国内最高峰の男子テニスツアー「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2024」(9月25日~10月1日/東京・有明/ハードコート/ATP500)は、29日にシングルス準々決勝を実施。ケガからの完全復活を目指す錦織圭(世界ランク200位)は、第6シードのホルガー・ルネ(デンマーク/14位)と対戦。6-3、2-6、5-7で敗退し、ベスト4進出とはならなかった。
今大会にワイルドカード(主催者推薦)で出場の錦織は、初戦で前週大会優勝のマリン・チリッチ(クロアチア/212位)に勝利。2回戦はジョーダン・トンプソン(オーストラリア/29位)に快勝し、「ムチャクチャ調子良かった」と好感触を得ていた。
そして準々決勝の対戦相手は初出場のルネ。21歳にして自己最高4位(2023年8月)をマークしており、ツアー通算4勝を果たしている。フォア、バックともにパワフルなショットが武器で、昨今主流になりつつあるパワー系テニスの体現者の一人だ。錦織は2回戦勝利後に「しぶとい選手ですし、正直トップ5にいてもおかしくないと常に思っている」と警戒を示す。
両者初の顔合わせとなったこの日、立ち上がりから錦織は、随所でバックのダウンザライン、ドロップショットなど多彩なショットを見せ、試合の主導権を握る。第2ゲームでブレークに成功すると、会場のファンの声援を味方につけながら躍動感あふれるプレーで第1セットを先取する。
しかし、「このまま終わるわけないだろうな」と試合後に錦織が振り返っている通り、第2セットは、徐々にギアを上げてきたルネの強力なサービスとパワフルなストロークに押し込まれ、第6、8ゲームでサービスダウン。1セットオールに持ち込まれる。
勝負のファイナルセットは、錦織が第7ゲームでブレークに成功。ロングラリーが増えていく中でもアングルショット、ロブなどでポイントを奪取していく。第9ゲームではマッチポイントをつかむが、ここをサービスポイントで凌がれると、息を吹き返したルネが第10ゲームでブレークバック。サービングフォーザマッチを取り切れなかった錦織は、そこから流れを取り戻せず、ルネの4ゲーム連取で2時間16分の熱戦に終止符が打たれた。
「簡単なミスが最後出ましたし、ちょっと足が動いてくれなかったので、まだまだ体力不足。バネのなさが最後出たかなと思います」と振り返った錦織。「彼(ルネ)もレベルを上げてきて、要所で良いプレーをしていたので、彼が良かったというのも正直あります」と勝者を称えた。
ただ、「ここ最近の中ではベストな週を過ごせました」と大会を総括。「3試合ともタフな相手に対して、良い試合ができたのは良かったと思います。安定したプレーができていたし、レベルを上げることもできました」と確かな手応えを得たようだ。
次戦は来週開幕のATP1000大会「ロレックス 上海 マスターズ」(10月2日~13日/中国・上海/ハード)に挑む錦織。有明でつかんだ良い感覚をそのままにシーズン終盤戦の活躍にも期待したい。
取材・文●前道右京(スマッシュ編集部)
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