ハッブル宇宙望遠鏡の観測から、初期宇宙で予想されていたよりも多くの超大質量ブラックホールが発見されました。研究チームは、2009年、2012年、2023年にハッブル望遠鏡が赤外線で撮影した「ハッブルウルトラディープフィールド(HUDF)」と呼ばれる領域の画像を比べることで、超大質量ブラックホールを発見しました。

超大質量ブラックホールの中には、周囲の物質を常に飲み込み続けるのではなく、断続的に飲み込むことで明るさを増減させるものがあります。異なる時期に撮影したHUDFの画像を比較することで、明るさの変化を検出できたのです。それにより、予想より多くの超大質量ブラックホールが発見されました。

冒頭のHUDFの画像の白枠内は、明るさが増減したブラックホールの一例です。

観測結果はファーストスターが超大質量ブラックホールの種になった可能性を示唆

ビッグバンから10億年も経たないうちに、太陽の10億倍以上の質量をもつ超大質量ブラックホールが中心に存在する銀河がいくつも知られています。

初期宇宙で誕生した第1世代の星(ファーストスター)は、非常に大質量だった可能性があります。そのような大質量星から、質量の大きなブラックホールが誕生し、超大質量ブラックホールの種になったのかもしれません。

あるいは巨大なガス雲が直接、重力崩壊して巨大な種ブラックホールを作ったのかもしれません。いくつか説はありますが、はっきりしたことは分かっていません。

新たな観測結果は、第1世代の非常に大質量の星が崩壊して種ブラックホールが形成された可能性が高いことを示唆しているとのことです。

(参考)
第1世代の超大質量星の明確な痕跡を発見
ガス雲が重力崩壊してできた宇宙初期の「アウトサイズ・ブラックホール」を発見か

(参照)Hubblesite、ESA/Hubble