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公開 2015年11月28日  

ママがリベラルアーツを学ぶ理由~人生を切り開くために必要なこと~

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表参道の「スパイラル」で開催している現代女性のためのスクール「スパイラルスコレー」。その中で、女性のためのリベラルアーツ講座が開かれています。なぜ今、ママがリベラルアーツを学ぶのか?ジャーナリスト治部れんげさんと参議院議員森まさこさんのトークセッションにお邪魔して、実際にお話を伺ってきました。


表参道の「スパイラル」で開催している現代女性のためのスクール「スパイラルスコレー」。その中で、女性のためのリベラルアーツ講座が開かれていると聞き、取材に行ってきました。その講座は、日本財団「ママの笑顔を増やすプロジェクト(通称:ママプロ)」と株式会社ワコールアートセンターの「スパイラルスコレー」の共同開催。

ママがリベラルアーツを学ぶ?どんなことをやっているのでしょうか?その内容をレポートします!

なぜ今、女性のためのリベラルアーツなのか?

日本では「教養」と訳されることが多い、リベラルアーツ。ママ向けの子育て講座やライフプラン講座はよく聞くけれど、なぜ今、リベラルアーツ講座なのでしょうか?

日本財団の森啓子さんにお聞きすると、

『今の子育て世代の女性は、いい大学にいき、いい会社に入ることが幸せだという社会の雰囲気の中、一生懸命勉強をしてきたものの、社会人になってみると、大手の企業が倒産したり、社会の大きな変わり目を生きてきた世代。
結婚、出産、子育てなどのライフイベントを迎える女性が、情報に振り回されることなく、自分自身の人生を切り開いていくために、自分を見つめたり、社会について考える機会をつくりたくて、あえて子育て講座ではなく、「リベラルアーツ講座」を開催しています』


とその想いを語ってくれました。

このリベラルアーツ講座は、今年の4月にスタートし、今回で7回目。会場の後方には、子どもが遊べるスペースが用意され、ベビーカーで赤ちゃんを連れて参加する女性の姿も。

子どもが生まれると、ベビーマッサージやベビーサインなど、子連れで行けるイベントはあっても、子どものために学ぶものばかり。考えてみると、子連れのママが自分のために学べる場所というのは、ほとんどありません。子どもが生まれたからこそ、ママが自分自身のために学んだり、社会について考える機会が必要なのかもしれませんね。

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子連れの方も含め多くの女性が集まった会場。アットホームな雰囲気でした。

人生を切り開くヒントを先輩の話からみつけよう

講座では、経済ジャーナリストとして、働く女性や共働きの子育てなどについて執筆をされている治部れんげさん、参議院議員で元・女性活力・子育て支援担当大臣の森まさこさんをゲストに、「女性が輝く×社会×エンパワーメント」というテーマでトークセッションが行われました。

コーディネーターを担当する西田陽光さんの、「ゲストのおふたりが話されることは、実際に経験したり、やったというリアルな話。リベラルアーツは、概念だけでなくリアルを知ること」というお話のとおり、ゲストのおふたりのリアルで熱いトークが繰り広げられました。

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ジャーナリスト 治部れんげさん
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参議院議員 森まさこさん

「アメリカ留学」で感じた、子育てとキャリアの両立

ゲストの治部れんげさんと森まさこさんは初対面ということでしたが、お話を聞いていると1つの共通点がありました。それは、ふたりとも「アメリカ留学」を経験されているということ。

治部れんげさんは、ジャーナリストの奨学金をとりアメリカへ留学。アメリカのワーキングカップルへのインタビューを行いました。その時に、アメリカと日本のワーキングマザーの働き方の違いを感じたということ。

森まさこさんは、弁護士時代に旦那さんを日本に残し、生まれたばかりの長女を連れて2人でアメリカへ留学。アメリカ留学中は大学の中にあった保育園に子どもを預けて、時にはお子さんをベビーカーに乗せて講義を受けていたそうです。帰国後、今度は旦那さんのアメリカ留学が決まり、再びアメリカで生活をされました。

日本の育児休業給付金は実質手取りの8割程度と世界トップの支給がされています。逆に、アメリカには有給での産休・育休の制度はありません。しかし、アメリカは子どもを受け入れる文化があり、子育てがしやすいと感じたこと。そして、子育てをしながらでも学べる、キャリアを積めるということをふたりともアメリカでの生活を通して感じたとおっしゃっていました。

そんなおふたりの話から、制度はもちろん大切であるけれど、子育てもキャリアもどちらもとることができると思えるような環境を、日本の中でつくっていくことが大切なのではないかと感じました。

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女性が自分らしく人生を切り開くための3つのポイント

子育てをしながら、とてもパワフルに活動し、社会に影響を与えているおふたりの話から、ライフイベントを迎えた女性が自分自身の人生を自分らしく切り開くためのヒントをまとめてみました。

■ポイント1 やりたいことをあきらめない

治部れんげさんは、結婚直後に旦那さんが博士号をとるためにアメリカへ留学しましたが、記者としての仕事をしたいということで日本に残り、仕事を続けることを決めました。

森まさこさんの最初のターニングポイントは、家庭の事情で高校には行かず働くことになった時、「学校に行かせてあげてください」と森さんの両親に土下座をし、奨学金を探し、高校に行くことを支援してくれた先生との出会い。森さんは、この出来事をきっかけに親の貧困など生まれた環境に関係なく、等しくやろうと思ったことがやれる社会にしたいと、自分と同じような立場の子どもたちを支援するために弁護士を目指し、働きながら勉強をされたそうです。


日本では、妊娠を期に仕事をやめる人が6割だと言われています。しかし、仕事に限らず、自分自身の人生を切り開くためには、「やりたい」と思ったことをあきらめないということが大切だと感じました。また、そのためには、夫の留学には妻が仕事を辞めてついていくという社会の当たり前にとらわれず、自分たちらしいスタイルを模索することも必要です。

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ご自身の経験を丁寧に語る治部れんげさん

■ポイント2 過去にとらわれず、柔軟に選択をする

記者としてハードに仕事をこなし、ご自身いわく”男性以上に男性的な考え方”で、子どもを生んだら負けだと思っていた治部さんは、その後、ジャーナリストの奨学金を取りアメリカへ留学。アメリカで旦那さんの上司である素敵なワーキングカップルに出会います。そのご家庭のお子さんと接したり、男性が積極的に育児に関わる様子をみたことをきっかけに、「子どもを生んだら負け」という価値観を手放し、子どもを持つということを選択されました。

森まさこさんは、アメリカ留学から帰国後に、今度は旦那さんのアメリカ行きが決定。ご自身の留学の時にはお子さんとふたりで渡米されましたが、この時には、弁護士の仕事を辞めて家族でアメリカへ行き専業主婦をするという選択をされました。夫婦のキャリアを譲り合い、お互いの夢を応援しあうことで、仕事にもよい相乗効果あるとおっしゃっていました。

結婚・出産・子育てなどライフイベントが多い女性。ライフイベントを迎えると、生活環境や関わる人も変わっていきます。だからこそ、それをよい変化の機会と捉え、1つの価値観や、自分の持っていた昔の考え方に囚われることなく、その時に自分が「よし」とする選択をする柔軟さが、経験の幅を広げたり、新たなチャンスにつながるのだと思います。

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■ポイント3 自然体であること

今回おふたりのお話を聞きながら感じたことは、ふたりとも自然体だということ。大変だったり苦労をされた話も率直にお話されていて、その等身大のメッセージにうなづきながら聞いている女性が多かったことが印象的です。

肩に力を入れすぎることなく、自然体であることが、共感をつくり、周りから応援され、活躍の場を広げられているのではないかと思います。ご自身の経験から行動を起こし、社会に影響を与えているおふたりだからこそ、とても力強く女性の背中を押すメッセージでした。

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参加者に熱心に語る森まさこさん

一人ひとりの声が、社会を変える

講座の最後には、コーディネーターの西田陽光さんから「世論は、本音を届けていくことでつくることができる。ひとりひとりが発信することが世の中を変える」というメッセージが参加者に伝えられました。

最近、「女性が輝く社会」という言葉を聞くことが多いですが、首都圏と地方、就業の有無、子どもの有無など、女性といってもひとくくりにすることはできません。仕事をして輝く女性もいれば、子育てをして輝く女性もいるように、 その人が輝いている状態というのも人それぞれ。

「女性が輝くために必要なことはなにか?」という問いではなく、一人ひとりが「自分はどんな時に輝いているのか?そのために必要なことはなにか?」を考えていくことが大切なのかもしれません。

また、女性自身が、その思いや考えを発信していくことが、これからの社会をつくっていくのだと感じさせられた、講座でした。

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