F1アゼルバイジャンGPの予選が行なわれ、フェラーリのシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得。角田裕毅(RB)は12番手だった。
アゼルバイジャンGPの舞台は、長い直線区間と狭い低速区間を併せ持つ、難しいレイアウトのバクー市街地コース。空力のセッティングをどこに持ってくるのか、各チーム頭を悩ませるサーキットである。
そんな中、気温27度/路面温度38度というコンディションで予選が始まった。多くのマシンが、決勝ではソフトタイヤの出番はないと踏んで、ハードタイヤを2セット新品もしくは1周のみ皮剥きした状況でこの予選に臨んだ。
■Q1:まさか! 逆転王者を狙うノリスが敗退
Q1では各車がソフトタイヤをチョイスする中、メルセデス勢のみがミディアムタイヤを選択。メルセデスは、全チーム中唯一ミディアムタイヤを2セット新品のまま残していたチームである。そのうちの1セットを、ここで使うことにしたため、決勝にはハード1セット、ミディアム1セットを残して挑むことになった。
セッション序盤にトップタイムをマークしたのは、復活を目指すレッドブルのセルジオ・ペレス。ペレスはここアゼルバイジャンで唯一2勝を挙げた経験を持つ、験の良いサーキットなのだ。これに、フェラーリのカルロス・サインツJr.が2番手で続いた。
驚きの走りを見せたのは、ウイリアムズのフランコ・コラピントである。コラピントは1セット目のタイヤでの2アタック目で3番手タイムをマーク。上位勢の間に割って入ってみせた。
フェラーリのシャルル・ルクレールも、ここアゼルバイジャンを得意とするひとり。勝利の経験こそないものの、予選では3年連続ポールポジション獲得中。スプリントシュートアウトも含めれば4連続PP獲得中だ。
そのルクレールは、1セット目のタイヤの2アタック目で1分42秒775を記録して首位に。ソフトタイヤに履き替えたメルセデスのジョージ・ラッセルが2番手に上がった。
セッション後半に輝きを見せたのは角田だ。角田は2セット目で挑んだアタックで、セクター2で全体ベストを記録する活躍を見せ、一気に4番手浮上。Q2進出をグッと手繰り寄せた。
ただその後にアタックしたマシンも軒並みペースアップ。ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンが角田のセクター2最速を塗り替えて2番手に。ハースのニコ・ヒュルケンベルグが3番手、コラピントが再び4番手に上がるなど、タイムシートの序列は目まぐるしく変わっていった。
そんな中で波乱が待っていた。
ランキング2番手につけ、大逆転でチャンピオンを狙うマクラーレンのランド・ノリスが、なんと17番手でQ1敗退。最終アタックのターン16でコースオフしてしまったのだ。
結局ルクレールがQ1首位。アルボン、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)というトップ5。角田は11番手でQ2進出を果たした。
一方でダニエル・リカルド(RB)、前述のノリス、キック・ザウバーの2台、エステバン・オコン(アルピーヌ)がここで姿を消した。
■Q2:角田奮闘もQ3には届かず。コラピントが驚き6番手
Q2では、ほとんどのマシンが残りタイヤが少なくなっていることから、まずはQ1で使った中古のソフトタイヤを履くマシンも多かった。
そんな中、新品タイヤを投入したマックス・フェルスタッペンとペレスのレッドブル勢2台が1-2。同じく新品タイヤのピアストリが3番手だった。
セッション終盤には各車が新品のソフトタイヤを履いてアタック。結局トップでQ2を通過したのはフェルスタッペン。2番手にルクレール、3番手にペレスという順位だった。
ここでもコラピントが速さを見せた。その順位は6番手。チームメイトのアルボン(10番手)を上回ってQ3進出を果たした。ウイリアムズは2台揃ってのQ3進出である。
今回はハースでの初戦となったオリバー・ベアマンは11番手でQ3進出を逃したが、チームメイトのヒュルケンベルグ(14番手)を上回る大金星だった。
なお角田は、ベアマンにわずかに届かず12番手でQ2敗退。以下ガスリー、ランス・ストロール(アストンマーティン)もQ3進出を果たせなかった。
■Q3:ルクレール最速! 4年連続PP。アルボンに不運
このQ3には、レッドブル、メルセデス、フェラーリの3チームが2セットの新品ソフトタイヤを残して挑んだ。ピアストリのみとなったマクラーレンはソフトタイヤの新品は1セットしか残っておらず、若干劣勢に立たされているそんな印象であったが、実はピアストリが残している中古のソフト1セットは、Q2でアタックを完了していない、使い切っていないタイヤだった。
最初のアタックを終えた段階では、ルクレールが首位、サインツJr.が2番手と、フェラーリ勢が1-2体制。その後方には、Q2で少し使ったタイヤでアタックしたピアストリが続いた。
残り3分というところで、各車が最後の新品タイヤを装着してコースイン。ポールポジションを争う最後のアタックへと向かった。
そんな中でありえないトラブルが発生した。アルボンのマシンは、エアボックスに冷却用のファンを取り付けたままコースインしてしまったのだ。アルボンはファンを自力で外し、コース脇にいるマーシャルに渡して走行。ただ、アタックラップに入るのには間に合わず、チェッカーを受けてしまうことになった。
そんな中でルクレールが、1分41秒365を記録。このタイムを破るドライバーは現れず、アゼルバイジャンGPで4年連続のポールポジションを獲得した。2番手ピアストリに0.321秒という圧倒的な差をつけた。ルクレールが速かったのはセクター2である。
3番手にはサインツJr.。4番手にはペレスが続いた。ペレスはセクター1が最速であった。なおセクター3の最速はアストンマーティンのフェルナンド・アロンソで、各車のセッティングの傾向が大きく分かれていることが見て取れた。
ペレス以下はラッセル、フェルスタッペン、ハミルトンとレッドブル&レッドブルががっぷり四つ。アロンソが8番手だった。F1での2レース目を戦うコラピントが9番手と気を吐いた。
10番手アルボンは冷却ファンの一件について、予選後に審議対象となることが決まっている。