近年、プログラミングやロボット教室が増え続けている中で、教育感度の高い保護者、そして教育界からも注目を集めている「IT×ものづくり教室LITALICOワンダー」。
月間数百件の問い合わせが来るというLITALICOワンダーだが、どうしてそこまで人気になったのか?その秘密に迫るため、二人の教室長に話を伺った。
編集部:お二人ともお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。
島田:いえいえ、こちらこそよろしくお願いします!
毛利:どうしよう、ちょっと緊張してきた。
「自分で考え抜く力は、20年後の社会でも活きる」月300件問合せの人気プログラミング教室が伝えたい事
53,864 View乱立するプログラミング教室の中で、異彩を放つ「IT×ものづくり教室LITALICOワンダー」。開設わずか数年で、月間数百件の問い合わせが来る、人気の習い事に成長した。なぜ、LITALICOワンダーはそこまで人気なのか、その秘密に迫るため、二人の教室長に話を伺った。[提供] LITALICOワンダー
はじまりは、障害者の就職支援
編集部:ここ数年、プログラミングやロボット教室が、習い事の中でもずいぶん人気が出てきました。
IT×ものづくり教室LITALICOワンダーはその中でも先駆け的な存在だと思いますが、どういった経緯でスタートした教室なのでしょうか?
島田:実は、弊社はもともと障害のある方の就職支援をしている会社だったんです。今は北海道から沖縄まで全国に、就労支援の福祉施設を50箇所ほど運営しています。
支援をしていく中で、うつ病や精神疾患になられた方の多くは、子どものころから失敗体験が必要以上に多いことが分かった。コミュニケーションが苦手で周囲とうまくいかなかったり、いじめや不登校の経験があっても適切な支援を受けてられていなかったというケースにたくさん出会ったんです。
編集部:なるほど。
島田:そこで、子どもの頃から、どんな特性のある人でも自分らしく成長できる環境をつくることが必要だと感じ、発達障害のあるお子さま対象のソーシャルスキル&学習教室のLITALICOジュニアを始めることになりました。
こちらも現在、首都圏を中心に50教室展開、8,000人以上のお子さまに通っていただいています。
発達障害のある子どもたちに、プログラミングがむちゃくちゃハマった。
島田:ソーシャルスキル&学習教室のLITALICOジュニアでは、学校や家庭等で起こる日常生活の課題に対して、自分に合った学習方法やコミュニケーションスタイルを見つけていく指導を中心に行っています。
でも、子どもたちの苦手なところをできるようにしていくだけじゃなくて、子どもたちの得意なところや好奇心を、より伸ばしていける機会も用意してあげたかったんです。
例えば元日本代表選手によるサッカー教室やTRFのSAMさんにダンス教室を開いてもらったり、絵画教室や演劇教室、料理教室まで、様々な取り組みを続けてきました。
その一環で、ある時、プログラミングでゲームをつくる授業をやってみたんですね。
そしたら、その時の子どもたちの集中力が、もう、ものすごくって。
普段は授業中も立ち歩いてばかりのお子さんが、2〜3時間ぶっ続けで集中して座ってゲームをつくって、終わったら自慢していたり。
毛利:この時のことは今でも鮮明に覚えています。好きなことをやっている時の子どもの集中力って、こんなにスゴイんだな、と。
普段の学習よりもはるかに頭も手も動かしていて、眼の色が違うんですよ。
編集部:そんなに活き活きとしていたんですね。
毛利:そう。そのことに僕たち、すっかり感動しちゃって。これはすごいぞ!って。
島田:ほんとに。つくったゲームを友だちに見せて自慢気な子どもたち見てたら、ちょっと泣けたよね。
この分野だったら、障害は無くなるかもしれない、という仮説と確信
毛利:僕たちの会社は「障害のない社会をつくる」ということをビジョンに掲げています。障害はその本人にあるのではなく、社会の側にある。多様な個人の力が活かされるような環境や考え方が社会にあれば、世の中から障害はなくせると思っています。
普段、学校や家庭で生きづらさを感じている子どもたちがプログラミングにハマっている姿をみて、彼らが自信を持って社会で活躍している姿が目に浮かんだんです。もし、彼らの興味関心に寄り添った環境をつくることができたら、将来につながる技術を身につけ、自信をもって自分らしく社会で生きられるんじゃないかと思いました。
編集部:なるほど。その時の興奮が伝わってくるようで、聞いていてワクワクします。今のお話がきっかけで、子どもたちにITを通してものづくりが学べる教室「LITALICOワンダー」をスタートさせたわけですね。
毛利:そうです!
編集部:LITALICOワンダーには障害のある子もない子も同じ環境で学んでいると聞きました。その点では、どんな工夫をされていますか?
毛利:LITALICOワンダーでは、子どもたちが皆同じやり方、同じペースで進むのではなく、一人ひとりにあった学び方や進度に合わせて進めていくので、個々人の障害特性や得意不得意それ自体は問題になったりしないんです。
島田:そういう意味では、障害の有無で子どもに接するスタンスを変えることはないですね。
毛利:一般的なロボット教室やプログラミング教室だと、通年でカリキュラムが決まっていたり、学年ごとにクラスが分かれていたり。完成品を先に見せられて「はい、じゃあみんなも同じようにつくってみてね」という進め方のところも少なくありません。
しかしLITALICOワンダーでは通年のカリキュラムに縛られずに「ものづくりに正解はない」というポリシーでやっているので、その子一人ひとりに合わせて柔軟に進度や内容を変え、つくりたいものがつくれるようにしています。
編集部:なるほど。LITALICOワンダーはなぜそういうスタイルになっていったのでしょうか。
島田:ものづくりって自由だし、学校のテストみたいに点数がつかないじゃないですか。だからできるんです。
例えばゲームの評価軸ってすごく多様で。難しい/簡単というものもあれば、気持ち悪い/面白い/可愛い/シュールっていうものもあるし、「成功」の定義がいろいろあります。
だからこそ、他人が決めた正解や成功に縛られず、「自分が納得しているかどうか」という自己評価を大切にできる。ものづくりにものすごく可能性を感じるのはここですね。
毛利:だからLITALICOワンダーは多様性のある教室づくりを目指しています。障害だけでなく、例えばクラス分けには性別、学年も関係ありません。オタクも、人気者も、クールな子も、みんないる。
それぞれのものづくりへの姿勢や、出来上がった作品を通じて、お互いに刺激しあっている。ちょっと面白い空間になっています。
自由だからこそ、求められるスタッフのスキルとマインド
編集部:子どもたちに一律に「秩序」を求めた方が、多くの生徒を一度に教えることができて効率も良いはずですよね。LITALICOワンダーのように自由な空間になればなるほど、指導する立場にとっては高いレベルを要求されるのではないでしょうか?
毛利:たしかに、自由だからこそ、関わるスタッフには日々成長が求められます。
島田:振り返りはかなり大切にしているよね。
毛利:そうだね。日々の振り返りが一番大切だと思っています。プロ意識を持って指導していても、正直、うまくいかないこともたくさんある。その難しさを解消するために、毎日スタッフミーティングを開き、子どもたちの状況について共有し、どう対応したらいいか?みんなで相談しています。
編集部:その振り返りでは、具体的にどういったことが話し合われるのですか?
毛利:例えば、特性の強いお子さまで、まったく何にも取り組めず1時間ずっと動画を見ちゃう子がいたりします。そういう時に、どう対応したらいいかと。
その子自身については、場に慣れることが第1ステップということや、より興味の幅を広げてもらいたいとの思いから、少し長い目でみてあげたいと思っています。一方、親御様から見ると遊んでいるようにしか見えなかったり、周りの子がつられて動画を見ちゃう、という問題もあります。
そんな時にどういった声がけがいいか、どこまでコントロールすべきかをディスカッションしています。実際にどう対応するかは、その時の子どもの状況によって変わってきますが。
島田:いま話題にあがったような子たちは、学校などでも他に居場所がない子が多くて。でもLITALICOワンダーだったら、ここの先生だったらいい、って信頼して来てくれていると思うんです。だから、その信頼は裏切りたくないという気持ちはあります。
編集部:まずはここに来てくれただけでもOK!という子もいるわけですね。そうすると、おのずとLITALICOワンダーに来る目的や目標は、一人ひとり違うということでしょうか。
島田:その通りです!個性が異なるのであれば、目標も違って当然だと思っています。
ドリル思考ではなく、自分で考えぬく力を身につけてほしい
島田:LITALICOワンダーでは、通い始めて間もないタイミングであっても、「ここをこうしたらいいよ」って教えたりしません。
そうすると最初は「これで合ってる?」って逐一聞いてくる子が多いのですが、その度に「君は何をつくりたいの?僕たちに答えはないよ。自分でつくりたいものが答えだよ」って、答えを言わないように対応するんです。
そういったやり取りを繰り返していると「こういうのがつくりたいんだけど、どうしたらできる?」「こんなんできたよ!どう?みてみて」って、自分なりの正解を持ってきてくれるようになるんです。
編集部:すごい。自立していますね。
毛利:本当に変わるんですよ。
この「自分で考え、自分で答えを出し、自分で学ぶ力」って、生きていくために一生必要な力だと思うんです。彼らが大人になる20年後、社会で必要とされている「スキル」が今と全然違っていても、その力があれば、その子に必要な技術をいつでも学び直せると思っています。
逆に、どんな言語を学んでも、どんなスキルを体得しても、20年後にそれが活きるかは分かりません。
僕たちは子どもたちに、自分で考えて答えを出し、自分で学んでいく力を身につけてほしい。心からそう願っているからこそ、子どもたちと本気で向き合っています。
編集部:素敵なお話を聞かせて頂きありがとうございました。結局最後は毛利さんの熱弁が聴けましたね(笑)。
島田:後半からエンジンかかるタイプだよね(笑)。
毛利:なんか、恥ずかしい・・・。
編集部:いやいや、これだけ熱意のある方が教室を運営されていることが分かってよかったです。今後の展開にも期待しています!
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