「ドジャースはポストシーズン(PS)に弱い」――そんなイメージを持っている人が多い。確かに、過去2年は地区シリーズで敗退しているのは事実だが、他のチームと比べても大舞台で弱いと本当に言えるのか。過去のデータを振り返ると、意外な「事実」が浮かび上がってくる。
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2014~23年の10年間で6度以上ポストシーズンに出場しているのはドジャース、アストロズ、ブレーブス、ヤンキース、カーディナルスの5チーム。この5チームの戦績を振り返ると以下のようになる。
※LCS=リーグ優勝決定シリーズ DS=地区シリーズ WC=ワイルドカード・シリーズ/ワイルドカード・ゲーム
▼ドジャース(PS出場10回)
世界一:1回 ワールドシリーズ出場:3回 LCS敗退:2回 DS敗退:5回 WC敗退:0回
▼アストロズ(PS出場8回)
世界一:2回 ワールドシリーズ出場:4回 LCS敗退:3回 DS敗退:1回 WC敗退:0回
▼ヤンキース(PS出場7回)
世界一:0回 ワールドシリーズ出場:0回 LCS敗退:3回 DS敗退:2回 WC敗退:2回
▼ブレーブス(PS出場6回)
世界一:1回 ワールドシリーズ出場:1回 LCS敗退:1回 DS敗退:4回 WC敗退:0回
▼カーディナルス(PS出場6回)
世界一:0回 ワールドシリーズ出場:0回 LCS敗退:2回 DS敗退:1回 WC敗退:3回 やはり際立つのはアストロズで、出場8回のうち実にLCS進出が7回。リーグ優勝4回、世界一2回。それと比べると物足りないとはいえ、実はドジャースのリーグ優勝3回も悪くない。ヤンキースは7回出場してリーグ優勝0回、ブレーブスも21年は世界一になったものの地区シリーズ敗退も6回ある。カーディナルスに至っては通算9勝19敗と大きく負け越している。こうして見ていくと、ドジャースが「プレーオフに弱い」とは決して言えないのではないかという気がしてくる。
また別の角度から考えてみよう。
過去10年間で、リーグ最高勝率チームが順当にワールドシリーズまで駒を進めたのはア・リーグが5回、ナ・リーグは3回。両リーグの最高勝率チームがワールドシリーズで激突したのは、コロナ禍で短縮シーズンとなった20年(ドジャースとレイズ)だけだった。ちなみに過去3年に限れば、リーグ最高勝率チームは6分の5という確率で初戦(地区シリーズ)敗退を喫している。
一方で、ワイルドカード同士がワールドシリーズで激突した例は2回ある(14年のジャイアンツ対ロイヤルズ、昨年のレンジャーズ対ダイヤモンドバックス)。
ここまで来れば明らかだろう。MLBのポストシーズンにおいては、いい意味でも悪い意味でもレギュラーシーズンの成功は何も約束しない。リーグ最高勝率を残したから有利というわけでも、ワイルドカードだから不利というわけでもない。10月の舞台にたどり着いた12チームに等しくワールドチャンピオンのチャンスが与えられる。
勝負を分けるのは、身もふたもない言い方をしてしまえば「その時に調子がいいかどうか」。ある意味で理不尽で残酷とも言える戦いに、大谷翔平は挑むことになるのだ。
構成●SLUGGER編集部
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