得点率はリーグ平均の半分…深刻な状況のソシエダで唯一の決勝点を挙げた久保建英に現地メディアは「彼のゴールだけが勝点3をもたらした」

 レアル・ソシエダは今季ここまで、ラ・リーガの7試合で1勝2分け4敗、総得点わずか3で直近の4試合は無得点、そして総失点は7という低調ぶりだ。欧州カップ戦による日程の前倒しで他チームより1試合多く消化しているにもかかわらず、降格圏(18位)とわずか勝点1差の16位に沈んでいる。

 オフにロビン・ル・ノルマン(→アトレティコ・マドリー)、ミケル・メリーノ(→アーセナル)といった攻守の主力を放出した影響もあって、ラ・リーガで6位、チャンピオンズリーグで16強という結果を残した昨季のチームからは、現時点で明らかに力が落ちているように見え、いかにこれを立て直すか、イマノル・アルグアシル監督の手腕が試されている状況だ。

 地元バスクの日刊紙『noticias de Gipuzkoa』は、とりわけ顕著な得点力不足に注目し、「問題は以前からあったが、今季のスタートとともに、それはいっそう深刻化した。ソシエダは得点力に大きな問題を抱えており、それは劇的に悪化している。今季、彼らよりも少ない得点を記録しているのはバジャドリー(2得点)だけである」と綴り、以下のように指摘した。
 「悪い結果の連鎖は顕著で、降格したシーズン以来、これほど悪いスタートを切ったことはない。イマノル(アルグアシル監督)の下での大きな危機はこれが初めてというわけではないが、シーズンの序盤で追い込まれることは初めてであり、順位の観点からも、状況はさらに悪化する可能性がある」

 さらに、「合計415分間で無得点という悲惨な記録を樹立してしまった今季のラ・レアルは、7試合でわずか3ゴールというのも1991-92シーズンに生まれた歴代最悪の記録に並んでいる」と紹介。また、4戦連続無得点は「今世紀に入って4回目」とのことで、これらの低迷時には最終的に巻き返しを果たしたケースも多いが、「今回の不振はあまり良い前兆ではない」と、悲観的な見方を示している。

 バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、より詳しい数字を用い「バジャドリーに次いでゴールの少ないソシエダは、4人のFWがまだ無得点のままであり、シュートがゴールに結びつく確率は、リーグ全体の平均が32%であるのに対し、わずか16%。ちなみに昨季は33%だった。また、彼らがゴールを決めるには、昨季の4倍となる864回ものパスが必要となっている」と指摘する。 一方、英国のスポーツ専門サイト『Sports Mole』は、9月25日に行なわれるヨーロッパリーグのリーグフェーズ第1節ニース戦の展望記事で、「ラ・リーガの過去5試合で1勝も挙げられないなど、シーズン序盤から苦戦しており、アリアンツ・リヴィエラでの試合は厳しいものになりそうだ」として、リーグアン第5節でサンテティエンヌを8-0で大破したばかりのニースに「0-1」で敗れると予想した。

 このように厳しい現状にあって見通しも暗いソシエダだが、『noticias de Gipuzkoa』紙は「マルティン・スビメンディとブライス・メンデスのゴールはどちらも無駄に終わり、久保建英がエスパニョール戦で決めた見事な一撃だけが、結果として重要なものとなった。彼のゴール後のパフォーマンスは議論を呼んだかもしれないが、現実問題として、ラ・レアルが最も目立ち、収穫を得た瞬間だった。なぜなら、このゴールが彼らに勝点3をもたらしたからだ」と、日本人ウインガーの貢献ぶりに言及している。

 チームの唯一の勝利を自らの左足でもたらした久保。そのゴールは称賛され、その他の幾つかの試合では現地メディアからポジティブに評されたものの、スポーツ専門サイト『GOL』からは「ミケル・オジャルサバル、ベナト・トゥリエンテス、アンデル・バレネチェア、そして久保のパフォーマンスのレベルが通常を下回った」と、ここまでの全体的な出来については厳しい評価を下された。
  同メディアは、エスパニョール戦での久保の得点後の態度から、「指揮官との関係が最良ではない」として、「これがチームにとって悪い結果につながる危険性がある」と警告したが、当の久保本人はチームの立て直しに集中しており、バジャドリー戦後には「僕はこのチームが必ず上昇していくと確信しているし、チームを引っ張っていこうと思っています。僕が重要な存在かどうかは分かりませんが、誰よりも気持ちを込めてプレーする選手のひとりであり続けることは間違いないでしょう」と力強く語っている。

『GOL』も、「主力選手たちが序盤の躓きを乗り越えることができれば、ソシエダは欧州の舞台でトロフィーを掲げられる有力な候補のひとつとなる可能性がある」と、そのポテンシャルには太鼓判を押しているが、久保がその牽引役となり、過去2シーズンに続いてさらにソシエダでポジティブなシーズンを送り、自身の価値を高められるかに要注目である。

構成●THE DIGEST編集部

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