Blackmagic Design導入事例:劇場映画「レーガン」の場合

Blackmagic Designによると、劇場映画「レーガン」の撮影にBlackmagic Designのカメラが使用され、同作の編集、コンフォーム、カラーグレーディングには、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioが使用されたという。

ショーン・マクナマラ氏が監督を務め、ASCのクリスチャン・シーボルト氏を撮影監督に迎えた同作は、デニス・クエイド演じるロナルド・レーガンが、華やかなハリウッドから政治の世界に足を踏み入れ、様々な不利な状況を克服してアメリカ合衆国第40代大統領となり、国際舞台に立つ姿を追っている。80年にわたる物語を伝える同作は400シーンから構成されており、極めて複雑だったが、シーボルト氏にとっては歓迎すべき挑戦だったという。

シーボルト氏:非常に野心的で難しいプロジェクトでした。

準備に多数のショットを撮影し、様々なレンズやスタイルでテストを行いました。カラリストであるPicture Shopのポール・ウェスターベックと共に、2つの異なるレンズパッケージ、異なる種類のネットを装着したレンズ、異なるISO設定を用いた約7つのルック(CDL)を構築しました。


同氏は様々なカメラパッケージを使用したが、URSA Mini Pro 12KおよびPocket Cinema Camera 6K Proを含む、いくつかのBlackmagic Design製のカメラを頻繁に使用したという。

シーボルト氏:12Kを多く使用しました。特に、クレーン用カメラとして活躍しました。

様々な場所で撮影したので、テクノクレーンを常に使用できる訳ではありませんでした。そこで、特機のブランドン・ジョーンズがレールにいつでも取り付けられるジブアームを用意してくれ、Bカメラを担当したアンドリュー・P・C・スミスはRonin 2ジンバルを使用しました。URSA 12KをRoninにマウントして、ずっとその状態で使用しました。シーンのプロダクションバリューは高めるためにクレーンを使用する場合は、すでに12Kが設置され、準備が整った状態になっていました。

Pocket Cinema Camera 6K Proは小型ながら、高品質のイメージが得られるため、同氏は同カメラを様々な方法で使用した。

シーボルト氏:適切なレンズを使用することで、この小型で軽量のカメラでは、いつでもわずか数分で面白いアングルを追加できました。これらのカメラは、多くの場合、大統領執務室などの天井に下向きでマウントされ、超広角のプライムレンズを取り付けて撮影しました。

長い会話シーンで、編集用に様々な角度からのショットを撮影する必要がある場合に、追加のアングルを得るためにも使用しました。

同氏はBlackmagic RAWの信頼性の高さを評価し、同作の撮影を通して使用したという。

シーボルト氏:Blackmagic RAWは、極めて優れた品質のコーデックです。常に固定クオリティ Q0を使用しています。その理由は、極めて広いラティチュードが得られたため、後日カラーコレクションの段階で簡単に映像を調整できるからです。

Blackmagic Designのカラーサイエンスでは、自然なスキントーンが得られ、あらゆるシーンにおいて複雑なコントラストやディテールを再現できます。

最終的なカラーグレーディングはウェスターベック氏が手掛け、2人のクリエイティブが絶えず協力を続けて成し遂げられた。同氏は、同作をDaVinci Resolve Studioでグレーディングするチャレンジを楽しんだという。

シーボルト氏:本作は長期間にわたるレーガンの生涯をカバーしているので、全カメラのフッテージのマッチに加え、数百に及ぶアーカイブクリップをマッチさせるという、本作ならではの課題がありました。

このように多様なソースで一貫したルックを得ることは、映画の物語を伝える上で極めて重要でした。


DaVinci Resolveのツールを用いることで、オリジナルのフッテージとアーカイブクリップのマッチング作業が楽になったという。

シーボルト氏:DaVinci Resolve Studio 19に新たに搭載されたフィルムルック・クリエイターは、過去の映像を現在の素材にマッチさせる上で欠かせませんでした。新しいAIによるノイズ除去はスピーディであるだけでなく、非常に効果的です。また、フェイス修正ツールでは、最終的なルックを大きく改善できました。

コンフォームエディターのデイビッド・シュナイダー氏、ウェスターベック氏、アシスタントカラリストのラリー・ヤンガー氏を含む、ポストプロダクションのスタッフは、DaVinci Resolve Studioのコラボレーション機能を使用して、ワークフローを簡素化した。

ウェスターベック氏:本作で初めてコラボレーション機能を使用したのですが、ワークフローが大幅に改善されました。

私がカラーグレーディングに集中する間、デイビッドがバックグラウンドで新しいショットを追加したり、カットに変更を適用したり、字幕やクレジットを追加できました。また、アシスタントカラリストが3台目のシステムで作業を行い、タイムラインにある既存のショットに基づいて、私のために新しいショットのカラーを更新してくれました。

以前は、エディターが別のシステムでアップデートの作業を行い、それが終わったら、アシスタントがプロジェクトに新しいショットを統合する間、作業を一時停止する必要がありました。また、編集とカラーグレーディング用に、2つの異なるストレージシステムで、メディアを管理しなければなりませんでした。DaVinci Resolveのコラボレーション機能では、こういった中断を効果的に排除でき、メディア管理が簡素化したため、より効率的に作業できます。

「レーガン」の公式予告編は、こちら