アキ「いまはすごくいい関係」
――アキさんとケンさんが大阪と東京に分かれて活動するようになって、もう10年が経ちます。
ケン 早いです。あっという間です。芸能生活で、この10年がいちばん早かったんちゃうかな。年齢とかもあると思うけど。早かったよな?
アキ 早い、早い。
――その間も、ケンさんの「吉本坂46」メンバー入りがかかった人気投票の際には、アキさんがSNSで愛がこもった応援メッセージを出すなど、関係はずっと良好に見えます。
ケン あのときは、アキが助けてくれなかったら、僕はもう(吉本坂46のメンバーに)入っていなかったですから。「(アキに)ちょっと頼むわ」って言ったら、「いぃよぉ~」って言って、めちゃくちゃ長文で書いてくれたんですよ。
そうしたら「アキさんが言うてるんやったら、こりゃ投票せなあかんわ」って、たくさんの人が投票してくれて、一気にガーっと(順位が)上がったんです。
――この10年はそれぞれの場所で活動してきて、いま2人にとって“水玉れっぷう隊”とはどういう存在ですか?
アキ 不思議な感じですね。ありがたいです。ケンはギリギリの状態ではあるかもしれませんが、楽しくやっている感じですし、僕も僕で(新喜劇で)結果が出て、これからまだまだやることがいっぱいある。なんか不思議な感じなんです。もう55(歳)なんでね。60(歳)前までには、もっと笑い合えていたらええなと思いますね。
出典: FANY マガジン
ケン 結局、(これからの水玉れっぷう隊は)僕の頑張りしかないんですよ。僕がグッと上がっていかな、売れなあかんのです。でも、なかなか売れないんですよ……。いまの状態は“なかなか”なんです。ただ、この“なかなか”な感じを、どこかで楽しんでいるところもあるんです。
アキ (笑)
ケン この世界で仕事をしていて、僕のいまの仕事量や稼ぎだったら、(ふつうは)めちゃくちゃ落ち込むんですよ。でも、そう落ち込んでいたらやってられへんので、そこをグッと(気持ちを)上げて楽しいことを見つけるんです。だから、今日もこうしてお話ししているじゃないですか。それもめっちゃ楽しいんですよ。家におったら、1人で寂しいですから。
アキ 家に1人で寂しいって、80(歳)以上のジジイが言うことや。
ケン いや、ほんまその域に入ってきてるよ。どうする?
アキ いや、「どうする?」やないよ!
――「水玉れっぷう隊」としての活動は今後どうなりますか?
アキ コンビとしてグッとやるということはもうないですね。ときどきトークライブをやるとか、僕が考えた企画に出てもらうとかはありますけど。僕は座長として新喜劇を背負ってやりたい目標がちゃんと決まっているので、そこに向かって走っていくだけ。
だから、こういう特別な65周年ツアーや、僕が単独でやるお祭りに出てもらうとか、そんなことで水玉れっぷう隊がたまに出てくる感じですかね。
――いまの2人の関係性は、ガッツリと“相方”というよりは、もう少しやわらかくなっているのでしょうか。
ケン コンビとしてガッツリやっていたときの感じより、高校のときのような“お友だち”みたいな感じ。
アキ うん。振り出しに戻ったような感じですね。高校は別々やったけど、趣味が合う遊び友だちやったんで、そんなんに戻った感じかな。
ケン そのころって、お互いに求めるものなんてないじゃないですか。でもコンビとなると、2人でひとつになってやっていかなあかんから、(相手に)求めるものが出てきて、(友だちのころとは)感覚が変わってくる。いまは、それぞれ別のことを考えながらやっているので、学生時代の感じが近いんですよね。
出典: FANY マガジン
――いま2人で同じ舞台に立つときも学生時代の関係性に近いですか?
アキ そうですね。だから、(ケンが)ウケたら嬉しいし、スベってもさほど気にならない(笑)。
――その関係は居心地いいですか。
アキ すごくいい関係やと思いますよ。吉本でこれだけコンビが多いなか、なかなかこういう関係性はないと思うので。
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アキ「東京での10年が座長として活きている」
――残る65周年ツアー公演や、今後の新喜劇の活動について、アキさんの展望は?
アキ (65周年)ツアーについては、空気感やお客さんが求めているものが見えてきたので、作家さんも交えて「ここをもう少し増やそう」とか「ここをもっと合わせよう」とか、改善しながらやっていきたいと思っています。
とくに(これからまわる)東北など(吉本新喜劇の)放送がない地域は、ほんまに新喜劇というものを知らないんです。だから、たとえば関西人がくすっと笑うようなニュアンスで変なおっさんを演じてしまうと、(お客さんが)ついて来られないこともあるので、ちょこちょことギアを変えたりしています。
これって、東京の10年で学んだことやったんですよ。水玉れっぷう隊を誰も知らない環境でネタをやりながら、僕らが座長の(ルミネでの)新喜劇も立ち上げてもらったんです。
今田(耕司)さんや東野(幸治)さんなど、錚々たる先輩方が座長として名を連ねるなか、僕らは「誰?」というところから始まって、話や笑いで惹きつけていかなければならなかったので、とにかくがむしゃらにやらせてもらいました。そのときのノウハウが、僕の中にはちょっとあるんです。
出典: FANY マガジン
――ケンさんが出る新潟公演をはじめ、これからのステージを楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
ケン ゲストで入れていただくことが、特別なことなんやということを噛みしめながら、これがチャンスなんだと、ここでグッと上がるぞと思いながら、まわりの後輩、先輩のことをあまり考えんと……。
アキ ええ加減にせいよ! さっきから!
ケン がっつり笑いを取りに行きます。不器用なやり方かもしれないですけど、まわりにごめんなさいって謝りながら笑いを取りにいく。アキにいちばん頭を下げているかもしれないです。でも、いまはそう思っていますけど、本番になったらメチャクチャひよっていると思います。「あかん! ヤバい! オレ、いまスベり気味やで、アキ、ここ頼むわ!」って。
――そこも含めて見どころですね(笑)。
ケン そうですね。笑いを取れるように一生懸命、頑張りますけど、スベる可能性も多分にあるから、そこは何とかケツ拭いてくれっちゅうて。もう、先に言うときます。
アキ 僕は、いまの相方のコメントを聞いて、改めて(ケンに)育ててもらったんやなって思いますね。
ケン どういうこと?
アキ (ケンが)ちゃんとしないんで。
ケン そっちかい! 悪いほうかい! ええこと言ってくれると思って、褒められる準備しとったよ!
アキ うるさいな(笑)。(ケンは)ホームランを打つときもありますし、ほかの後輩が「これ、ケンさんしかできへんで」っていうボケも持っています。ですが、ガッチガチにスベるときもあれば、下ネタは言うなって言うてるのに、言うてケンカしたこともある。そんなときは舞台が、けっこう荒れるんです。
でも生の舞台ですから、荒らしたままは終われないので、自分のことも必死ですけど、そのフォローもしなくちゃいけない。そんな感じで相方とずっとやってきたことが、いますごく役に立っています。新喜劇座員も、ホームランを打つこともあれば、ガッチガチにスベるときもあるので。
ケン いまの話、ガッチガチにスベるよりも、ウケるほうの比率をちょっと上げておいてな。
アキ ホームランは10本のうち3本くらいですね。
ケン いや、違うやん。聞いてた? 3ホームランじゃあかんやん。7ホームランやん。
アキ 7ホームランか。
ケン 7割バッターってすごいで。あの大谷(翔平選手)でも3割1分やからね。
アキ でも、売れてる人は10本中、10本ホームランやからな。
ケン そやな、スベらへんからな、売れてる人は。みんなずっとウケてるから。
アキ まぁ、そんなコンビです。
出典: FANY マガジン