の本の中にこんな一節がありました。
「子どもは無邪気で自由であるように見えるかもしれないが、それは大人が目指すべき自由とは少し違う。大人が得る自由は、戦いのすえに勝ち取った自由だからこそ価値がある」
何でも許されている状況での「自由」と、色々な制約や選択肢があふれるなかで、自分の意志で物事を決める「自由」の価値は全く違う、ということだと思います。
勉強はときには苦しいし、他に使うことのできる時間を費やすという点で制約にもなる。勉強すればするほど、色々な世界が見えて自分のすすむべき道の選択肢も多くなっていく。
そんななかで自分の意志を持って「自由に」選んだ道だからこそ、幸せだと感じられるんだよ、と子どもたちにはそう伝えてあげられたらいいなと思います。
でも、だからこそ、「自分らしく自由に生きる」ための勉強の方法が、「学校」で「決まった知識」を覚えることだけだとは子どもに思ってほしくないと思います。
今ではインターネットで学ぶこともできますし、学校で教わること以外に必要な知識もどんどん増えていっている。
もし、子どものなかにやりたいことがあり、学校以外に自分の納得する方法で、それを達成するために学びたいという明確な意志があるならば、それは子どもたちにとっての「自分らしく自由に生きる」ということかもしれない。だから、それを尊重したいなと思っています。
多くの大人が学校に毎日通っていたにもかかわらず、「なぜ勉強するのか」という問いを深く考える機会はこれまでなかったかもしれません。答えのない難しい問題だからこそ、親も子どもも一緒に考え続けていきたいな、とそう思います。
みなさんなら、この質問どう答えますか?
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