アニメやマンガが実写化される際、原作ファンが最も気になるポイントのひとつは、そのキャスティングでしょう。主人公やメインの味方キャラだけでなく、物語を引き立たす重要な役割である悪役も、注目が集まります。そんな難しい役どころには、意外なキャスティングも多く、見事に演じきった「イケメン」俳優も少なくありません。
映画『ミュージアム』ポスタービジュアル (C)巴亮介/講談社 (C)2016映画「ミュージアム」製作委員会
【画像】え…っ? 「キービジュアルやばッ」「服着て」 こちらが過激すぎたけど地上波放送されてた実写版です(5枚)
イメージをくつがえすトラウマ級の悪役ぶり
原作ファンにとってマンガやアニメが実写化される際には、やはりキャスティングが気になるものです。主人公やヒロインの配役も重要ですが、それと同じくらい悪役にも注目が集まります。
なかにはあまり悪役のイメージがないイケメン俳優が抜てきされ、徹底した役作りでキャラを再現し、高く評価された例もありました。
2019年、2021年に実写映画化された南勝久先生の『ザ・ファブル』は、最強の殺し屋が主人公の人気マンガで、実写版は全体的にキャラが原作よりも「美形化」していたことも有名です。
本作の悪役のひとりでトラブルメーカーである「真黒カンパニー」の社員「小島」を演じたのは、柳楽優弥さんでした。小島は長年の獄中生活から出所したばかりの、ちょっと狂った好戦的なヤクザです。
小島のニヤニヤと笑いながら凶行に及ぶ姿や、白目をむきながら笑う表情などは、目元の演技だけでも狂気を感じさせます。原作の小島とは似ていないものの、柳楽さんの怪演はかなりのインパクトを残しました。
本作主演の岡田准一さんは舞台あいさつで「柳楽くんのおかげでヒットしているといっても過言じゃない」とコメントし、観客からも「こんなにクレイジーなのに、どこか憎めないのは柳楽さんの演技のおかげ」「海老原(演:安田顕)との場面が原作より泣けた」など、称賛の声が相次いでいました。
そのほか、実写ドラマ『幽☆遊☆白書』の悪役も、見事な再現が話題となっていました。原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載された、冨樫義博先生の人気マンガで、2023年12月からNetflixにてドラマシリーズが独占配信されています。
本作の実写版で公開前からキャスティングが注目を集めたのは、ラスボスキャラ「戸愚呂弟」を演じた綾野剛さんです。原作での戸愚呂弟の肉体は、筋肉量を自在にコントロールすることができ、戦いを追うごとに現実離れした姿に変化していきます。
細身であまり筋肉のイメージはない綾野さんが起用され、「いかに戸愚呂弟の肉体が再現できるか」と注目されていたところ、実写『幽白』は最新VFX技術を使い、見事に違和感のない映像を作りあげ、激しいバトルシーンを再現していました。首から下の映像は全てCGで、綾野さんはバトルアクションや喜怒哀楽の感情を、首から上だけで表現しています。
原作ではセリフだけで語られていた「戸愚呂弟の人間時代の悲劇」の場面も映像化され、かなり高い演技力が求められる役柄でしたが、視聴者からは「通常状態の似方がすごい」「戸愚呂100%の再現度が100%」「喋り方とか原作のイメージ通りで好きだった。『~だね』とかの言い方とか」「正直全キャストのなかで一番意外な配役だったのに、一番再現度高くてまたびっくり」「滝藤賢一さんの戸愚呂兄もそっくりで兄弟そろって素晴らしい」など、称賛を受けています。
そのほか、実写映画『ミュージアム』の殺人鬼「カエル男」を怪演した俳優の妻夫木聡さんは、公開1か月前のジャパンプレミアで初めてキャスティングが明かされ、公開後に衝撃と称賛の声があがっています。原作は「週刊ヤングマガジン」(講談社)にて連載された、巴亮介先生のサイコスリラーマンガです。
本作は、主人公の刑事「沢村久志(演:小栗旬)」と、雨の日にだけ現れ、かつて「幼児樹脂詰め殺人事件」の裁判員だった人びとを次々に殺害していく、猟奇殺人鬼「カエル男」との激しい攻防が描かれます。
カエル男は、どう猛な大型犬に生きたまま食い殺される「ドッグフードの刑」や、巨大な冷凍庫のなかで裸のまま凍死させられる「ずっと美しくの刑」など、残忍な殺人を繰り広げました。
そんなカエル男は物語中盤までカエルのマスクを付けているため、素顔が明かされません。さらにマスクを取った姿も、特殊メイクによってただれた皮膚のスキンヘッド姿を再現しており、誰が演じているのか分からないほどの仕上がりでした。
目がバキバキの表情の怪演も相まって、「本当に怖かった」「こんな役柄でもハマるんだ!」と好評の声が相次ぎましたが、なかには「妻夫木くんをもう少し見たかった」と、イケメンの無駄遣いだと感じた妻夫木さんファンの意見も見られました。