本当に小学生が書いたの!?谷川俊太郎の「生きる」になぞらえて書かれた詩がスゴすぎて泣ける・・・。
341,531 View谷川俊太郎さんの『生きる』という詩をご存知でしょうか。mixiのコミュニティで始まったある取り組みが爆発的に拡がり、それに呼応した街の絵画教室で生まれたある小学生の詩の作品が感動を呼んでいます。
谷川俊太郎さんの『生きる』という詩をご存知でしょうか
生きているということ
今生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと
生きているということ
今生きているということ
それは…
という言葉につづく、谷川俊太郎さんの『生きる』という詩をご存知ですか?
小学校の国語の教科書に掲載されるなど、授業を通じて知ったという方も多いかもしれません。
しかし、数年前にこの詩をきっかけとして、ネット上でちょっとしたムーブメントが起きていた事を知っている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
きっかけはmixiの「谷川俊太郎コミュニティ」
ソーシャルネットワーキングサービスのmixiには無数のコミュニティがあります。
「谷川俊太郎」コミュニティもその一つです。
2007年のある日、このコミュニティに「『生きる』」というトピックが立ち上がります。
トピ主は、こう呼びかけました。
早速ですが、みなさん良ければ、谷川俊太郎氏の傑作の一つ「生きる」にちなんで、ここでもみなさんの「生きる」を繋げて一つの詩みたいなものを作りませんか?
この呼びかけに呼応した人たちによって瞬く間にコメント欄が埋まっていき、
1つのトピックの限界である1,000件のコメントを超え、2つめのトピックをまた立ちあげて・・・。
なんと、最終的には20ものトピック(つまり2万件を超えるコメント数)が作成されました。
さらにすごいことに、書籍化までされてしまったのです。
地域の絵画教室にも飛び火したムーブメント
書籍化まで発展したこの一連のムーブメントは、さらには教育の現場にも派生しました。神奈川県川崎市内の商店街の片隅にある小さな絵画教室。アトリエ5もその一つです。
2008年に発生した秋葉原通り魔事件は、まだ記憶に新しい方も多いと思います。
当時の報道を受けて少なからず動揺していた子どもたちに、どんなレッスンをすべきか。主宰の辻先生がたどり着いた題材が、谷川俊太郎さんの『生きる』という詩だったそうです。
部屋の明かりを消し、先生が詩の朗読をした後、今度は子どもたちが自分なりの『生きる』を詩と絵で表現します。
この時の様子を、レッスンを担当した先生がブログにこう書いています。
谷川俊太郎さんの「生きる」という詩を紹介してお絵かきしました。お部屋の電気を消して床に横になり静かな心で詩の朗読を聴いた後、子供達にも「生きているということ」について考え言葉にしてもらいました。
「トマトをそだてること」「むねがどきどきすること」「家族が大好きということ」…
普段なにげなくしていることや、感じていることを素直に言葉にするだけで、どうしてこんなに素敵なのでしょうか…!この子からこんな言葉が!心をグッとつかまれる詩がいくつもありました。
そして生まれた大傑作がこちら・・・
2008年以来、社会の状況と子どもたちの状態に合わせて定期的にこのカリキュラムを行ってきたアトリエ5。
2015年2月、小学6年生の女の子が書いた詩が、多くの人の感動を呼びました。
その詩が、こちらです。
※許可を得て全文掲載しております。
生きているということ
いま 生きているということ
水色の空を見てうれしくなること
深緑の葉を見て幸せになること
夢がかかえきれなくなること
進む道が 見えること
生きているということ
いま 生きているということ
それは黒色 それは真夜中
それは雷 それは台風
それはクラムボン それは江戸川乱歩
昔の「きらい」が「好き」になること
進む道が かわること
生きているということ
いま 生きているということ
からかわれてはらがたつこと
おこられてはずかしいこと
しっぱいをこうかいすること
むしをいやがること
くらいよみちをこわがること
じぶんがきらいになること
進む道が 見えなくなること
生きているということ
いま 生きているということ
絵をかくのに夢中になること
だれかの不幸を悲しめること
だれかの幸運をいのれること
いま いまが楽しいこと
道が見えなくなっても
あるくこと
子どもにも一人分の意見がある。小さな声に耳を傾けてみよう
いかがでしたでしょうか?
自分でこの記事を書きながら、また涙してしまいました・・・。こんなに力強いメッセージを、小学6年生が書けるんですね。本当に尊敬してしまいます。
絵画教室なのに、詩を書くの?と驚かれた方も多いかもしれません。しかしそこにはこんな想いがありました。最後に、この作品を指導したアトリエ5主宰の辻先生の言葉をブログから引用して、この記事を終わりたいと思います。
今月初めに、遠い国で日本人が殺されるという衝撃が走り、子供たちを守るべき我々大人たちの動揺も大きく、不安な日々が続きました。宗教や政治の事などまだ良く判らない子供たちも、マスコミの影響をそのまま受け、きれい事は通用しない雰囲気でした。
こういう時こそ「命ということ、生きるということ」を、子供たちと共に考えてみようと、心を込めて谷川俊太郎の「生きる」の詩を読み、「大切なことって何だろう?みんなはどう思う?」と、静かに問いかけてみました。
そうして生まれた詩は、もうそんな事考えているの?とビックリするものや、可愛く優しい気持ちを忘れていないものなど、それぞれの今の考えです。
まず、自分の考えを信じること、そして多様な考えや表現がある事を知り認めること。。これがアトリエ5の一つの到達点です。
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