あなたは、どんな「理想の親」像をお持ちですか。
意識したことはなくとも、心のどこかにたくさんの「理想の親」像というものを持っているのではないでしょうか。
「心の豊かな人に育つよう、寝る前に絵本を読んであげよう」
例えば、これも「理想の親」像だと思います。
「たくさんの愛情を与えてあげたい」
「子どもの前では、夫婦喧嘩をしない」
これらも、そうですよね。
子育てが楽しくない。これって親失格なの?
7,111 View自分自身でもなかなか正確には把握しにくい親の心理。なんでイライラするんだろう。なんでモヤモヤするんだろう。そんな親の心の奥にスポットライトをあてていくこちらの連載「オヤノサイコロジー」。「子育てが楽しくない」と感じる根っこの部分にあるものとは?
あなたの中の「理想の親」像
「子育てが楽しくない」の根っこの部分にあるもの
子育てが楽しくないと感じたり、我が子がかわいいと思えなかったりする根っこの部分にもまた、「理想の親」像があるのだと思います。
「楽しく子育てする」という理想があるから、それが実現できないことに悩む。
「親の愛は果てしない」という理想を持っているからこそ、その通りにならないことに悩む。
理想を持つことは、とても尊いことです。
でも、時として、理想と現実はうまく重なってくれません。
理想を手放すのは簡単なことではない
理想はあくまで理想として捉え、現実とうまく折り合いをつけていくことが、「子育て」という長距離走を完走するためには、必要なのだろうと思います。
理想を手放せば、ラクになれます。
ただ、子育てにおいては、それがとても難しいのだと思います。
手放すことによって影響を受けるのが、自分ではなく、他ならぬ我が子であるという事実。これが、親たちの心を苦しめています。
自分だけのことなのであれば、そこまで悩む必要もないのでしょう。
葛藤を繰り返しながら進んでいく
理想と現実のバランスを取るのが得意な方であれば、それほど悩まずに済むのかもしれません。
しかし、多くの方はそうではないと思います。
子育てを長く続けていけば、徐々に理想を手放しやすくなっていくと思いますが、それは、何度も課題に直面し、悩み、葛藤を繰り返しながら、なんとか進むべき道を見出していく、そんな過程を踏むからだと思います。
手放すことの難しさ。
それを克服していくことが、子育ての本当の大変さなのかもしれません。
親修行の途中なんだ
子育てという長丁場ですから、時と場合によっては、「子育てが楽しくない」「子どもが可愛く思えない」と感じることもあるだろうと思います。
このことは、自分の中の「理想の親」像からかけ離れたものとなるため、どうしても、「親失格」という自己嫌悪につながりやすいものです。
ただ、そんな自分の感情を否定してしまうと、かえってつらくなってしまうので、自分はいま「親修行の途中なんだ」と割りきる勇気が必要なのではないかと思います。
そして、気持ちに余裕がなくなっているそういう時こそ、周りを頼ることが必要なのでしょう。
しかし、頼るという行為自体が「理想の親」像に反してしまうことになるため、自分からはなかなか難しいのも事実。
様々な状況の親たちが、必要以上に苦しい気持ちを抱え込んで、負のスパイラルにはまってしまわないよう、個人の努力だけでなく、社会全体で子育てを担う環境をつくることが求められていると感じます。
弱くて、未熟な自分
わたし自身、一人の親として、様々な葛藤を繰り返しながら、子育ての難しさや大変さを肌で感じてきました。
自分の中の「理想の親」像とのギャップを感じない日はありませんし、子どものことを疎ましく感じる時も、正直、あります。
そんな時は、いつも、弱くて未熟な自分をまざまざと見せつけられることになります。
それでも、子どもとの生活を幸せだと感じられるのは、自分の中の理想を手放し、周りの力を頼ることができるようになったからだと思います。
そして、必要以上に自分の感情を否定せず、自分の中のネガティブ感情とうまく付き合っていくことができるようになってきたからだと思います。
親修行の道はまだ半ばですが、少しずつ先に進んでいっていると感じられるようになってきました。
必要とされている3つの小さな勇気
結局のところ、親修業の道に近道はないように思います。
悩んだり、葛藤したり、そのすべてが必要な過程であり、それらを経験することが親修業の道を進むということなのだと感じます。
しかし、その道の途中には楽しいことや幸せな出来事もたくさんあるわけで、心に余裕ができて視点を変えることができれば、見える景色はずいぶん変わってくるのでしょう。
ただ、ストレス過多で心に余裕のない時ほど、そのような気持ちにはなれないものです。そんな時に無理をしても、うまくいかないように思います。
理想を手放す勇気、弱い自分を認める勇気、周りを頼る勇気。
親たちに必要とされているのは、そんな小さな勇気なのではないでしょうか。
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