現地時間9月26日(日本時間27日)、元NBA選手のジャマール・クロフォードが、米メディア『The Players’ Tribune』のポッドキャスト番組『Knuckleheads Podcast』へゲスト出演した。
クロフォードは20年間(2000~20)のキャリアでシカゴ・ブルズやニューヨーク・ニックス、アトランタ・ホークスなど計9チームでプレー。そのうちロサンゼルス・クリッパーズで最長の5シーズン(2012~17)を過ごした。
クリッパーズ時代には2度最優秀シックスマン賞(通算3度)に輝いたクロフォードは、自由自在のボールハンドリングとシュート力を武器に、レギュラーシーズン計370試合(うち先発は34試合)の出場で平均15.3点、1.8リバウンド、2.6アシストをあげた。
当時のクリッパーズにはクリス・ポール(現サンアントニオ・スパーズ)、ブレイク・グリフィンとリーグ屈指の実力者がおり、脇役にもディアンドレ・ジョーダン(現デンバー・ナゲッツ)やJJ・レディック(現ロサンゼルス・レイカーズ指揮官)、そしてクロフォードらが在籍し、優勝候補の一角と目されていた。
特に2013年にドック・リバースがHC(ヘッドコーチ/現ミルウォーキー・バックスHC)に就任すると、1年目に球団史上ベストの57勝25敗(勝率69.5%)、翌2014-15シーズンも同2位タイの56勝26敗(勝率68.3%)を記録。
ポールやクロフォードがロブパスを上げ、グリフィンとジョーダンが破壊力満点のアリウープダンクで締めくくることで“ロブシティ”の異名がつき、人気チームへと飛躍していった。
クロフォードは当時をこう振り返る。
「僕らはチャンピオンシップを勝ち獲ることができなかったベストチームのひとつだったと思う。タレントは十分揃っていたからね。確かあの時、僕らは5年間のスパンで(ゴールデンステイト)ウォリアーズかスパーズに次ぐ2番目の勝ち星をあげたチームだった。
だから、僕らはいずれチャンピオンシップを勝ち獲ると思っていたものさ。すべてが揃っていた。ロスターを見ればわかるはずさ。それに2008年に(ボストン・セルティックスで)優勝したドックもいたしね」
チームはポールが入団した2011-12シーズンから2016-17シーズンまで6年連続で勝率6割以上をマークし、プレーオフに進出。しかし、“ロブシティ”クリッパーズが優勝を飾ることはなく、カンファレンス・ファイナルにさえ到達できなかった。
その後2017年夏にポールとクロフォード、翌2018年1月にグリフィンがトレードで移籍したことで、クリッパーズの球団初優勝の夢は幻に終わった。
クロフォードは「あの時は『おいおい、どうして僕らがこの壁を乗り越えられないと思うんだ?』って感じだった。当時を振り返ってみると、その点(負けたこと)については悔しい」と吐露したが、後悔はまったくないという。
「でも僕はあの時間を他の何かとトレードしたりはしない。どこに行っても、会う人みんながいつも揃ってロブシティ・クリッパーズの僕だと認識してくれる。本当さ。僕は自分のすべてを(クリッパーズで)残してきたんだ」
“ロブシティ”のメンバーのうち、ジョーダンは2023年にナゲッツで優勝したものの、クロフォードとグリフィンは優勝できずにキャリアを終えた。
それでもクロフォードは、“ロブシティ”時代のクリッパーズで過ごした時間がキャリアで最もスペシャルで印象に残っているようだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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