なぜ「体育会系」がビジネスで重宝される?元サッカー日本代表・鈴木啓太さんに聞いた。

マネジメントとサッカーも似ている?

──企業の社長として従業員をマネジメントする立場で、難しさを感じることはありますか?

今、10名くらいの社員をマネジメントしているのですが、難しいですね。会社としての目標があって、社員それぞれの人生の目標もある。今は顔が見えてみんなの性格も把握できる距離感ですが、人数が増えたらきつくなるなと思います。

だから、みんなに合わせるより、会社に合わせてもらえるように企業理念を整えたり、活動指針を発信したりすることが大事だと考えています。

──サッカーでチームコンセプトを掲げるのと近いでしょうか?

サッカーの場合はもう少しわかりやすくて、結果が「勝ち負け」という形で、試合単位でわかるじゃないですか。目標も「チームの優勝」という誰もが目指したい成果のことが多い。

でも、ビジネスでは数カ月~1年単位の複数のプロジェクトが同時並行で進んでいるので、その間にすれ違いが起きてしまうんですよね。考え方を常に合わせていく必要性を感じます。

もちろん、会社の夢と個人の夢が同じでなくていいと思っています。お互いの夢を追い求めた結果、進む方向が一緒であることが重要だと思っていて。採用もカルチャーフィットを大事にしています。

──鈴木さんは経営者として、どんな「チームづくり」を目指していますか?

ボトムアップが理想ですよね。僕が強烈なカリスマであればトップダウンでもいいと思うのですが、僕はそういうタイプではない。「こういう世界をつくりたい」というビジョンがあって、「どうやったらその世界に近づけるか」を仲間と一緒に考え、ギャップを埋めていくイメージなんです。

みんなが持っているいいアイデアが、どんどん出てくるようなチームをつくりたい。それは一人の人間が出せるアイデアには限界があるからです。間違ってもいいし、そもそも誰も正解は持ってないはず。

そこに強烈な個性を持った仲間がいたら、心強いと思います。元サッカー日本代表の闘莉王みたいなのがいたらおもしろいじゃないですか(笑)。

(文:岡田果子 写真:小池大介)