J1残留争いの行方は? 降格圏にいるのは磐田、札幌、鳥栖だが...“渦中”にあるのは15位・湘南以下6チーム

 J1も終盤戦となり”残留争い”も佳境になってきている。

 現在、降格圏の3チームは18位のジュビロ磐田、19位の北海道コンサドーレ札幌、20位のサガン鳥栖だが、仮に磐田が残り6試合を全て勝利した場合に勝点50までいくため、数字上は勝点48で7位のセレッソ大阪と8位の東京ヴェルディあたりまでは残留確定とは言えない。ただ、現実的な残留ラインは40から43あたりだろう。

 10月18日に横浜F・マリノスと0-0で引き分けた13位のアルビレックス新潟が残り4試合で、勝点40となっており、同23日の東京V戦の結果次第では、11月2日のルヴァン杯決勝を終えた後のラスト3試合がスリリングになってくる。

 14位の浦和レッズも勝点が39で予断を許さないが、東京V戦を前に7試合を残しており、しかも11月22日に延期となった川崎フロンターレとの試合は1-0のスコアで後半45分を戦えることから、有利な状況にあるだろう。

 そうした事情も踏まえて、現実的に”残留争い”の渦中にあると言えるのは15位の湘南ベルマーレから下の6チームだ。

 湘南と16位の柏レイソル、17位の京都サンガF.C.は勝点38で並んでいるが、残り試合数は湘南が5、柏と京都は6となっており、湘南がやや不利な状況にある。それでも18位の磐田とは勝点6差がある。仮に湘南が残り5試合でこれまでの勝率通りに勝点を積み上げると最終勝点は44になり、18位の磐田が逆転するには6試合で勝点13が必要になる。つまりは4勝1分1敗という、なかなかのハイペースが必要だ。
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 湘南は得失点差が-4で、柏の-9、京都の-14という数字と比較しても、勝点が並んだ場合にはかなり有利だろう。ただ、10月19日の対戦相手が首位のサンフレッチェ広島だ。最終節が2位ヴィッセル神戸とのアウェーゲームであることを考えても、残りのカードはライバルと比べても厳しい。

 ここまでエースとして牽引してきたルキアンを欠く状況になるが、21歳の鈴木章斗が3試合連続ゴールと乗ってきており、23歳の福田翔生もここ2試合でゴールとアシストを記録して、2連勝に大きく貢献している。残留への鍵を握るのは11月9日のホーム札幌戦だが、その時点で現在19位の札幌が残留の可能性を残しているかどうかもポイントになりそうだ。

 その湘南と柏、京都に共通するのはこの数年、少なからず”残留争い”の経験があることだ。特に16位の柏は昨シーズン、5月に監督交代を経験。井原正巳監督に率いられたチームは終盤戦まで”残留争い”に巻き込まれたが、同時に天皇杯でファイナルまで勝ち進み、厳しい日程をこなしながら残留を果たした。

 ただ、昨シーズンは降格が1枠だったこともあり、3チームが降格する今シーズンはシンプルに残留のハードルが上がっている。残り6試合の中でいきなり現在3位のFC町田ゼルビアとのホームゲームがあり、湘南と同じく神戸との戦いも残している。

 ここまで8得点7アシストのマテウス・サヴィオという頼りになる存在はいるが、やはり残留のキーマンは細谷真大だろう。パリ五輪代表のエースで、9月の日本代表にも招集されたJリーグ屈指のアタッカーだが、4得点4アシストという数字は物足りない。試合で見せるフィニッシュワークの迫力からしても、コンディションに大きな問題があるわけではないだろう。3試合クリーンシートという守備の安定を継続しながら、細谷などのゴールで勝点を奪い取っていけるか。
 
 京都は前半戦の低迷から一転して、後半戦は首位の広島ともほぼ変わらないペースで浮上してきた。その原動力は夏に加入したラファエル・エリアス。10試合で10得点という爆発的な得点力を見せているが、センターバックで171センチというサイズを感じさせない奮闘を見せる宮本優太など、曺貴裁監督が求めるハードワークを90分通してやり切れているなかで、ラスト15分の勝負強さも見せているのは強みだ。ただ、代表ウィーク前の神戸戦は2点のビハインドを追い付きながら終盤に勝ち越されて、2-3で競り負けるという、手痛い敗戦だった。

 10月19日の試合はホームに最下位の鳥栖を迎えるが、今節の結果によっては降格が確定する鳥栖を相手に、勝ち切って残留に大きく前進できるか。その後はアウェーの広島戦や町田戦など、かなりタフなカードを残していることもあり、この鳥栖戦は”残留争い”に大きく影響しうる。

 京都にとって励みになるのは天皇杯で、タイトルの可能性を残していること。10月27日には神戸との準決勝が待つ。日程が多少ハードになっても、タイトルを目ざせるモチベーションをリーグ戦の残り試合にもうまく乗せていきたいところだろう。
 
 18位の磐田は湘南、柏、京都と勝点6差で、苦しい立場にあるのは間違いない。ただ、6試合を残すなかで追いかける立場の強みというものはある。横内昭展監督も選手も、すでに残留を明確な目標として一丸になっている雰囲気がある。後半になって連勝が1つもないというのが、3チームと勝点が離れてしまった要因ではあるが、ここからの6試合の中で大きな山を作って行ければ、残留ラインに食い込んでいくことは十分に可能だ。

 日程的にやや難しいのは残り6試合のうち、今週末10月19日のC大阪戦、次節の神戸戦と関西のアウェーが2つ続くことだ。そこを乗り越えれば3試合続けてホームのヤマハスタジアムで戦える。そして、最終節が鳥栖とのアウェーになる。

 磐田の強みは前線に15得点のジャーメイン良など、J1の中でも質の高いアタッカー陣を揃えていることだが、守備を安定させながらいかに、前線にチャンスを供給していくかというバランス面の難しさに直面している。

 磐田の場合は前半に失点が多く、そこが試合を難しくしてきた経緯があるだけに、残留に向けては多少、ビルドアップでロングボールを増やすなど、ローリスクに舵を切っている向きはある。それでも高い位置で起点ができた時は、全体を押し上げて攻撃の厚みを付けていかないと、FW陣もなかなか良い状態でフィニッシュに持ち込むことはできない。

 中断前の広島戦では3-4-2-1という新システムにシフトして、1-2で敗れたものの首位のチームを苦しめた。まずは関西のアウェー2試合をどう戦って、勝点を掴み取るか。ホーム3連戦に繋げる意味でも、そこが残留の生命線になりそうだ。

 19位の札幌は前節のガンバ大阪戦で、勝利を目前にしながら後半アディショナルタイムの宇佐美貴史の2発に泣いた。その結果次第で、奇跡的な逆転残留に向けて視界が開けてくるはずだっただけに、ショックは少なからずあるだろう。しかし、残り5試合で湘南、柏とのゲームもあるだけに、まずは次戦、アウェーで名古屋グランパスを叩いて希望を繋ぎ、勢いに乗ることができるか。

 もう後がない20位の鳥栖のアウェー京都戦での奮起とともに注目していきたい。

取材・文●河治良幸

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