ここ数日、シンガポールGPを最後にRBのF1シートを喪失するのではないかと噂されるダニエル・リカルド。彼はそうした憶測を軽視しながらも、F1引退後に経験してみたいレースシリーズについて語った。
8度のF1グランプリウィナーであるリカルドは、2022年末に1度F1レギュラーシートを失ったものの、翌シーズン途中にアルファタウリからF1復帰。今季もRBへと装いを改めたチームで参戦している。
RBは既に角田裕毅と2025年へ向けた契約を締結しているが、リカルドはシーズン後半になってもシートが確定しておらず、レッドブル陣営のリザーブを務めるリアム・ローソンがRBからF1フル参戦をすることが確実視されている。
そしてリカルドは、角田に比べ速さと安定感に欠け、35歳という年齢からも、来季の開幕を待たずシンガポールGPを最後にRBのシートから降ろされ、ローソンに取って代わられるという可能性があるのだ。
とはいえF1での旅路が幕を下ろしたからといって、この世の終わりではない。新たな世界で第2の人生を謳歌することはできる。
リカルドはF1以外に興味を持っているレースシリーズとして、アメリカのNASCARを挙げた。
NASCARの伝説的なドライバーであるデイル・アーンハートSr.に憧れて育ったリカルドは、2021年イタリアGPでマクラーレンに勝利を届けた“ご褒美”として、同年のアメリカGPでマクラーレンCEOザク・ブラウンが所有するアーンハートSr.の1984年シボレー・モンテカルロをドライブしていた。
「僕はNASCARのファンとして育ったんだ」
リカルドは西オーストラリア州政府観光局のインタビューでそう語った。
「NASCARをドライブしてみたいし、例えばデイトナを走ってみたい。でもレースに出たいかと訊かれると、イエスでもありノーでもある」
「自分が育ってきた畑ではないし、多分打ち負かされるだろうね」
「それが必要か分からないけど、体験してみたいね」
ストックカーと並び、リカルドが大のバイク好きであることはソーシャルメディアを通じてよく知られている。
リカルドはMotoGPマシンにも挑戦してみたいと西オーストラリア州政府観光局に語り、次のように続けた。
「僕はバイクが大好きなんだ……でも、すごく遅くて、多分本当にひどいことになるだろうね」
またリカルドは、母国オーストラリアの世界的に有名なバサースト・サーキットで、V8スーパーカーのマシンにも乗ってみたいと語った。
「あそこでレースをするなら間違いなくV8だ。でも12時間耐久レースとかもあるから、もしかしたら出場できるかもしれない」
「もしV8チームが『バサーストを何周か走ってみないか? プレッシャーなく、ただ体験してみないか?』と言ってきたら、間違いなく挑戦するよ」
リカルドは2011年にF1へ昇格して以来、ロサンゼルスとモナコを拠点に世界中を飛び回ってきたが、引退後は自身の出身地であるオーストラリア・パースへ戻る可能性が高いとも明かした。
「いつか(西オーストラリア州の)マーガレット・リバーで隠居する日が来るかもしれない」とリカルドは言う。
「生活のスタイルが好きなんだ。新鮮な空気が流れていて、全てがゆっくりしている」
そしてリカルドはこう続けた。
「そこのみんなは、その土地と繋がっていると思う。あそこでの生き方は、まさに僕の引退後のビジョンなんだ」