「僕にとってキャンバスはネタ、展示会はライブ」
——今回の作品展は、『こだわりストたちの世界』というタイトルが付いていますが、作品へのこだわりを教えていただけますか?
たいぞう 僕は、作品だけが作品じゃない、と思っているんです。僕自身が生きているのが作品だと思っていて。だから、全部が作品。
僕、西川のりお師匠が大好きなんですけど、まだ若手のころに、のりお師匠が「芸人は、生き方も芸人や。ネタがおもしろいだけじゃない。生き方やその人自身がおもしろくないとあかん」という話をしてくださったんです。そのころ、僕は漫才や吉本新喜劇をやっていたんですけど、あまりうまく表現できてなかった。
出典: FANY マガジン
でも、絵を描いたときに「これやったら自分を出せる」と思って、そのときの、のりお師匠の考えを取り入れています。「生きていることが芸人」ならば、「僕が絵を描いていること自体が作品」。だから、僕にとってキャンバスは舞台。ネタなんです。そして展示会はライブです。
——今回、たいぞうさんが展示しているなかで「みんなのスタート」という作品が印象的でした。
たいぞう 自分が障がい者とわかってから、僕はまわりの方にすごく支えられてきたんやなと感じたんです。まわりの人がいたから、これまで芸人もできてたんやなって。だから、今回の作品は“支えてきてくれたまわりの人たち”が主役です。
今回がコラボ展のスタートになるから、アーティストと同じ数の9人の赤ちゃんがいます。そして、蝶々のサナギがいて、そこから花が咲きます。左下の象は、河瀬さん。長い鼻を使って、僕らに愛を注入してくれます。右下は、サポートしてくれる吉本の社員の方々。いろんな方が支えてくれていることを表現しました。そして、上に描かれた鳥は、次のステージへ羽ばたく未来を表現しています。見に来てくれた方々の笑顔がたくさんあります。情報量が多いんですけれども。
出典: FANY マガジン
Masyashi777 制作時間はどれくらいなんですか?
たいぞう けっこう早いです。これで1週間くらいかな。僕は頭の中で絵をずっと描いているし、ある程度、絵を描くときの方程式があるんです。芸人さんって、ネタを考えるときに小さなことを大きくするじゃないですか。僕も同じように、小さいことを大きく膨らませて絵として表現しています。アートって難しいと言われることが多いんですけれども、僕はお笑い、吉本新喜劇出身なので、おじいちゃんから子どもさんまで、みんなが楽しめるような作品をつくっていきたいなと思っています。
——作品の説明を聞くと、より一層どういう絵なのかが伝わって、さらにじっくり見たくなります。Masyashi777さんの作品は、ポップな絵もあり、クールなタッチもあり、同じ人が描いたとは思えないバリエーションがあるように感じました。
河瀬 彼は、デジタルで絵を描くんですが、ひとつの絵に対して色のパターンを変えて、いろんな作品に仕上げていきます。
Masyashi777 練習と模索の日々やと自分でも思っています。僕はデジタルを使って作品をつくるけど、これまで絵を学んできたわけではないんです。でも、やりたいことならできる。「ソフトの使い方を勉強せなあかん」と思い詰めるといっさいできなくなるので、作品をつくりながらソフトの使い方もひとつずつ覚えていく感じです。だから、いろんなパターンの作品が生まれてくるんだと思います。
出典: FANY マガジン
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全国で障がい者アーティスト仲間を増やしたい
——このコラボ展の、今後の展望を聞かせてください
たいぞう 全国をまわって旅したいです。会場が大きい、小さい関係なく、そしていろんな方と会場でお話して、絵を描いて。アートだけじゃなく、そこで見せられるようなショーもやりたいです。ライブペイントとかできたらいいですよね。お笑いもちょっと入れたいなぁ。ゲストに吉本新喜劇の方も呼んで、障がい者アーティストのみんなで作る。アートとお笑いを融合できたらいいですね。
河瀬 たいぞうさんは大阪府障がい者芸術・文化大使もされているので、まずは大阪で、いろんな症状を持ちながらも一生懸命、絵を描いている方が一斉に集まる場を作って、そこで仲間を増やしていくのが大切かなと感じています。そして、全国にも仲間を増やしていって。アートを通して、いろんな方と出会えて、いろんな世界が見られるよ、と。障がいがあることで、家に引きこもっている方もいらっしゃいます。だから、いろんな世界を見ることができるきっかけになればいいなと思います。
出典: FANY マガジン
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