いよいよ10月24日にプロ野球ドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。Aクラス入りは果たしたものの佐々木朗希のメジャー移籍が噂されるロッテはどのような戦略で臨むべきだろうか。
【基本方針】
バランス型
【補強ポイント】
●チームの核となる遊撃手
●5年後のローテーション入りを狙える高校生投手
●安定した成績を残せる好打者タイプ
【理想の指名】
1位:宗山塁(遊撃手/明治大)
3位:狩生聖真(投手/佐伯鶴城高)
4位:櫻井亨佑(外野手/中央大)
吉井理人監督就任2年目となった今季のロッテ。シーズンを3位で終え2年連続Aクラス入りとなったが、上位のソフトバンク、日本ハムに対して計20もの借金を背負うなど力不足感は否めず、来季に向けて改善が必須の状況だ。ドラフトでは現状の課題にアプローチしつつ、将来に向けた投資も進める「バランス型」の指名を基本方針とするのが理想だろう。
シーズンを戦う中で顕著になったのが、野手陣の層の薄さ。世代交代促進のために中村奨吾を三塁、藤岡裕大を二塁にコンバートするも、中村は打撃成績が上向かず、藤岡も故障に苦しんだ。二遊間では友杉篤輝、小川龍成らが出番を増やしたが打撃の非力さは否めず、元々三塁を担っていた安田尚憲に至ってはシーズン0本塁打と持ち前の長打力をまったく発揮できなかった。
昨年のドラフトでは1位で上田希由翔を指名したが、さらなるテコ入れのために今季も野手の1位指名を推薦したい。その筆頭はやはり宗山塁(明治大)だろう。コンタクト能力の高い打撃と流れるような遊撃守備を持ち合わせ「獲得できれば10年ショートに困らない」とも評される。昨年指名した上田とともにチーム内の競争水準を高め、やがては球団の、そして球界の顔を担う選手となってほしい。
ソト、ポランコの両外国人への依存が強い打線の状況を鑑みると、宗山のみならず他にも打撃が武器の選手を獲得したい。そこで推薦したいのが、昨秋の東都リーグ1部で打率.351を記録して首位打者を獲得した櫻井亨佑(中央大)だ。地元千葉出身で小学生時代にはマリーンズジュニアにも選ばれるなど球団とも縁がある選手で、高校の先輩である福浦和也(現ヘッドコーチ)のような好打者の風格が漂う。
投手に目を向けると、小島和哉、種市篤暉の2人が規定投球回に到達し、救援陣でも鈴木昭汰や横山陸人が台頭した。FA権を保有する西野勇士やMLBを志す佐々木朗希の動向など懸念材料はあるが、一方では高卒2年目の田中晴也が最速155キロを計測してプロ初勝利を記録するなど、順調に世代交代が進んでいるともとれる。
昨年は支配下で2人の高校生投手を指名したが、今年も高校生投手の有力候補は多く、その中から近い将来の台頭が見込まれる投手を獲得したい。甲子園経験こそないが、世代トップ級のポテンシャルを秘める狩生聖真(佐伯鶴城高)はその条件に合致する。186cm・72kgと長身細身ながら、現時点での最速は150キロ。フォームに無駄がなく、順調に身体作りが進めばさらなる球威・球速の向上も見込める好素材だ。
文●やまけん
【著者プロフィール】
1999年生まれ、千葉県出身。「一人でも多くのアマチュア野球選手がスポットライトを浴びてほしい」という思いから、関東を中心に全国のアマチュア野球の試合を年間約150試合を球場で観戦するアマチュア野球観戦者。X(旧)Twitter→@yam_ak_en
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