こんにちは、NPO法人マドレボニータ認定産後セルフケアインストラクターの吉田紫磨子です。
さて、来年4月の認可保育園申込の季節がやってまいりました。
職場復帰を控えている方にとっては、保育園に入園できるかどうかは本当に死活問題ですよね。
子どもの預け先が決まらなければ復職できないのですから…。
でも実は、産後の女性と毎月何十人も出会っていると、こんな言葉をよく耳にします。
「収入のほとんどが保育費に。なんのために仕事しているのかわからなくなってくる」
気づいたら保育費を賄うために働いているような状態になっていた、という方、少なくないのではないでしょうか。
無認可の保育所やシッターさん、ファミリーサポートに病児保育など、複数の保育サービスを使っていると本当にお金がかかります。そして、そこでやってしまいがちなのが「自分の給与と保育費を比較すること」。
妻が働かなければ子どもを預ける必要はない、だから保育費は妻の給与から支払うべき。
そう考える人は多いのですが、はっきり言ってそれはナンセンスです。
確かに、妻より夫の収入の方が多い家庭が多数派かもしれません。
しかし子どもの養育は妻だけの責任ではなく、二人の責任ですよね。
保育費は妻だけでなく、夫婦二人が働くために必要なお金だと言えます。
大学の学費がかさんで、何のために仕事をしているのか…という会話はしないですよね。教育費も保育費も同じです。
まずはぜひ「妻、一人だけのお給料と保育費を比べてしまう」マインドを手放してください。
また同じ理由で、保育園を始めとする保育サービスを調べて見学して申し込んで…という作業も、妻だけでやろうとしていませんか?
確かに、育児休業中の妻の方が時間に余裕があるようにみえるかもしれません。
しかし、子どもの世話を一日中していたら、そんな余裕などありません。
そんな中、保育園に入れなければ働けない!とソワソワするのが妻だけというのはおかしいと思いませんか?
大切な我が子を託す先です。
ぜひ夫婦で一緒に様々なサービスを探し、検討して、納得のできる保育環境を夫婦で整えていきたいですよね。
「保育料」と「自分の給料」を天秤にかけるのはナンセンス!保育園は、何のためにある?
45,333 Viewスタッフやインストラクターが交代で執筆しているマドレボニータの連載。切っても切り離せない「保育とお金」の問題。今回はマドレボニータの産後セルフインストラクター吉田紫磨子が語ります!
保育園は誰のためのものか
さらに、保育園について根本的な問いかけをしたいと思います。
「そもそも子どもを保育園に預けるのは何のためなのでしょうか。」
現状、待機児童問題で入園先を選べない場合が多いですが、本来であれば保育園は、学校や塾と同じように自分たちの教育方針や我が子の特性を考え、選んで通ってもらうところですよね。
保育園の定員に余裕がある地方自治体では、今でも保育方針や施設状況などを比較検討して、比較的遠方の園に車で送り迎えをして通わせている家庭も少なくありませんし、様々なアクティビティを取り入れている無認可園に通わせるために、あえて毎月高額の月謝を払っているというケースもあります。
保育園に預けるきっかけは親の就労かもしれませんが、預ける目的は「子どもを安心安全かつ健全に育てるため」ではないのでしょうか。
それに、すでにお子さんを保育園に通わせている方はよくご存知だと思いますが、保育園は本当にすばらしい場所です。
毎日、たくさんのお友だちとお散歩や外遊びで身体を動かし、丁寧にバランスよくつくられた給食やおやつを食べ、決まった時間にお昼寝ができる規則正しい生活。
それを毎日、親が提供することは至難の業です。
そう、保育園は親が仕事をするために仕方なく預ける場所ではなく、子どもが子どもらしく健全に過ごすために、なくてはならない場所なのです。
決して「妻が働かなければ子どもを無理矢理保育園に行かせる必要はないのに…」などと後ろめたく感じる必要はありません。
以前もこの連載でボニータさんが言っていましたが、子どもたちは保育園で本当に豊かな経験を積んでいます。
親にとっても、保育園や保育士さんは「一緒に成長を喜んでくれる大切な子育てのパートナー」としてかけがえのない存在であることは言うまでもありません。
子育てが一段落するのを待とうとしている人へ
「保育園がすばらしい場所なのも、保育費を2人の給料で賄うべきなのもわかった。
でも給料が安い上に、時短勤務で更に減ったお給料のために周囲に気を遣いながら働くくらいなら、子どもと一緒にいた方がいいのでは?」
「それだったら子育てが一段落してから再就職したほうが…」
そんな声が聞こえてきそうですね。
でも、子育てが一段落するのっていつでしょうか?
幼稚園に入園する時?
小学校に入学する時?
そこから職探しをして、いちから短時間で(幼稚園に入園しても時間は短い)働く?
子どもが0〜2歳の未満児のうちは特に保育費もかさみますが、その間に諦めずに仕事を続けるかどうかで、生涯年収に大きな差が生まれます。それに丸3年間ましてや6年、10年のブランクは想像以上に大きいものです。
そしてなにより、「子育てが一段落する日」なんて来ません。
幼稚園に入ったら入ったで、小学校に上がったら上がったで、親が目を、手をかけるべき事態は手を変え品を変え、起こります。
そんなこんなでいつの間にか子どもが成人…なんて状況が目に浮かびませんか?
ちょっと厳しい現実として、大人は45歳を境に労働市場での市場価値はガクンと下がります。(もちろんあくまで一般論ですが)
20代30代で仕事の経験を積まずに40代になることのリスクを、考えてみたことはあるでしょうか。
あえてこう言います。
もしあなたがいま仕事を持っているならば、とにかく手放さないで。
退職を悩んでいたとしても、今一度立ち止まって、働き続ける方法を模索してみてほしいと思います。
(文:吉田紫磨子/吉田構成:宮下ひかり)
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