『殺人の追憶』から『グエムル』『パラサイト 半地下の家族』も!ポン・ジュノ監督の創作の軌跡をたどる特集放送が本日スタート

第92回アカデミー賞で非英語作品として史上初めて作品賞に輝くなど、世界中で大旋風を巻き起こした『パラサイト 半地下の家族』(19)をはじめ、ポン・ジュノ監督の傑作群を特集放送する「鬼才に喝采!アカデミー賞受賞監督 ポン・ジュノ特集」が、本日よりBS松竹東急の「よる8銀座シネマ」と「土曜ゴールデンシアター」でスタートする。

本特集で放送されるのは、ポン・ジュノ監督が手掛けた長編6作品。長編監督デビュー作となったシニカルコメディの傑作『ほえる犬は噛まない』(03)に、1980年代後半に韓国国内で発生した実在の連続殺人事件を題材にした『殺人の追憶』(04)、ソウルの街中に現れた正体不明の怪物と死闘を繰り広げる家族の姿を描いた『グエムル 漢江の怪物』(06)。

さらに、カンヌ国際映画祭を皮切りに世界各国の映画祭や映画賞で大絶賛を浴びたヒューマン・ミステリー『母なる証明』(09)に、同名グラフィックノベルをハリウッドで実写映画化したSFアクション『スノーピアサー』(13)、そして韓国映画の歴史を大きく塗り替える偉業を成し遂げた『パラサイト 半地下の家族』まで。

今回の放送にあたって、かねてよりお互いの作品をリスペクトし合うなどポン・ジュノ監督と交流の深い漫画家の浦沢直樹と、映画監督の西川美和からコメントも到着。是非ともこの機会に、ポン・ジュノ監督が世界を代表するトップクリエイターに上り詰めるまでの軌跡をたどってみてはいかがだろうか。詳しい放送スケジュールについては、BS松竹東急の公式ホームページなどでチェックしてほしい。

■<コメント>

●浦沢直樹(漫画家)

「にっちもさっちもいかない人間。一縷の望みを信じてあきらめない人間。ポン・ジュノ監督の作品は徹底して人間を描こうとしている。残酷なまでに」

●西川美和(映画監督、脚本家、小説家)

「ポン・ジュノ監督の作品を好きにならずにいるのは難しい。きもち悪いのに、楽しい。恐ろしいのに、おもしろい。常に、描かれるのは不遇な人々だ。貧困や暴力や格差、そしてそこに渦巻く執着や絶望。展開は残酷だし、血生臭い。にもかかわらず、ポン監督の映画は好もしい。それは奇跡のようなもので、なぜそのように描ける人と、描けない人がいるのか、私には解析できない。

混沌とした社会と人間の暗部を描くことから、ポン監督は逃れられないだろう。それは、重く、複雑な成り立ちの韓国という国に育ち、その変化を目の当たりにしてきた監督自身の宿痾のようなものでもある。しかしポンさんはきっと心に決めている。誰一人置いてけぼりにしない。絶対に映画の最後まで連れて行くんだと。その観客に対する厚い親愛。それこそが彼の天賦のものだし、憧れても、憧れてもまた遠ざかる眩い背中だ」

文/久保田 和馬