小児科医のやまぐちありさです。
私は医療という窓口を介して、さまざまな子どもと家族、そしてその周囲の人々と関わっています。
そんな私が、Conobieで記事を書かせてもらうことになりました。
小児科医の私が記事を執筆する…そのきっかけになったのがFacebookでブログのように書き始めた「きょうの診察室」というものです。
小児科医をしていると、日々子どもから学んだり、驚いたり、こころを動かされたりすることがたくさんあります。
これを、自分の心だけに留めておくのはもったいない!
そんな想いから始めたのが「きょうの診察室」でした。
小児科医のわたしが、診察室の中で起きた出来事をFacebookに投稿し続ける理由
76,473 Viewはじめまして!Conobieで執筆をすることになった小児科医のやまぐち ありさです。「診察室」で起こる様々なできごとや気づきを世の中に伝えていきたいと考えています。今回は、私が社会に発信をするようになった経緯や想いをお話しさせてください。
病院という非日常だからこそみえる、”大人が知らない”子どもの姿
私が「きょうの診察室」と題して、診察室で起こるできごとや自分の想いを発信し始めた理由。
それは、子どもの力と可能性を信じているからです。
小児科医として働いていると、一般の外来や、乳児健診や、入院の病棟で日々多くの子どもや家族と関わります。
熱を出して連れてこられた子。
ことばが出ない子。
はじめての子育てで心配がいっぱいのご家族。
長く入院している子。そのきょうだい。
ずっと薬を飲んでいる子。
学校に行っていない子。
忘れ物が多い子。
家族と暮らせない子。
そしてそんな子どもたちは私に、たくさんの可能性と力を見せてくれます。
自分の体調を理解すること。
家族を思いやること。
病気の友達への声のかけ方。
まわりを観察すること。
疑問を持つこと。
自分の気持ちを表現すること。
もしかしたらそれは、毎日子どもたちと関わっている親御さんたちからは見えにくいものなのかもしれないし、普段の枠が取りのぞかれた非日常の場面である病院だからこそ、より分かりやすく発揮されたものなのかもしれません。
しかし、その力は日常の子どもたちの中にも、間違いなく“ある”と私は思うのです。
そして、子どもは自分の力を信じて待ってもらった時、ますます絶大な力を発揮してくれます。
だからこそ、私が診察室で起こる子どもたちの姿ややり取りをお届けすることで、みなさんが目の前にいる子どもの力を信じるきっかけになればと思い、「きょうの診察室」をスタートしたのです。
診察室の中で起きていることを、もっとオープンに
保育士、学校や療育機関の先生、保健師、心理士、医師など、子どもに関わる専門家は実はたくさんいます。
みなさんも様々な場面で、このような専門家に出会う機会があるかと思いますが、意外とそれぞれの専門家が具体的に何をしていて、どんなことを考えているのか知らなかったりしますよね。
また私自身もよく感じることなのですが、子どもを中心に集まっているにも関わらず、専門家同士が他の専門家のことは案外知らないということもしばしばあります。
このように、何をしているのか分からなかったり、横のつながりがなかったりすると、本来はゆったり支えされるべきである子どもとその家族自身が、混乱したり、疲れたり、迷ったりすることがあるのではないかと思うのです。
診察室のとびらを開き、ひとりの小児科医として感じていることを、みなさんと共有することが、家族支援につながると信じています。
すべての子どもにある権利を保障する「Child Life」という考え方
また、みなさんに診察室の様子をお伝えする中で、特に知ってほしいと思っているのが、「Child Life」です。
Child Lifeとは、私が子どもと関わる時に特に大切にしている思想で、どんな環境にある子どもにも、子どもとしての権利(知る、選ぶ、遊ぶ、拒否するなど)を保障されるように、周りの大人や環境が支えるという考え方のことを指します。
これからConobieで記事を書かせてもらう中でも、少しずつご紹介していきますが、このポリシーを持って子どもを尊重すると、子どもたちの内側にある力が、さらによく見えるようになります。
Child Lifeは、もともとは病気を持つ子ども自身やきょうだい、家族が病気の子どもへの関わり方として始まったものですが、その効果は、決して医療環境の下にある子どもに限ったものではないと感じています。
毎日の子育てや教育といった場面でも、子どもの力を引き出す大きなきっかけになるはずです。
みなさんが日々子育てや子どもと関わる中で悩んでいることを解決するヒントになるように発信していくので、楽しみにしていてくださいね!
私が診察室の様子を届けたいもう一つの理由
私が診察室の様子を届けたいもう一つの理由。
それは、診察室のとびらを開くことで、その中身を知ってもらうだけではなくて、社会の中での医療の役割を考える、チャンスにしたいと考えているからです。
私がみなさまに投げかけるように、みなさまからのご意見や疑問もたくさん受け取りたい。
「きょうの診察室」が、そのやりとりのキッカケをつくる場所になればいいなと願っています。
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