マルク・マルケス、スタート大失敗も超挽回し今季3勝目! マルティンがタイトル争いリード拡大|MotoGPオーストラリアGP

 MotoGP第17戦オーストラリアGPの決勝レースが行なわれた。優勝はグレシーニのマルク・マルケスだった。

 フィリップアイランドで開催されたオーストラリアGP。僅差のタイトル争いが続いているが、スプリントレースではホルヘ・マルティン(プラマック)が勝利してその差を16点に広げた。

 予選でポールポジションを獲得したのはマルティン。2番手にはマルク・マルケス、3番手にマーベリック・ビニャーレス(アプリリア)が並んだ。フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)は5番グリッドスタートだ。

 なおスプリントレースで転倒があったペドロ・アコスタ(GASGAS)は左肩を脱臼。メディカルチェックをパスできず決勝レース欠場となった。またスプリントで高速クラッシュを経験したビニャーレスとマルコ・ベッツェッキ(VR46)については深刻な怪我はなかったが、接触によりベッツェッキには決勝でのロングラップペナルティが科された。

 レースは気温15度、路面温度30度のコンディションでスタート。全27周の長丁場のレースは、ポールシッターのマルティンが首位をしっかりと固めて始まった。

 一方で2番グリッドのマルケスはスタートでのホイールスピンが酷く、一気に7番手まで後退。スプリントレースと同じように追い上げを目指すレース展開となった。なおこの失敗は、スタートに向けて気合を入れるべく自らが剥がして地面に落とした捨てバイザーがリヤタイヤの下に滑り込んでしまったことが原因になるという、珍しいアクシデントだった。

 トップ集団はマルティンが少し抜け出し、2番手以下はベッツェッキ、バニャイヤ、ブラッド・ビンダー(KTM)という面々だ。

 4周目にはベッツェッキがロングラップペナルティを消化。これでバニャイヤが2番手となり、3番手にフランコ・モルビデリ(プラマック)、そしてビンダーを抜いたマルケスが4番手に続いた。

 マルケスの追い上げるペースは速く、3番手のモルビデリも6周目にパス。表彰台圏内に上がり、0.9秒先のバニャイヤを追った。なおマルティンはバニャイヤに対し0.8~1秒差というギャップでトップを走行していた。

 3番手のマルケスは、時折1分27秒台のタイムも記録しながらバニャイヤとの差を削っていく。10周目には完全にバニャイヤを射程に収め、オーバーテイクのチャンスを伺うようになった。

 彼らは鍔迫り合いをしつつ、トップのマルティンとの差も削っていき、12周目にはマルティンにミスがあったか、それまであったギャップが消滅。一時はバニャイヤがトップを奪うシーンもあった。

 ただマルティンも簡単には譲らず、続くコーナーでトップを奪還。マルティンにインに入られたバニャイヤはマルケスにもオーバーテイクを許し3番手に後退した。

 マルケスはそのままマルティンに襲いかかるかとも思われたが、マルティンはペースを引き上げて牽制。0.2~0.3秒ほどの差でのランデブー状態がしばらく続いた。

 なお3番手のバニャイヤはレースが後半に入ってからガクンとペースダウン。トップ2に対する差が大きく広がっていき、優勝争いから脱落した。

 マルケスはひたすら2番手でチャンスを伺っていたが、残り4周のターン4立ち上がりで、マルティンの加速が鈍ったところをスパッとオーバーテイクした。ただマルティンはホームストレートで抜き返してみせた。

 しかしマルケスも一歩も引かず、ターン4でやや強引にインを攻めてオーバーテイク。今度はホームストレートで相手にやり返すことも許さず、マルケスがトップを固めた。

 マルケスが先頭のままレースはラストラップに突入。ふたりの差は0.4秒ほどに広がり、マルティンはタイトル争いを考えて、無理はせずに2位を確保する方針に切り替えた様子だった。

 その結果、マルケスはラストラップでポジションを脅かされることなくトップチェッカー。スタートの失敗を跳ね返し、今シーズン3勝目を挙げた。なお表彰台ではオーストラリア戦ということもあり、ブーツでシャンパンを飲むパフォーマンス“シューイ”も行なわれた。

 2位はマルティンで、3位がバニャイヤとなった。マルティンは勝利こそ逃したが、タイトル争いではバニャイヤに対する差を20ポイントに広げることに成功した。

 日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は18位でフィニッシュ。ポイント獲得はならなかった。