7月20日、ヘルタ・ベルリンとのプレシーズンマッチで肩を脱臼した小川航基(NEC)は8月24日のPECズウォーレ戦で今季初めてスタメンを飾り、フル出場を果たした。1-0で勝ったNECは開幕からの連敗を2でストップしている。
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「60分ぐらいからけっこうヤバかった。復帰明けということもあり、もうちょっとコンディションを上げていきたい。60分以降は(足が)ピクピクしちゃっていた。もうできない感じでした」
しかし、今季開幕から2連敗のNECには小川ひとりしかストライカーがいない。同じく勝点0のPECズウォーレを相手に、NECは喉から手が出るほど勝利が欲しかった。その責任を復帰明けの背番号18は負って戦った。
0-0のまま進んだ87分、左SBアウウェヤンのニアへのクロスにスライディングで飛び込んだのは小川だった。クロスに触ったのか触らなかったのか微妙なところ。ともかく小川のゴール前での迫力がGKスヘンデラールのファンブルを誘い、FWロベールのゴールにつながった。
「あれは触ってないですね。触ってたらたぶんオフサイドだった。今さっき、『(小川が)触ってないからオフサイドじゃなかった』と言ってたんです。俺はガッツリ触りに言ってたんですけれどね(笑)。やっぱり、あそこに入るのが大事です。これからもああいうプレーを続けていかないといけない」
NEC戦では小川はストライカー、佐野航大はトップ下でプレーした。しかしPECズウォーレは中盤のキーマンを担った佐野へのパスコースを遮断し、NECにボールを前に運ばせない。こうして前半は小川、佐野ともボールタッチの少ない展開になった。
そんな厳しい状況の前半だったが45分、佐野のフェザータッチのラストパスから小川が抜け出し決定機を得た。鋭い弾道の左足シュートは枠を外したが、相手CB2人のギャップを突く小川のポジション取りは巧みだった。
「狙いは悪くなかったんですけどね。『ニア上』を射抜くというか。ちょっと腰が曲がらなかったかな。でも航大といい関係性、いい距離感でできたんで良かったですね」
そのシーンを、佐野は「あそこで1本いい形が出たのはこれからに繋がると思います。自分がボールを持ったら航基くんも『パスが来る』と思ってるだろうし、僕も自分にボールが入ったら航基くんを見ています。そこは常に意識してます」と振り返った。
多機能プレーヤーとして知られる佐野はPECズウォーレ戦でも展開に応じてトップ下→セントラルMF→インサイドMFとポジションを移していった。小川は言う。
「いろんなプレーができるのが彼の強み。だからこそいろんなポジションでプレーしてると思う。そういったなかで、『ジャパニーズコネクション』、『ジャパニーズコンビネーション』をもっともっと見せていって、『あのジャパニーズにボールを持たせたら(危険だ)』というようなイメージを持たせることができれば、もっと日本人の価値だったりとか、自分たちの良さが出てくると思います」
試合の分岐点は64分、PECズウォーレの左SBルトンダがこの日2枚目のイエローカードを受けて退場したこと。その後、一方的にNECが押し込んだが、ストライカーの小川にとってはゴール前でのスペースが無くなることにつながった。その数少ないボールタッチのなかで、小川は相手CBを背負いながら何度かポストプレーでチャンス一歩手前のお膳立てをした。
「ゴール前で2回ぐらい、いい形でポストプレーがあった。ああいったなかで『前向きの選手』を作り出せるというのは自分の良さでもある。あれがアタッキングサードにグッと入ってくるひとつのオプションになると思うんですよね。サイドからサイドずっと回していても、結局いい状態でクロスを上げれませんので。
最後はクロスから点を取りましたけど、ああやって自分が囮になって無理やり中にギュッと入っていくのは大事だと思う。ああいうのもひとつ自分の良さとして今後やっていけたらなと思います」
第2節・AZ戦の66分、今季初めて小川がピッチに入るとNECの前線の動きが明らかに変わった。わざとオフサイドポジションに居残って、プレーの流れのなかからオフサイドが消えて小川自身がノーマークになる動き。CBの視界から消えて急所を突く動き――。今まで当たり前だと思っていたことが、彼が束の間欠場したことで実は、NECにとってかけがえのない武器だったことに気づかされた。
「ゴール前というのは、僕は大して点を取ってないけれど――、昨季ある程度結果を残したから、マークする相手が『最後はコイツのとこに来る』という印象は持ってると思う。そういった意味で、僕が入ることでボックスの中での脅威というのが生まれ、ウインガーやトップ下の選手が空いてくる。まさに今日、最後の得点シーンは僕が入ったことで生まれたゴールだといっても過言ではないと自分でも思ってます。
俺が入ることで『ゴールへの迫力』が生まれたり、『ゴールの匂いというのがするな』という風になったりすれば、アピールになると思う。次の試合でしっかり得点を取りたい」
今季の目標は15得点。昨季はその数字をオランダリーグ11ゴール・KNVBカップ戦4ゴールで達成した。
「目標の15ゴールはリーグ戦だけの数字ですよね?」。そう確認すると「もちろん! さらに上を目ざして20点取れたら最高だと思います」と答えて、次のように続けた。
「カップ戦でも昨季と同じくらい取って、決勝戦でフェイエノールトに勝ちたい」
昨季リーグ戦6位、カップ戦準優勝と好結果を残し、しかもプレー内容が良かったことから『草刈り場』になると思われたNECだが、主力ではここまでGKシレッセン(ラス・パルマス)、DFファン・ローイ(トゥエンテ)、MFシェリー(アントワープ)の放出に留まっている。
チーム、そして小川、佐野ら個人としても本調子から程遠いが、昨季の自信を糧にこれから仕上げていくことだろう。
取材・文●中田 徹
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