阪神甲子園球場 (C)週刊実話Web

現役最年長監督で、今季が2年契約の最終年となる阪神・岡田彰布監督(66)について「今年で自ら勇退、後任は早大の後輩・鳥谷氏」という情報が密かに駆け巡っている。

現在2位の阪神は、首位巨人とゲーム差が「3.0」で、3位横浜DeNAとは「4.0」差(9月20日時点)。2年連続優勝はともかく、クライマックスシリーズ進出はほぼ確実の位置取りだ。

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昨季、15年ぶりに再登板した岡田監督は、18年ぶり6度目のリーグ優勝と38年ぶり2度目の日本一を達成。通常であれば、今年優勝を逃しても監督交代の話は出てこない。

しかし、就任時から「長くやるつもりはない。若い世代へバトンを渡すのが私の役目」と公言。最近も親しい人に「優勝すれば、最高の置き土産となるし、逃しても花道ができた」と“匂わせ発言”をしていた。

自民党総裁選の影響

球団も退任は織り込み済みなのか、監督交代に重心を移している。

親会社・阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長は、岡田監督の早大の先輩であり、後ろ盾。再登板時から両氏は「ポスト岡田は早大出身の鳥谷氏」のレールを描いている。

グループ内では阪急電鉄が断然強いが、球団には阪神電鉄出身の職員が多く、反岡田派を形成。「監督交代なら今岡真訪打撃コーチ、解説者の藤川球児氏も選択肢」との声もあった。

それが「鳥谷氏一択」になったのは、9月12日に告示された自民党総裁選の影響もあるという。

9月27日の投開票で小泉進次郎氏が勝てば、10月1日に召集予定の臨時国会で首班指名され、歴代で1番若い総理大臣となる。

この小泉氏と同年齢・同学年なのが鳥谷氏で、阪急阪神HD首脳の期待もそこにある。

小泉氏は1981年4月14日、鳥谷氏は同年6月26日生まれで、ともに43歳。顔もスタイルも「そっくりさん」で、鳥谷氏は“球界の進次郎”と呼ばれているのだ。

小泉氏が総理になり、鳥谷氏が阪神の監督に就けば、相乗効果でタイガース人気は一段と爆上げとなるだろう。

ネックはプロ野球のコーチ経験がないことだ。そもそも角会長と岡田監督は、第2次岡田政権発足時に鳥谷氏を入閣させ、2年後にバトンタッチ。岡田氏はGMに転身する青写真だった。

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“ケチ虎”から受けた仕打ち

しかし、阪神球団と鳥谷氏の間にあった“深い溝”が今なお残り、実現しなかった。

2003年ドラフトの自由獲得枠で早大から阪神入りした鳥谷氏は17年9月に2000本安打(通算2099安打)を達成。阪神生え抜きでは83年の藤田平氏以来2人目で、甲子園での達成は球団初だった。

そんな看板選手も、当時の阪神電鉄主導“ケチ虎”球団では、年俸4億円がネックに。19年8月には、フロント幹部に突然呼ばれ、「今季で引退してくれ」と肩をたたかれたのだ。

「首切りを承認した矢野燿大監督(当時)とは、今でも絶縁状態です。当時の球団首脳に対しても、憎しみしかない。コーチ要請を蹴った理由は、それがすべて」(虎番記者)

最後は喧嘩別れの形で阪神を去り、翌年3月に所属事務所が同じだった縁で、井口資仁氏が監督を務めるロッテと契約したが、年俸は一軍最低保証の1600万円と激減した。

現役引退後も古巣とは一線を画し、社会人野球のパナソニックでコーチを務めながら、野球解説やタレント活動を続けてきた鳥谷氏。

「時流の先読みに長けた渡邉恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆は昨秋、監督を65歳の原辰徳から44歳の阿部慎之助にスイッチして巨人を立て直した。そこで阪神も、66歳の岡田から43歳の鳥谷に監督交代させ、GMに転身する岡田の初仕事が“鳥谷政権の道筋作り”という構図を描いているのです」(スポーツ紙記者)

当の鳥谷氏は、これまで「阪神監督」についての質問に、一貫して「やりたくない」と否定的だった。

同氏は第1次政権の岡田監督、真弓明信監督、和田豊監督、金本知憲監督、矢野監督の下でプレーしたが、いずれの監督も最後は猛批判を浴びて退任。ハッピーエンドのためしがなかったからだ。

ここ2年は阪神の沖縄キャンプで臨時コーチを務めているが、これは阪急電鉄派の岡田監督に個人的に頼まれて断りきれなかったため。

しかし、今年に入ってタイガース全般との関係を修復しているという。