マンガの世界には、たとえ地獄に落ちたとしても許されないくらい嫌われている胸糞キャラが多くいます。今回は「週刊少年ジャンプ」作品から、死んでもなお嫌われ続けている極悪人たちを振り返りましょう。
死んだ方がマシだった? 性格が最悪すぎる敵の末路
悪人キャラはフィクションに不可欠な存在ながら、なかにはあまりにも非道な行為でファンから本気で嫌われている胸糞キャラも存在します。今回は、「週刊少年ジャンプ」の作品から、その末路を含め衝撃的だった敵キャラを振り返ります。
【画像】え…っ? 「戸愚呂姉、母」って何だよ? これがネトフリよりもずっと早く作られていた実写版(?)です
※以下、物語の内容に関する記述がありますのでご留意ください。
『呪術廻戦』真人(まひと)
「幽☆遊☆白書 DXF 戸愚呂(兄) 30th Anniversary フィギュア」(バンプレスト)
芥見下々先生の『呪術廻戦』は、2018年から連載されているダークファンタジーバトルマンガです。
「真人」は作中の悪役で、「特級呪霊のひとり」でした。人間の負の感情から生まれたとされる彼は、魂に触れることで相手や自分の身体を自在に変形させられる「無為転変」という能力を使い、人の命をもてあそぶ残虐なキャラです。
一般人を巻き込んで身代わりにしたり、形を変えた人間を使って攻撃したりと、主人公の「虎杖(いたどり)悠仁」らを精神的にも追い詰めながら戦う姿は卑劣極まりないものでした。さらに「渋谷事変」では主要キャラのひとりである「釘崎野薔薇」の顔面を吹き飛ばしたり、虎杖の恩師である「七海建人」を目の前で殺害したりと、ファンから大いに嫌われる存在になります。
そのようにやりたい放題した真人も、虎杖に追い詰められ負けることを確信すると、情けなく逃げ惑いました。逃げる最中、現れた仲間の「夏油傑(偽)」によって吸収されてしまい、術式を奪われて消滅します。
残虐極まりない悪役ぶりで強烈な印象を残しただけに、取り込まれてしまうというあっけない最期に衝撃を受けた読者も多かったようです。
『幽☆遊☆白書』戸愚呂兄
冨樫義博先生の代表作『幽☆遊☆白書』は、1990年から1994年に連載されていた霊能バトルマンガです。
同作の「暗黒武術会編」に登場する「戸愚呂兄弟」の兄はずる賢い妖怪で、「俺はよく約束を破る」と自分でも認めるほどのクズでした。五連邪チームとの戦いでは、生き残ったふたりのメンバーに対して、命乞いをした方を助けてやると言ったにも関わらず、約束を破り殺してしまいます。
また、主人公の「浦飯幽助」率いる浦飯チームとの戦いでメンバーの「桑原和真」と対峙した際には、自分の身体で作った擬態を使い、気持ちの悪い人形劇で幽助たちの師である「幻海」の死を再現し侮辱するなど、胸糞悪い性格を露わにしました。その後、怒り心頭の桑原に敗北するも不死身のために復活しますが、幻海の死をあざ笑い続ける下劣な姿に怒りを覚えた戸愚呂弟がこれをぶっ飛ばし、バラバラになって海に落ちてしまいます。
この時に完全退場したかと思われた戸愚呂兄は、後の「仙水編」で再び登場します。幽助たちの前に現れ復讐しようとしますが、妖狐の「蔵馬」を挑発したことが裏目に出て、魔界の植物「邪念樹」を植え付けられてしまい、永遠に蔵馬の幻影と戦い続けるという生き地獄に堕とされました。
人の死や恐怖する姿をあざ笑い挑発するなど、正々堂々と戦わない卑劣な戸愚呂兄に対して放たれた蔵馬の「お前は死にすら値しない」という名言には、共感するファンも多かったようです。
(広告の後にも続きます)
ボスにすら警戒されるサイコパス
『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」チョコラータ
『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』ビジュアル (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会
2024年現在も月刊マンガ誌「ウルトラジャンプ」(集英社)にて第9部が連載されている荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』は、代々続く「ジョースター家」と敵対する「ディオ・ブランドー」との因縁の戦いを描いたシリーズです。
同作の第5部「黄金の風」で登場する敵キャラの「チョコラータ」は、イタリアのギャング組織「パッショーネ」に属するスタンド使いでした。
元医者のチョコラータは、些細なミスで患者を死なせたことで病院を解雇され、組織に拾われたとされています。しかし、実際には医療ミスは意図的なもので、ほかにも健康な患者を病気と診断し手術したり、手術中の患者の麻酔をわざと弱めて痛みを与えたりと、当時から恐ろしい所業を働いていたのです。人が悶(もだ)え苦しむ様や人の死を観察するのが趣味というその歪んだ人格は、組織のボスも「最低のゲスだ」と評するほどでした。
彼のスタンド能力「グリーン・ディ」は、その異常な精神が反映された凶悪極まりないもので、「自身より下方に移動する生き物を攻撃して腐食させる殺人カビ」を放つことができます。無差別大量殺人のために生まれたような能力で、作中ではチョコラータのせいでローマの市民たちが壊滅的被害を受けました。このカビは生物から生物にどんどん感染するため、チョコラータが負けていなければ、街ごと滅んでいたかもしれません。
そのほかにチョコラータは騙し討ちや死んだふりといった卑怯な手も使いましたが、最期は第5部の主人公「ジョルノ・ジョバァーナ」に、「無駄無駄ラッシュ」と呼ばれる連続パンチを打ち込まれ、はじき飛ばされた先のゴミ収集車に巻き込まれて死亡します。コミックスでは8ページにわたって「無駄無駄」と殴られ続け、卑劣な悪党に相応しい惨めな最期を遂げました。