PGAツアーには個性的なスイングをする選手が多いですが、ザンダー ・シャウフェレは例外。教科書的な美しいスイングです。
柔軟性を活かした “教科書的” お手本スイング
アドレスでは肩、ヒザ、ツマ先がすべて飛球線に対して平行にセットされ、バックスイングでは少しだけ左ヒザが前に出ながら回転するので右股関節のポジションが安定します。手元の操作は最低限で、コックやローテーションも少なめ。
シャフトが地面と平行になるハーフウェイバックでは、フェースの向きと背骨の傾きが平行になり、フェースがスクエアを保っている。それ以降は下半身の回転量が落ちて、胸だけもう一段階深く回転します。
アマチュアの場合、この胸の回転ができない人が大半で、それが原因でトップまで振り上げたときに右ワキが開いてしまう人が多い。シャウフェレの場合は両腕がほぼ体の正面にとどまっており、体がとても柔軟なことがわかります。
トップポジションでは左手の甲が少し空を指し、ハーフウェイバックのときよりもフェースはシャットに。これはインサイドから振り抜いて右に打ち出し、左に戻ってくるドローボールを打つ準備です。
切り返しではヘッドが背中側へ少し垂れ込んでシャフトがフラットに。それ以降、シャフトの傾きを保ったままインパクトゾーンへ突入します。ここで右手に力が入ってしまうとシャフトが立ってしまいますが、その動きは見られません。
つまり、パワフルな見た目とは裏腹に右腕は脱力状態をキープ。インパクトでは骨盤がほぼ完全にターゲット方向を指していますので、かなりビハインド・ザ・ボールの体勢でボールをとらえています。フェースをシャットに使いながらも絶対にヒッカケは打たないという、ドローヒッターの教科書的スイングです。
Xander Schauffele(アメリカ代表)
●ザンダー・シャウフェレ / 1993年生まれ。178cm、75kg。世界ランク3位。今年の「全米プロゴルフ選手権」で初のメジャー制覇を果たした。大柄ではないものの、今シーズンのドライバー平均飛距離は306ヤードをマーク。東京五輪に続き、パリ五輪でふたつめの金メダルを目指す。
解説=大川夏樹
●おおかわ・なつき / 1988年生まれ、神奈川県出身。マンツーマンを中心に、多くのアマチュアゴルファーをレッスンする人気コーチ。(インスタグラムアカウントNATSUKI72_GOLF)。
写真 = 田辺JJ安啓
※選手のデータや成績は、7月6日現在のもの