オランダのフェイエノールトは、9月22日に行なわれたエールディビジ第6節でNACブレダを2-0で下し、3戦ぶりの白星で今季2勝目を飾っている。
新シーズン開幕後、ここまで本拠地デ・カイップでまだ勝利がない名門クラブは、29分にエースのサンティアゴ・ヒメネスが負傷退場を余儀なくされるというアクシデントに見舞われたが、代わって緊急出場した上田綺世が5分後、ハイス・スマルが上げた左からのクロスを頭で合わせて今季初ゴール。リードを奪ったホームチームは攻勢を維持しながら、74分にPKを獲得し、これをクインテン・ティンバーが決めて勝点3を確実なものとした。
突然の出番から大きな仕事を果たした上田について、クラブはSNSで「絶好調」と賛辞を贈り、公式サイトでは「この日の試合ではひとつ残念な出来事があり、ヒメネスが負傷して担架でピッチを去ったが、代わりに出場した上田はピッチに登場して数分で結果を出した。日本人選手はスマルのアシストから見事なヘディングでゴールを決めた」と、先制点の場面を伝えている。
ゴール以外にも、複数の惜しいシュートを放ち、また頭で味方にチャンスを提供するなど、前線で多くの効果的なプレーを披露したストライカーについて、現地メディアも高評価を与えており、日刊紙『AD』は「途中出場の選手がスマルのクロスを完璧に頭で合わせた」と報じ、「上田はここ数か月間で『彼が出れば大丈夫』という安心感をもたらす選手ではなかったかもしれないが、チームにリードをもたらすのにわずか5分しかかからなかった」と綴った。
さらに、「このゴールは、約1年前に上田を900万ユーロ(約14億円)でロッテルダムに招いた関係者や、ストライカー自身にも安堵をもたらした。記録的な移籍金で獲得された彼には、これまでその価値を示す場面がほとんどなかったが、今回の正確なヘディングシュートは、『混雑したペナルティーエリアにおける頭でのゴール』が彼の得意技であることを改めて証明した」と続けている。
一方、『De Telegraaf』紙は「上田が見事なヘディングでゴールを決めた場面は、絶好のタイミングで訪れた。新戦力のフリアン・カランサを抑えて、ヒメネスの代わりにピッチに立った日本代表選手は、ファーサイドへの素晴らしいヘディングシュートを決めたことで、これ以上ない最高のスタートを切ったと言えよう」と称賛した。
また同メディアは、「上田はフェイエノールトではあまり目立たなくなっているという印象がしばしばあり、昨季のゴール数も期待に応えるものではなかったが、日本代表ではゴールを量産している。そして忘れてはいけないのは、昨季終盤、ヒメネスが怪我をした際、上田は最後の4試合中、3試合でゴールを決めているということだ」と、エース不在の中でこの日本人助っ人が存在感を発揮したことに言及している。
南オランダの地域公共放送「Rijnmond」は、「左サイドからの素晴らしい攻撃の後、スマルのクロスから、上田が相手GKに一切の隙を与えることなく、頭でゴールに流し込んだ」とゴールを伝えたが、他にプレーについても「見事な反転から相手選手をかわし、ゴールをかすめるシュートを放った」などと、賛辞まじりで紹介した。
しかし好反応ばかりではなく、オランダ・サッカーのレジェンドで、現在は辛口のコメンテーターとして知られているヴィレム・ファン・ハネヘムは、約1か月ぶりに勝利を飾った古巣を『AD』紙のコラムで「サッカーの要素が全て消えてしまった。NAC戦でも、まともな攻撃がほとんど見られなかった」と酷評。そして、上田については「ヒメネスが負傷して退場後、交代出場ですぐに得点を決めるまでは良かったが、それ以降、彼が停滞を乗り越えたという兆候は全く見られなかった」と指摘している。
構成●THE DIGEST編集部
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