イタリアで待望の初戴冠! パリ五輪で激戦を演じた伊代表司令塔が同僚・石川祐希の“救世主”的活躍を大絶賛!「彼は偉大な一流選手だ」

 日本代表の主将・石川祐希がイタリアリーグで待望のキャリア初冠!重要な大会で所属先ペルージャを3連覇へと導いた立役者としてMVPを受賞し、10シーズン目を迎えた主戦場でこれ以上ないスタートを切った。

【画像】パリ五輪に挑んだバレーボール男子日本代表メンバーを一挙紹介! 現地9月21日と22日、イタリアのフィレンツェで同国リーグ今季最初の公式大会『スーペルコッパ』が開催された。前シーズンのリーグとコッパイタリアそれぞれの優勝及び準優勝チームの4クラブに出場資格が与えられるが、昨季は両大会ともに石川の新天地シル スーサ ヴィム・ペルージャが優勝し、高橋藍(サントリー・サンバーズ)が主力として活躍したミント バレー・モンツァが準優勝。2チームが出場4枠を占めたため、繰り上げでレギュラーシーズン上位2チームのイタス・トレンティーノ(1位)とガス セールズ・ピアチェンツァ(3位 ※2位はペルージャ)が切符を手にした。

 初日の準決勝、ペルージャの相手はピアチェンツァ。セッターがパリで五輪連覇を達成したフランス代表アントワヌ・ブリザール、イタリア代表のオポジット(OP)ユーリ・ロマノや経験豊富なキューバ代表のミドルブロッカー(MB)ロベルトランディ・シモンが今季も主力を務める。ブラジル代表のOH2選手、リカルド・ルカレッリ・デソウサとイオアンディ・レアルらが退団するも、モンツァからカナダ代表のアウトサイドヒッター(OH)スティーブン・マーとイタリア代表MBジャンルーカ・ガラッシを獲得するなど、補強は万全だ。

 ベンチスタートとなった石川だったが、一進一退で迎えた第1セット後半に早くも声がかかる。攻撃で被ブロックとミスが続き2点リードを許したペルージャは、OHオレフ・プロトニツキ(ウクライナ代表)に替えて起用した石川の1打目で逆転に成功すると、そのまま逃げ切りセットを先取。石川は以降、試合終了までコートに立ち続け、セットカウント2-1で迎えた第4セットは、コンタクトレンズのトラブルか右目を気にしつつもレフト攻撃で序盤に劣勢から形勢を逆転する。

 悪球を捕らえて背後に迫る相手を振り切った直後には、アンジェロ・ロレンツェッティ監督が思わず頬へ称賛のキス。マッチポイントをブロックアウトで制した石川は、途中出場ながらチーム2位の12得点(アタック11、エース1)を記録した。敵将アンドレア・アナスターシ監督にとって、“イシカワ”はまさに悪夢をもたらす男。ペルージャ指揮官時代の2023-24コッパイタリアとプレーオフに続き、大舞台で3連敗を強いられることとなった。

 そして、決勝は昨季の欧州チャンピオンズリーグで頂点を極めたトレンティーノと対戦。セッターのリカルド・ズベルトリ、OHアレッサンドロ・ミキエレットとダニエレ・ラヴィアのイタリア代表トリオ、MBにスロベニア代表ヤン・コサメルニクとペルージャから移籍したブラジル代表フラビオ・グアルベルトを揃える。準決勝では、足首を負傷したOPカミル・リヒリツキ(イタリア)と代わったガビ・ガルシア フェルナンデス(米国)がアタック決定率75%を叩き出した。

 手ごわい相手との頂上決戦に石川は先発フル出場。ポーランド代表のOHカミル・セメニウクのサーブで7連続ブレイクに成功したペルージャは点差を大きく広げ、石川の2連続ブロックがだめ押しの追加点となりセットを先取した。ところが、第2セットはレセプション(A+B)成功率が急降下して失速。2、3セット目の被ブロック数は11本に上り、サーブの確率も低下するなど、安定した守備が光るトレンティーノにラリーでも圧倒されてセット連取を許してしまう。
  しかし、そこからペルージャを奮起させたのは石川だった。素早い反応のディグや崩れた味方のレセプションをカバーして粘り、続けざまに相手のアタックミスを誘発する。攻撃でも追加点に貢献した後、再び絶妙な守備でセメニウクのアタックを演出。自らのレフト弾でセットポイントを呼び込み大差で第5セットへ持ち込んだ。ペルージャは、その流れを手放さずさらにギアアップ。5点リードで迎えた終盤、司令塔の主将・シモーネ・ジャンネッリから勝利への最終局面を託された背番号14は、豪快なバックアタック2発で応えてペルージャを大会3連覇へけん引し、イタリアで念願の自身初タイトルを手中に収めた。
  新天地へ合流からわずか1か月の石川が、決勝でチーム最多の20得点(アタック17、エース1、ブロック2)を記録してMVPまでも受賞。イタリア代表でも主将を務めるジャンネッリは、試合直後に同国公営放送『Rai Sport』のインタビューで、石川に言及。「前日にOHオレフ(・プロツニスキー/ウクライナ代表)の故障が再発したこともあり、今日はあの布陣で戦い切らなければならなかった。断言できるのは、ユウキが偉大な一流選手だということ。これまで、日本代表やミラノ時代に幾度も対戦してきて、毎回、こっぴどく痛めつけられてきた。MBアグスティン(・ロセル)も同様だ。2人は最強の選手。チーム強化にとても有益な補強だ。それを実現してくれたクラブとロレンツェッティ監督の先見の明に感謝している。クラブがプレシーズン中のポーランドとイェージでの2大会へ参戦させてくれたことが大きかった。チームはプレッシャーの下、ハイレベルな戦いをこなす必要があったからだ。そこでの優勝を意識した戦いにより、チームは一歩前進できた」

 そして、トレンティーノが優勝へ王手をかけて迎えた第4セットに石川が見せたパフォーマンスを、「ユウキは第4セットの重要な場面で彼が持つ高いテクニックを発揮した。まさにチームを起死回生へいざなったのはユウキ。素晴らしいアタックを決めたかと思えば、すぐさまパリ五輪で僕らが見た驚きの守備。彼のパフォーマンスが僕らにエネルギーを注ぎ込み、チームは機能していったんだ」と振り返り、ペルージャを崖っぷちから優勝へ導いた“救世主”と絶賛した。

 プレシーズン大会と今大会の準決勝に続き、この日も決勝点を石川に任せたジャンネッリ。パリ五輪でネットを挟み激闘を演じたイタリアと日本の主将2人のタッグが巻き起こす化学反応が楽しみなシーズンとなりそうだ。

 まずは一冠。“ユウキ・イシカワ”は果たしていくつの優勝カップを掲げることになるのか?期待に胸を膨らませながら今季イタリアでの活躍を見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】石川祐希がMVPの活躍! ペルージャに今季初タイトルをもたらす
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