首位打者を巡るヒリヒリしたデッドヒートは、シーズン最終戦にまでもつれ込んだ。
現地9月29日、ロサンゼルス・ドジャースは敵地でコロラド・ロッキーズと対戦し、2対1で勝利した。1番・DH(指名打者)で先発した大谷は4打数1安打で最終戦を終え、打率は.310にとどまり、この日3打数1安打をマークしたルイス・アラエス(サンディエゴ・パドレス)の.314に及ばず。本塁打、打点との三冠王を逃がした。
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前日の試合を休養のため欠場していたアラエス。だがシーズン安打「200」まであと1に迫っていた27歳は、最終戦となったアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に1番・一塁でスタメン出場を果たす。最初の2打席こそ凡退したものの、第3打席で鮮やかな二塁打を放つと、そこで代走が出されてダグアウトに退いた。打率3位のマルセル・オズナ(アトランタ・ブレーブス)が2試合を残しているものの、数字は.304と差は歴然。アラエスが事実上、3年連続となる首位打者を確定させた。
しかしながら、名手は異次元のプレッシャーに苛まれていたようだ。米全国紙『USA TODAY』は試合後のアライズのコメントを紹介。「今回はキツかったよ。眠れなかった。昨夜は眠れなかったんだ。僕だって人間さ。本当は考えたくないんだけど、たくさん考えてしまうんだ」と悩める胸中を明かした。
ダイヤモンドバックス戦の第1打席では、珍しく空振り三振を喫した。今季ここまで521打席で三振は17回しか記録しておらず、序盤戦では141打席連続三振なしという20年間で最長となる記録も打ち立てていた。アラエスは「あんなのは起こるはずがないんだ」と首を傾げ、異常な重圧に晒されていたという。
そして、最後までタイトルを争った大谷へのリスペクトも忘れない。「自分の数字(打率)を守るために欠場しようなんて考えなかったよ。だってオオタニはなんでも可能にしてしまう選手だからね」と話す。そのうえで「彼は違いを生み出すんだ。ただ、彼だって完璧じゃない。やっぱり人間なんだよ」と続け、「タイトルを獲れて神に感謝している。二塁打を打てたとき、ようやく首位打者はまだ僕のものだと確信できたんだ」と力を込めた。
『USA TODAY』紙は「アラエスが三冠王を阻止したのは今回が2度目だ」と説明。「2022年、アメリカン・リーグ新記録となる62本塁打と、131打点を叩き出したアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)のトリプルクラウンを台無しにしたのである。そのときの打率はジャッジより4厘高い.315だった」と紹介している。
構成●THE DIGEST編集部
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