「世代交代における不調の象徴」仏代表主将としての“責任を放棄”と批判されるエムバペに英国紙が厳しい指摘「期待外れのチームの顔」と酷評

 長くその去就が注目され、今夏にようやくレアル・マドリー移籍を実現させたキリアン・エムバペ。得点力溢れるアタッカーにとっては、キャリアにおける大きなステップアップを果たしたことで、フランス代表としてもさらなる飛躍を遂げることが期待されている。

【動画】フランス代表がベルギーを2-1で撃破!! マドリーではチーム同様のスロースタートで、まだ完全にチームに適応できていないと指摘されながらも、ラ・リーガ第6節のレアル・ソシエダ戦から公式戦4試合で得点を記録するなど、徐々に結果を出してきている25歳は、しかし「レ・ブルー」では夏のEURO2024で優勝候補筆頭と目されながらも調子を上げることなく準決勝でスペインの軍門に降る中で、鼻を負傷するというアクシデントに見舞われたこともあってかPKによる1ゴールに止まり、以降もUEFAネーションズリーグの2試合でも無得点に終わっている。

 ピッチ上での低調ぶりに加え、左大腿二頭筋の負傷で今月も代表戦への招集から外れたにもかかわらず、5日の第9節ビジャレアル戦で71分間もプレーしたことが物議を醸し、サポーターグループから「エムバペは代表キャプテンとして、模範となる役割を果たせていない」と批判を受けることとなった。

 真偽の程は定かでないものの、プライベートでのスキャンダルも報じられるなど、ネガティブな話題が付きまとっているフランス最大のスター選手に、英国の日刊紙『The Guardian』が注目。「エムバペ:フランス代表の世代交代における不調の象徴」と題した記事では、ユーゴ・ロリスからキャプテンマークを引き継いだ彼を「期待外れのチームの顔」と酷評している。

 同メディアは、最近のフランス国内における1000人以上を対象にしたアンケート調査で、エムバペを好意的に見ているのは全体の54%と、2019年の調査より12%も減少しており、またキャプテンとして好ましいと見ている人も22ポイント減の58%に止まっていることを紹介。それは、9月に彼が代表戦について「最も重要な事項ではない」と語ったことでファンの反感を買ったことが原因だと指摘した。
  これにさらに輪をかけたのが今月の代表招集外とビジャレアル戦の出場であり、元代表選手のパトリス・エブラは、『RMC Sport』で「ディディエ・デシャン監督だけでなく、フランス全体がエムバペを甘やかしすぎている」と主張。彼の優先事項が、今やマドリーに移ってしまっているかもしれないと推測している。
  また同メディアは、エムバペのキャプテン就任が、アントワーヌ・グリーズマンの代表引退にも大きな影響を与えたと指摘し、「グリーズマンは英雄的に舞台を去り、一方でエムバペは代表での責任を放棄している、というのが一般的な見解となっている」と記述。実際、サポーターグループ「Irresistibles Francais」は「本物のキャプテンは去っていった。それはファンから愛されたグリーズマンのことだ」と声明を発した。

 同メディアが別の記事で、「フランス史上最高の選手」と絶賛して引退を惜しんだグリーズマンをはじめ、ラファエル・ヴァランも現役を退くなど、2018年ロシア・ワールドカップの栄光のメンバーが次々に去り行く中で、エムバペは「世代交代における継続性の象徴」となることが国民から求められているという。

「彼の代表キャプテン就任時には、古い世代と新しい世代、現在台頭してきた世代とかつての黄金世代を結びつける存在として期待されていた。しかし、その不在により、現在のレ・ブルーの脆さや不安定さが深く感じられ、そのことはラジオ、新聞で、そしてスタジアムでも聞かれる。そして、今回のエムバペの騒動が、その不安をより広範囲に広めている」

「エムバペは今月の代表ウィークにおける不在を通じて、フランス代表に深く根付いた不調の象徴となってしまった」と改めて指摘した同メディアは、「彼こそがその状況を解消できる存在であることは明白だが……いますぐにそれを実現するのは無理である」と、彼とチームにとっての厳しい時間はまだ続くと見ている。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】メッシがハットトリック! W杯予選ボリビア戦ハイライト
バルサで絶好調のラフィーニャ、クラブの慣例を覆して“第4キャプテン”に抜擢された叩き上げの苦労人は「とても特別なこと」と感慨深げ
メッシ、W杯予選で3G2Aの活躍! 2つの大記録で宿敵ロナウドに並ぶ!