自主映画の「侍タイムスリッパー」が話題になっている。8月に公開された当初は東京・池袋の1館のみの上映。しかし、作品の面白さがSNSや口コミで広がり、上映館が全国140館近くにまで拡大。現在は全国のシネコンでも鑑賞できる。低予算の自主映画の快進撃は、2018年の「カメラを止めるな!」と共通しており、「第2のカメ止め」とも呼ばれている。
ストーリーは、幕末に生きる侍が戦いの途中で雷に打たれてタイムスリップ。降り立った先が現代の時代劇の撮影所で、そこから侍が切られ役として活躍していくというもの。
「京都出身の安田淳一監督がユニークな人物で、映画監督と米農家を兼業している異例の二刀流。コロナ禍で資金が集まらず、監督は愛車を売却し貯金も使い果たし、残高は7000円に。しかし『脚本がオモロイから何とかしてやりたい』と東映京都撮影所が協力してくれたといいます」(芸能ライター)
製作スタッフは10人足らずで、安田監督自身が脚本、撮影、照明、タイトルデザイン、編集など1人11役をこなし、なんとか映画は完成。現在の人気に至っている。
「今回のヒットで安田監督には仕事のオファーが増えると思われますが、主役を務めた山口馬木也の評判がすこぶる良く、SNS上で拡散した一躍を担っています。NHK大河ドラマにもたびたび出演している実力派のベテラン俳優ですが、この作品が長編映画初主演。ここからさらに知名度を上げていくのでは」(前出・芸能ライター)
ともかく勢いのある「侍タイムスリッパー」。まだまだ上映館が増えそうだ。
(鈴木十朗)