男子テニスの国別対抗戦「2024デビスカップ・ワールドグループ(WG)1部」の日本対コロンビア戦は9月15日、東京・有明コロシアムで2日目を迎えた。勝てば来年のファイナルズ予選に進み、負ければWG1部プレーオフに回る重要な戦いで、5戦中3勝したチームが勝利する。初日に西岡良仁(世界ランク54位)と錦織圭(205位)がシングルスに連勝し、王手をかけた日本は、2日目の初戦でダブルスを落としたものの、続くシングルスNo.1対決で西岡が粘り勝ちし、計3勝1敗でファイナルズ予選の切符を手にした。
ダブルスは当初、錦織/綿貫陽介(複453位)を予定していた日本だが、前日の疲労から「出たいけれど難しい」という錦織の状態を考慮し、添田豪監督は綿貫/望月慎太郎(複1155位)にメンバーを変更。ダブルス巧者のニコラス・バリエントス(複53位)/クリスティアン・ロドリゲス(複107位)にぶつけた。
第1セットは日本ペアが健闘。「リターンでは2人でプレッシャーをかけていった」と綿貫が言う通り、相手の2ndサービスを前に入って叩き、リズムを作る。特に綿貫が後ろで押し込み、望月がネットで動くパターンがよく機能し、バリエントスのサービスで2ブレークに成功。望月も2つブレークされるが、タイブレークに持ち込んで7-4で先取する。
しかしさすがに相手は百戦錬磨だ。「彼らのリターンが良かったので、1stサービスのパーセンテージを上げようと2人で話した」とバリエントスが言うように、第1セットの63%から第2セットには79%まで1stの確率を上げてくると、日本ペアは攻め手がなくなる。ブレークチャンスを握れぬまま、「僕のサービスの確率が低かった」と悔やむ望月が2つサービスダウンを喫して2-6で第2セットを落とすと、第3セットはそこまでオールキープだった綿貫も失速する。
ヒザの故障から約半年ぶりに戦線復帰したばかりの綿貫は「集中力が長く続かず、少し抜けるところがある」という状態で、「相手は最後までプレーの質が落ちなかった」のに比べると明らかに差があった。第3セットは綿貫が2つ、望月が1つサービスダウンし、1ブレーク返したものの3-6で日本ペアは振り切られた。
この流れを食い止めたのが、シングルスエース対決に登場した西岡だ。相手のニコラス・メヒアはランキングでは237位と西岡より下だが、それ故に捨て身の攻撃で西岡にぶつかってきた。第1セットは先に西岡がサービスを落とし、すぐブレークバックしたが5-5まで競り合う互角の展開。一見すると西岡が低調なようにも見えたが、そうではなかった。
「初対戦だったので探り探りスタートしたが、少しずつペースをつかんだ。相手は最終的に崩れるだろうと思っていた」と西岡は言う。無理な強打はあまりせず、スピンボールを広角に散らして揺さぶると、メヒアは第11ゲームで立て続けにミスを犯し、西岡がブレーク。そのまま第1セットを7-5で奪う。
第2セットはさらにギアを上げて攻めてきたメヒアに0-4とリードを許すが、それでも西岡は「相手が開き直って打ってきた」と解釈し、動じることはない。「相手の疲れが見えたので、ファイナルに行っても勝てる自信があった。そこからはできるだけ長くしよう、なるべく決めないように、デュースが続くようにしよう」と考えたというのだから恐れ入る。
事実メヒアは「(4-0とした)その頃から身体が言うことを聞かなくなった」と明かす。「ケイレンに近い状態」で足が止まり、踏ん張れないまま強打してはミスを連発。西岡はじっくりとラリーを作って相手を動かすことに徹した。
「デ杯は勝利が大事。最悪ファイナルに入っても、相手が動けませんとなれば勝てる。その確率を上げるために、セカンドは相手を動かすことだけを考えてプレーし、それが挽回につながった」。どこまでもしたたかな西岡は、一気にポイントを連取するのではなく、あえて取ったり取られたりを繰り返しながらゲームを奪い、終わってみれば6ゲーム連取の6-4で試合にケリをつけた。
3勝1敗で日本の勝利が決まり、第5試合は実施されなかったが、仮に西岡が負けていたとしても、最後にはまだ使っていないダニエル太郎(92位)が錦織の代わりに控えていた。日本チームの層は相当に厚い。
添田監督は「ヨシは耐えてよく勝ってくれた」と西岡のプレーを称えた。そして「ベテランもいて、エースもいて、若手もいる。スタッフも最高で、チームの勝利です」と総括した。今のチーム力なら、来年の予選突破はもちろん、ファイナルズでの上位進出も十分期待していいだろう。
【第1日(9/14)結果】
第1試合 ○西岡良仁[6-2 6-4]アドリア・ソリアノバレラ●
第2試合 ○錦織圭[6-4 6-4]ニコラス・メヒア●
【第2日(9/15)結果】
第3試合 ●望月慎太郎/綿貫陽介[7-6(4) 2-6 3-6]N・バリエントス/C・ロドリゲス○
第4試合 ○西岡良仁[7-5 6-4]ニコラス・メヒア●
第5試合 実施せず
取材・文●渡辺隆康
【画像】デビスカップ2日目・エース西岡良仁が苦しみながらも勝利し3勝1敗で日本がコロンビアを下す!
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