「基礎を学ぶべきだ」名手オリーがフィリピンで導入された“4ポイントシュート”に見解「自分のプレーには取り入れないだろう」<DUNKSHOOT>

 今年8月、フィリピンのプロバスケットボール「PBA」が、新シーズンから独自の試みとして4ポイントシュートを導入した。リングから27フィート(約8.2m)の距離に引かれたラインの外側から放ったショットが対象となる。

 現役時代に勝負所での3ポイントで幾度となく見せ場を作った元NBA選手のロバート・オリーは「基礎を学ぶべきだ」と、4ポイントシュート制度に手放しで賛同するつもりはないようだ。

 オリーはNBAで計16シーズンをプレーし、ヒューストン・ロケッツで2連覇(1994、95年)、ロサンゼルス・レイカーズで3連覇(2000~02年)、サンアントニオ・スパーズで優勝2回(05、07年)を経験。計7回のリーグタイトル獲得は1950~60年代にかけて8連覇を達成したボストン・セルティックスでプレーした選手たちを除くとNBA歴代最多だ。

 通算3ポイント成功数795本、3ポイント成功率34.1%は特筆すべき数字ではないものの、プレーオフやNBAファイナルの重要な場面で神がかり的なプレーを見せ、“ビッグショット・ロブ”の異名を取ったオリー。フィリピンのメガモールにあるNBAストアで行なわれた会見で、新たに導入された4点シュートについて見解を述べた。
 「これが今のバスケットボールのプレースタイルだからね。多くの子どもたちがロングシュートを打ちたがっている。でも、得点を取るということが大事。それは2ポイントでも、3ポイントでも、4ポイントでも構わない。効率良く得点をあげていくんだ。

 4ポイント(シュート)が加わると、子どもたちはゲームをしたくなくなる。ただシュートを打ちたいだけなんだ。正しい方法でプレーし、得点する。ディフェンスもして、ゲームを楽しむ。バスケットボールは多くの人を結び付けるスポーツだ。人のプレーを見たり、ほかの人がバスケットボールを理解するの見るのはとても楽しいことだからね」

 バスケットボール界では、FIBA(国際バスケットボール連盟)ルール下では3ポイントラインはリングから6.75m、NBAは7.24mの距離に設定されている。今回、PBAでは6.75mの3ポイントラインは残したまま、リングから8.2mの距離に4ポイントシュートのラインが新たに作られた。

 オリーは、自身の現役時代に4ポイントシュートがあったとしたら? との問いに「人は自分の限界を知らなければいけないものだから、おそらくは私は使わなかっただろう」と答えている。「カレッジの3ポイントレンジは簡単だった。NBAのレンジは私には少し難しかった。(4ポイントシュートを)練習すれば、おそらくできたと思う。でも、自分のプレーには取り入れないだろう。それは私ではないからね。自分がどういう人間かを理解し、チームを助けられるようにならないといけない。それが優勝するための最大の鍵だ」

 オリーは、「(FIBAの)国際ゲームはNBAよりも進んでいる」と認めたうえで、基礎の重要性について主張している。
 「私が言いたいのは、基礎の部分だ。国際ゲームで戦う時は基礎を学ばないといけない。そのことが、いいプレーをするための土台だからね。アメリカ人は、才能があると言われるが、本当に正しい方法でゲームを教わっていない。NBAのトップ10の選手を挙げてみてほしい。そのうち6、7人は外国籍選手だ。それが今のベースなんだ」

 オリーは、「子どもたちを早くNBAに引き上げようとするのは止めて、ゲームを教え、ゲームを理解することで、彼らは健全に基礎を習得することができる。子どもたちには、今を楽しめと言っている。できるだけハードにプレーし、次のレベルに進むことでストレスを溜めないことだ」と、アメリカの育成に関しても持論を展開していた。

構成●ダンクシュート編集部

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