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公開 2015年03月30日  

絨毛膜羊膜炎の原因や症状は?予防するためには何をする?

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早期に分娩が進行してしまう切迫早産。原因を大きく2つに分けると、感染がある場合と感染が無い場合です。感染が進行すると、赤ちゃんを包んでいる膜である絨毛膜・羊膜も感染してしまい絨毛膜羊膜炎という病態を呈します。破水や早産の大きな原因となり、絨毛膜羊膜炎の場合は、なるべく早期に病院を受診する事が大切です。今回は絨毛膜羊膜炎の原因や、症状について解説します。


絨毛膜羊膜炎とは?

赤ちゃんを包んでいる膜の内、絨毛膜と羊膜に感染が起こってしまう病態です。もともと陰部は肛門や尿道に近い位置に存在するため、沢山の菌が存在しています。

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これらの菌は、膣内の乳酸菌や子宮頸管の免疫作用によって、子宮内まで侵入されない様な仕組みとなっています。しかし、様々な要因により、菌が子宮内に侵入してしまい感染が成立した時に、絨毛膜羊膜炎という病態を引き起こしてしまうのです。子宮内の胎児は非常に感染に弱いため、絨毛膜羊膜炎が進行してしまうと、胎児に危険が及んでしまいます。さらには、感染により子宮収縮が誘発されたり、羊膜が脆くなる事により、羊膜が破れてしまい破水する事もしばしばあります。

絨毛膜羊膜炎の症状

絨毛膜羊膜炎の初期状態を見つけ出すのは非常に難しいですが、感染が進行してくると子宮を中心とした、様々な症状が出現します。

子宮収縮

感染により、子宮収縮を誘発する物質が作られ、子宮収縮を認める様になります。この子宮収縮は治療抵抗性の事が多く、子宮収縮抑制剤の効果が認められないケースが多いです。

発熱

上気道感染等が無いにも関わらず、38.0度以上の発熱が起こる事があります。

子宮の圧痛

お腹から子宮付近を押すと、痛みの自覚があります。

膣分泌物の混濁・悪臭

膣内にも感染を認める事が多いため、膣分泌物の性状も変化します。



この様な症状が出現した場合は、なるべく早期に病院を受診する事が大切です。

絨毛膜羊膜炎の原因

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近年、絨毛膜羊膜炎の原因として、歯科的疾患が注目されています。実は虫歯や歯周病による口腔内の菌が、血液を介して子宮に感染してしまう危険性がある事が明らかとなってきました。特に妊娠期間中は、ホルモンの変化やつわりによって、歯磨きが十分されないケースも多く、虫歯や歯周病が悪化してしまいがちです。多くの自治体で、妊娠期間中の歯科検診の助成を行っていますので、妊娠期間中にきちっと歯科検診を受けて、治療を行う事が絨毛膜羊膜炎を予防する際にも大切です。

絨毛膜羊膜炎の原因や症状を理解し、早期の受診を

赤ちゃんを包む膜である、絨毛膜・羊膜にばい菌が感染してしまうと、胎児にとって非常に危険な状況を引き起こします。絨毛膜羊膜炎の症状をしっかりと理解し、危ないサインが出現したら、なるべく早く病院を受診しましょう。また最近虫歯や歯周病と絨毛膜羊膜炎との関連性が指摘されていますので、妊娠期間中の歯科検診もちゃんと受ける様にしましょう。

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