「シート争いにおける力強いスタート」 米国GP2日目の角田裕毅のパフォーマンスを「レッドブル昇格オーディションに向けての良いアピール」と専門メディア

 F1第19戦のアメリカ・グランプリは現地10月19日、午前にスプリントの決勝、午後に本レースに向けての予選が実施されている。

 ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は初日にSQ3進出を果たして9番手という好結果を残してポイント獲得(8番手以上)を狙ったが、ペース不足で防戦を強いられる展開となり、11位で19周のショートレースを終了。続く予選では、Q1を全体11番手となる1分33秒795でクリアしたが、続くラウンドでは1分33秒506で10番手のケビン・マグヌッセン(ハース)にわずか0.032秒及ばずQ3進出を逃した。

 悔しさを残すこととなった2日目を終えた後、角田はチーム公式サイトを通して「今日はチーム全体での努力が見られました。それでも、今朝のスプリントは厳しい戦いになりました。激しいバトルで少しは楽しめましたが、残念ながらペースがあまりなく、他の車と激しく争いながら、ダメージを最小限に抑えなければなりませんでした」とネガティブに振り返り、以下のように続けている。

「ポイント圏内に近いポジションからスタートし、入賞のチャンスがあったので、レース中に順位を落としていくのは、とても悔しかったです。続く午後の予選では、残念ながらQ3に進出できませんでした。それでもQ2では10番手にかなり迫り、明日のレースに向けては良いポジションにいると思います。(Q2で)トウを提供してくれたリアム(・ローソン)には感謝しています。彼は良い仕事で、僕のラップを助けてくれました」
 「スプリント後、多くの変更を車に加えたので、パフォーマンスの違いが生まれ、明らかに良いデータが得ることができました。今週末は浮き沈みがありますが、今日のセッションを通じて、今後に向けて幾つかの収穫がありました。明日のレースは厳しいものになると思いますが、スタート後にポジションを上げてポイントを獲得できるよう、全力を尽くします」

 メディアに対しては「多くのセットアップの変更を施したので、決勝ではそれが少しでも有利に働くことを願っていますが、ハースほどの大きな進歩を得られるとは思っていません。それでも自分たちの方がまだ速いとは思っていますが、何が起こるか分かりません。スタートでポジションを上げ、あとは勢いに乗りたいと思います」と意気込みを明かした。

 また、チームメイトがこの週末よりダニエル・リカルドからリアム・ローソンに変更されたことによる影響の有無を訊かれると、「これまでと同じような感じです。ただ、より完成されたドライバーになるためにも、自分自身をもっと向上させる必要があるとは思っています。リーダーシップを発揮し、もっと責任を持つことも必要で、その点は今取り組んでいるところです」と答えている。 一方、RBのテクニカルディレクターであるジョディ・エッギントンは「スプリントでは両車とも少しばかり苦戦した」と振り返るも、その後のセットアップの変更については「正しい方向に進んでいる兆しがある。バランスは改善された」と手応えを掴んだようだ。また、予選については以下のように総括した。

「ユウキはしっかりと予選をまとめたが、残念ながら僅差でQ3進出を逃した。(中略)今日の予選で車のパフォーマンスは前進したと考えており、明日のレースではそれがどれほどレースペースに反映されているかを確認できるだろう。中団争いでの接戦が予想される」

 各国専門メディアの反応を見ると、ブラジルのF1専門サイト『F1 MANIA』は「角田が11番手と、RBは予選でまずまずのパフォーマンスを発揮」とポジティブに評し、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は「RBにとっては波乱の土曜日に。角田はスプリントの大部分でセルジオ・ペレス(レッドブル)と争い、このレースのポジション争いだけでなく、レッドブルのシートを巡っても戦っていることは明白だった」と伝え、さらに予選についても以下のように言及している。

「角田はQ2で再び挑戦に臨み、ローソンとの素晴らしいチームプレーを見せた。ニュージーランド人ドライバーはPU交換によるグリッドペナルティーを受けており、予選を利用してチームメイトにトウを提供し、Q3進出を目指した。しかし、この努力も実らず、角田は決勝で11番手、ローソンは最後尾からのスタートとなる」
  そして英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「スプリントの勝者と敗者」という記事の中で、RBを敗者に「選定」して「角田の英雄的な努力、そしてオースティンで幾つか新しいアップデートを導入したにもかかわらず、再び十分な速さを発揮できなかった」として、ハースらライバルとのコンストラクターズ・チャンピオンシップの戦いに悲観的な見解を示したが、一方でこの日本人ドライバーについては別の評価も下している。

 同メディアは、角田を「レッドブル昇格オーディション」の「勝者」とし、「スプリントでは完璧とはいかないものの、マックス・フェルスタッペンのバックアップ役を務められることを示す、かなり良いアピールとなった。ペレスとオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に対する厳しい防御は、彼のレースクラフトの優秀さを示すものだった」と称賛した。

 また予選についても、「ペレスより1つ後方、チームメイトよりはるかに前方の位置につけたことは、2025年シート争いにおける力強いスタートだ」と綴った同メディアだが、「もっとも、彼がその争いに加わるかどうかは不透明である」とも付け加えている。

構成●THE DIGEST編集部

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