東京都の小池百合子知事が言及した!「第1子の保育料の無償化」

 【家電コンサルのお得な話・213】9月25日、東京都の小池百合子知事は「少子化対策は一刻の猶予もなく、取り組みを加速することが必要だ」と述べ、第1子の保育料無償化を早期に実現する意向を示した。小池都知事が先の都知事選に出馬した際の「東京大改革3.0」の公約の一つにも掲げている。

●保育士の待遇改善や柔軟な再配置などもセットに



 東京都はこれまでも多子世帯の保育料の軽減に力を入れており、既に第2子の保育料の無償化を2023年度から実施し、一定の効果を上げている。この流れを受けて、第1子への無償化の拡大は自然な延長線上といえるし、子育ての金銭的な負担が削減されるのは望ましいことである。

 ただ、保育の無償化は単なる経済的支援にとどまらず、子どもの育成環境全体の質の向上をセットで考えなければならない。

 都内の保育所等利用待機児童数は361人(24年4月1日現在)おり、対象者全員が等しくこのサービスを受けられることが求められる。待機児童数は、地域や年度ごとに保育の需要が急激に増減するため非常に難しい問題である。

 柔軟な定員設定や保育士の確保と流動化など、都は区市町村とさらに柔軟な定員調整や保育士の再配置など、具体的な施策を打ち出すことが求められる。

 つまり、東京都が第1子の無償化を実現するには、合わせて保育士の待遇改善や労働環境の整備も含めて、保育士を地域間でスムーズに配置できる仕組みづくりや施設の整備といった関連施策を強化しなければならない。

(広告の後にも続きます)

●周辺自治体との財政格差や子育て支援格差が懸念



 また、東京都の独自施策は、他の自治体への影響も大きい。周辺県からは、東京都の手厚い支援策によって自治体間での財政格差が生じているという指摘も上がっている。

 特に、東京都の財政力に対して財政力の弱い周辺自治体では、無償化だけでなく、保育士の確保や施設整備が進まず、結果として地域間での子育て支援に格差が生まれる可能性がある。これを是正するには、国全体での調整や、より広域的な視点での施策が求められるだろう。

 東京都の支援策は25年度中にも実施される見通しである。子育てに関する重要施策であるため、今後もこの問題の行方を注視し、政策の進展を見届けながら、また本コラムで取り上げていく予定である。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。