パリ五輪が閉幕して約2週間。56年ぶりのメダル獲得を目ざしたU-23日本代表は、グループステージを3連勝で首位通過したものの、準々決勝でU-23スペイン代表に0−3で敗れて大会から姿を消した。
次なる五輪の舞台はアメリカ・ロサンゼルス。海外組が増えつつある現状でベストメンバーを組めるか不透明だが、次なる大舞台を目ざす戦いはすでに始まっている。本稿ではロス世代の注目選手を紹介する。
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GK
荒木琉偉(ガンバ大阪ユース)
2007年10月14日生まれ
昨秋のU-17ワールドカップは怪我で出場できず、悔しい想いを味わった。だが、ポテンシャルは一級品。191センチのサイズを生かしたシュートストップに定評があり、今年に入ってからはフィジカル面も見違えるように逞しくなった。G大阪ユースの先輩でもあるGK谷晃生(町田)のように日本を代表する守護神になれるか注目だ。
DF
市原吏音(大宮アルディージャ)
2005年7月7日生まれ
高校2年生だった2022年7月に天皇杯でトップチームデビューを飾り、昨季の夏場以降からはCBのレギュラーとして大宮の最終ラインを支えている。187センチの高さを生かした空中戦の強さはもちろん、ボランチでもプレーできるほどの技術力も魅力のひとつ。「ロス五輪だけではなく、A代表も視野に入れていきたい」と言い切る有望株の可能性は無限大だ。
DF
小杉啓太(ユールゴーデン/スウェーデン)
2006年3月18日生まれ
昨秋のU-17ワールドカップではキャプテンを務めた左SBで、豊富な運動量と強度の高い守備でチームを支える。湘南ベルマーレの育成組織から直接ヨーロッパに渡り、昨冬からスウェーデン1部のユールゴーデンでプレー。今季は出場機会を掴み、ヨーロッパカンファレンスリーグ予選プレーオフでも出番を得て、貴重な経験を積んでいる。
MF
中島洋太朗(サンフレッチェ広島)
2006年4月22日生まれ
広島や千葉で活躍した中島浩司を父に持つ世代屈指のプレーメイカーだ。正確なポジショニングでボールを引き出し、創造性に富んだスルーパスで攻撃をリードする。課題だった守備も見違えるように上達し、相手が嫌がる場所に顔を出しつつ、球際の攻防でも怯むことがなくなった。U-17ワールドカップ出場を経て、迎えた今季は高校3年生ながらJ1で7試合に出場している。順調に成長を遂げていけば、ロス五輪で主軸を担う存在だ。
MF
佐藤龍之介(FC東京)
2006年10月16日生まれ
昨秋のU-17ワールドカップでは右サイドハーフ、クラブやU-19代表ではトップ下を主戦場とし、どのポジションでもハイレベルにこなせる。技術力とスプリント能力に定評があるが、最大の魅力はクレバーなプレー。特に守備時は中間ポジションにてひとりでふたりを見ることができ、状況に応じてプレッシャーのかけ方を変えられる。パリ五輪にもトレーニングパートナーとして帯同し、大会直前の親善試合でもピッチに立った。クラブで出場機会を増やせれば、自ずとロス五輪が見えてくるはずだ。
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FW
塩貝健人(慶應義塾大)
2005年3月26日生まれ
横浜FCのジュニアユースから國學院久我山高に進み、慶應義塾大で才能が花開いた。すでに横浜F・マリノス入団が内定しており、トップチームデビューでもゴールを奪っている。シュートレンジの広さにも定評があり、身体の強さは折り紙付き。タレントが揃うFW陣の競争は激しいが、大学経由で世界に羽ばたいた上田綺世のように一気に上り詰めたとしても不思議ではない。
FW
後藤啓介(アンデルレヒト/ベルギー)
2005年6月3日生まれ
中学3年生で磐田U-18に飛び級で昇格し、191センチの大型ストライカーとして当時ユースの指揮官だった名ストライカー前田遼一監督からも寵愛を受けた。中学時代はトップ下やボランチを務めていたとあって、足もとの技術が高く、ポストプレーの精度が高い。そこに決定力が加わり、今では万能型のFWとしてベルギーで研鑽を積むまでになった。現在はアンデルレヒトのセカンドチームに席を置いており、結果を残して早い段階でトップチーム昇格を狙いたい。
FW
貴田遼河(アルヘンティノス/アルゼンチン)
2005年7月15日生まれ
FC多摩ジュニアユース時代にブレイクし、中学卒業時には名だたるJクラブの育成組織が争奪戦を繰り広げた逸材だ。名古屋U-18で順調に成長を続け、昨冬にはアルゼンチンに活躍の場を求めた。ゴールセンスに定評があり、得点の匂いを嗅ぎ分ける力はロス五輪世代でもずば抜けている。ワンタッチで合わせるスキルが高く、裏への抜け出しも良い。豊富なゴールパターンを持つ世代屈指のストライカーだ。
FW
道脇 豊(ベフェレン/ベルギー)
2006年4月5日生まれ
高さと速さを持ち合わせるストライカーだ。高校入学直前の2022年3月にロアッソ熊本のトップチームでベンチ入りを果たし、直後にクラブ史上初の高校生Jリーガーとしてプロ契約を締結。迎えた2023年シーズンに開幕戦でJデビューを飾るなど、早くからポテンシャルを評価されてきた。昨秋のU-17ワールドカップでは怪我の影響で満足いくプレーができなかったが、今夏にベルギー2部のベフェレンに加入。課題のフィジカル面を強化できれば、ステップアップも現実味を帯びてくる。
FW
高岡伶颯(日章学園高)
2007年3月12日生まれ
高校卒業後にサウサウプトン入りが内定しているアタッカーだ。165センチと小柄だが、当たり負けしない身体の強さとスプリント能力に長けており、前田大然を彷彿させるプレスバックも目を見張る。中学時代は三股町立三股中学校でプレーしており、世代別代表やナショナルトレセンに選出されるような選手ではなかった。だが、日章学園高進学後に頭角を現し、昨秋のU-17ワールドカップでは4ゴールを挙げて一躍をその名を轟かせた。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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