プジョーは、世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間耐久レースで4位入賞と今季最高成績を収めた。しかし大きな躍進があったわけではないとして、2024年仕様のル・マン・ハイパーカー(LMH)の純粋なペースは「素晴らしいとは言えない」と説明した。
富士スピードウェイで開催された第7戦では、ミケル・イェンセンとニコ・ミュラー、ジャン-エリック・ベルニュが駆るプジョー93号車9X8が表彰台からわずか3秒差の4位。ポール・ディ・レスタとロイック・デュバル、ストフェル・バンドーンが乗る僚機94号車は8位に入った。
今年4月のイモラ戦で、リヤウイングを搭載した改良型9X8を投入したプジョー陣営としては、富士戦が今季初のトップ5フィニッシュ。旧仕様のマシンで昨年のモンツァ戦の表彰台を獲得して以来の好成績だった。
しかしプジョー・スポールでテクニカルディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーは、富士戦の結果がマシン本来のスピードを示しているわけではないとして、チームが地に足をつけて改善に勤しむ必要があると語った。
「ラップタイムを見ると、正直なところ、ペースはまだ素晴らしいとは言えない」とジャンソニーは言う。
「でも我々はそれを補って4位を獲得できた」
「正直なところ、これには運も絡んでいる。いくつかのレースでは不運に見舞われたが、ある時点で(流れが)変わってきている」
そしてジャンソニーはこう続けた。
「(富士戦での結果は)後押しになる。サンパウロからオースティンでは結果が出ず、プレッシャーも大きく、厳しい時期が続いた。特にオースティンは我々にとって本当に悪いレースだった」
「我々は常に同じ(レベル)で戦っている。今回はライバルたちがミスをしてくれたおかげで、なんとかまとめ上げることができた」
プジョー勢は富士戦で、終盤のアタックに備えてタイヤを温存することに集中し、レース中盤はトップ10圏外を走行していた。
プジョーにとってさらなる追い風となったのは、残り2時間を切ったところでランボルギーニ63号車SC63 LMDhがストップしたこと。これによりセーフティカーが出動し、隊列が整理されたことで大きなアドバンテージを得て、上位勢との差を縮めることができた。
イェンセンが乗るプジョー93号車は残り1時間の時点で10番手を走行していたが、既に最後のピットストップを終えており、各車がピットに入ったことでポジションアップ。レース終盤にはノーマン・ナトーが乗るJOTAの12号車ポルシェ963 LMDhを抜き4位でチェッカーを受けた。また、僚機94号車は8位フィニッシュで今季初の入賞を果たした。
プジョー勢の好成績は、トヨタ7号車GR010ハイブリッドとポルシェ・ペンスキー5号車963の接触や、トヨタ8号車やアルピーヌ35号車A424 LMDhへのペナルティも一因となった。
ジャンソニーは、プジョーのドライバーたちがレース序盤に妥協を強いられるという状況は簡単ではなかったと振り返った。
「戦略に関しては満足している。レース中にはいくつかギャンブルをした」とジャンソニーは語った。
「(最後の)ピットストップで他よりもタイヤを温存できていたと分かっていたから、レース終盤には少しペースがあった。でも終盤のため、何人かのドライバーはレース序盤にタイヤ温存を要求された」
「最後はフレッシュなタイヤを履けると分かっていたから、ラップタイムが伸びなくてもコース上でプッシュし続けた」
「これはチームにとって大きな成果だ。最終スティントでのドライバーたちのパフォーマンスも素晴らしかった。全体として非常に満足している」