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立憲民主党に内閣不信任案を提出されるなど、逆風にさらされ続けている岸田内閣だが、自民党内からの“つむじ風”も日に日に強まっている。

「自民党の横浜市連から首相の退陣を求める声が出れば、長野県連からは党執行部の一新を要求されるなど、地方組織に岸田文雄首相らへの不満が広がっているのです」(全国紙政治部記者)

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そんな中、6月10日には松山政司参院幹事長が記者団に首相批判を公然と語ってみせたのだ。

「さまざまな批判が党にはある。最高責任者である総裁への批判になってくるのは当然だ」

なんと松山氏は、首相派閥である宏池会(岸田派)の所属。世耕弘成前参院幹事長が裏金問題で失脚したことで後任に収まった人物だ。

「支援する代わりに古賀氏と決別しろ」

岸田政権でポストを得ながら、地方組織と一緒に首相批判を強め始めたのはなぜか。

前出の記者が解説する。

「実は松山氏は、宏池会会長だった古賀誠元幹事長に近いことで知られており、古賀氏が言わせている可能性があるんです」

古賀氏と首相の因縁は2021年の総裁選時にさかのぼる。

「岸田首相は当時、麻生太郎副総裁から『支援する代わりに古賀氏と決別しろ』と迫られたんです」

互いに福岡を地盤とする古賀氏と麻生氏は、永田町でも有名な犬猿の仲。長年「憎しみ合っている」と評判だった。

「結局、岸田首相は麻生副総裁の条件をのんで総理・総裁へとのし上がったわけですが、今でも古賀氏はこのときの麻生氏の暴挙を許していないといわれている。これが、今回の首相批判にも繋がっているのです」

松山氏の首相批判は翌11日も続いた。

首相が支持する憲法改正の動きに対し、「衆参両院で温度差があったり、スピード感が違ったりしてはいけない」「衆参が連携して進めることが極めて大事」とクギを刺したのだ。

「古賀氏は憲法9条改正に反対する護憲派で、松山氏の発言はその意向にぴったり符合する。やはり古賀氏に言わされているんだなと思いました」(前出・政治部記者)

今後の流れを、政治部デスクはこう予想する。

「これは、古賀氏が倒閣運動を始めた動きとみていい。古賀氏は、岸田首相と麻生氏をまとめて失脚させることに執念を燃やしており、さながら麻生氏への恨みを“岸田おろし”で晴らすといった格好です」

当の古賀氏は、「宏池会の中興の祖」と呼ばれた大平正芳元首相の命日である6月12日、岸田派議員らと東京都府中市の霊園に墓参りに訪れた。

その際、「次期衆院選は厳しく苦しい選挙になるのは間違いない」と語っていた。

墓前に誓ったのは、自民党の善戦か、それとも恨み骨髄の倒閣だったのか。